
特集【16】JR東日本が新幹線トンネル検査で日本初!AI活用の新技術でDX推進【建設DX】
2025年4月8日、JR東日本は、2025年度より新幹線のトンネル検査に「ひび割れ自動抽出技術」と「二時期比較技術」を導入すると発表しました。これらの技術を組み合わせたトンネル検査のDXは新幹線で日本初であり、これにより新幹線トンネル検査の精度の向上がはかられ、夜間作業の約2割削減を実現できる見込みです。
新幹線トンネル検査のDX概要
鉄道土木構造物は、長年の列車通過や気象・環境などの影響により状態が変化していくため、定期的な検査により、列車の安全・安定輸送に影響がないことを確認しています。
定期検査では、前回から「変化した箇所」を見逃さないことが重要であり、この「変化した箇所」を精度高く抽出し、検査の効率化に資する手法の開発に取り組んできました。
出所:東日本旅客鉄道プレスリリース
トンネルでは、覆工コンクリートの表面(以下、覆工表面)に現れるひび割れなどに着目して検査を行っています。今回、新幹線トンネル覆工表面画像に最適化したAIで「ひび割れを自動抽出する技術」と、「二時期のひび割れを比較する技術」を新しく開発しました。
これらは、人が実施していたひび割れの抽出、及び二時期比較による変化箇所・変化量の抽出を自動化するもので、これらの技術を組み合わせた新幹線トンネル検査のDXを日本で初めて実現したというものです。
AI画像解析でひび割れ箇所を高精度で抽出
JR東日本の新幹線トンネル検査では、覆工コンクリート表面のひび割れや漏水などの変状を図示した変状展開図を活用しています。
今回、DXを実現した新しい検査方法では、AI画像解析により自動的にひび割れを高精度に抽出し、二時期のひび割れを自動比較することで、新規のひび割れやひび割れの進展箇所を確実かつ定量的に特定して変状展開図を作成できます。
作成した変状展開図をあらかじめ日中に確認し、現地確認が必要な箇所を絞り込むことで、夜間作業時間の2割削減につながるというものです。
ひび割れ自動抽出技術は富士フイルムのAI画像解析技術を基盤に、新幹線トンネルのひび割れの特徴を機械学習し、高精度にひび割れを自動抽出するよう開発したAIモデルです。
出所:東日本旅客鉄道プレスリリース
従来、変状展開図は人がひび割れを抽出して作成していましたが、AI画像解析により自動的に、精度高くひび割れを抽出することができるため、見落としのリスク低減につながります。
今後の展開
新技術は2025年度から新幹線トンネル検査に導入していきます。覆工表面画像には路盤が含まれていないため、今後は路盤も含めたトンネル全景画像を取得する装置を開発し、覆工から路盤まで画像で確認検査が可能な仕組みを整備する予定です。
またJR東日本では、導入後もさらなる画像データの活用やAI画像解析の技術開発に取り組み、検査の効率化・DXを進めていくとしています。
出所:東日本旅客鉄道プレスリリース
本記事作成にあたり、下記JR東日本ニュースを参考としました。興味ある方はぜひご覧ください。
※新幹線のトンネル検査で日本初となる新技術を導入してDXを進めます!(東日本旅客鉄道2025.4.8)
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)