
ミサワホームが中層木造用新構法「CROSS MONOCOQUE」を開発、販売開始しました!【住宅業界NEWS】
大手ハウスメーカーの木造建築技術開発が活発になっています。ミサワホームは、自社独自の「木質パネル接着工法」を応用した、中層木造建築用の新構法「CROSS MONOCOQUE(クロスモノコック)」を新たに開発し、2025年3月27日より発売開始しました。当初の販売エリアは東京都内としており、今後、順次拡大していく計画です。
本記事では、ミサワホームのプレスリリースをもとに、構法の特長や採用するメリットについて解説します。
木質パネル中層建築構法「CROSS MONOCOQUE」は最大5階建ての中層建築を実現する
ミサワホームは1967年創立以来、独自の木質パネル接着工法を活用したプレハブ住宅を提供してきました。今回、新開発した「CROSS MONOCOQUE」はこれまで培ってきた、木質パネル接着工法の技術を中層建築へ展開することにより、高品質かつ高性能の中大規模木質パネル建築を実現し、カーボンニュートラルに向けた取り組みを加速することを目的としています。
木質パネル中層建築構法「CROSS MONOCOQUE」は、木質パネルによる1時間耐火構造の4階建てを基本構成とし、最下階に2時間耐火の鉄筋コンクリート造(以下、RC造)を組み合わせることで、最大5階建ての混構造耐火建築物とすることも可能です。そのため住居だけではなく、店舗や事務所などと組み合わせることにより、複合建築物としてさまざまな用途で活用が可能になります。
木質パネル中層建築構法「CROSS MONOCOQUE」の特長
木質パネル中層建築構法「CROSS MONOCOQUE」は、従来培ってきた工業化住宅のリソースを活用して、高いレジリエンス性能と省エネルギー性能を兼ね備えた中層建築構法です。
木質パネルを主たる構造部材とし、太陽光パネルを搭載することで、住戸部分においてはZEHに加え、新たなGX志向型住宅基準にも対応可能な、高い断熱性能と省エネルギー性能を兼ね備えています。
工業化住宅の技術は、木質パネルをはじめとする構造部材のほか、設計や積算、生産、施工に至るまで、さまざまな工程で活用され、住宅商品同様の高い品質を備えた中層木造建築を実現しています。
建物のレジリエンス性能を支える高強度耐力壁によるモノコック構造
「CROSS MONOCOQUE」は新規高強度耐力壁と専用の柱脚接合構造により、高耐力設計を可能としています。木質パネル接着工法により、建物全体が一体となるモノコック構造によって、地震や台風などの外力を分散して受け止め、高い強度を発揮します。加えて、中層建築物にかかる大きな引抜力を専用の柱脚接合部に負担させることにより、中層建築においても高い耐力を実現します。
これらの構成部材は、工場において高度な管理のもと生産され、建築現場施工の工数削減、ならびに施工品質の向上に寄与します。
「CROSS MONOCOQUE」 モデルプランと性能評価
下図はミサワホームが発表したプレスリリースに掲載された、「CROSS MONOCOQUE」 モデルプランです。
このプランでは1階をRC構造として、2階以上を木質パネル接着構法とした5階建て中層建築としていますが、建設時のCO2排出量削減効果は、同規模(5階建て、延べ面積472.9m2)のRC造と比較すると40%以上削減されるとしています。
また、標準仕様の内外装材を施した状態で、構造体部分が35年、防水部分が30年と長期優良住宅と同じ長期保証を可能にしている点も特徴となります。
木材活用の拡大により、高いカーボンストック効果が得られ、高い耐震性と気密性に定評のある木質パネル接着工法による「CROSS MONOCOQUE」は、工場生産により現場施工の負担を軽減する効果もあり、サステナブルな中層木造建築として普及していくことが予想されます。
本記事作成にあたり、2025年3月27日付け ミサワホームプレスリリースを参考としました。同社のリリースにご興味ある方は 「こちら」 からご覧ください。
(本記事は総合資格naviライター kouju64が構成しました。)