三井ホームがエヌ・シー・エヌとの販売提携により、SE構法を活用開始しました【住宅業界NEWS】

2025年7月1日、三井ホーム株式会社は、株式会社エヌ・シー・エヌと販売提携を締結したことを発表し、この提携によりSE構法の活用が可能となったことを公表しました。

SE構法は、エヌ・シー・エヌが開発した約30年にわたる実績のある木造ラーメン構法で、耐震性に優れ、かつ自由度の高い空間を実現します。

本記事では、三井ホームのプレスリリースをもとに、本提携の背景やSE構法の特徴、活用事例等について紹介します。

三井ホームとエヌ・シー・エヌ提携の背景

三井ホームは1974年創業以来、木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法他)のリーディングカンパニーとして、住宅建築を主軸に建築物の木造化に取り組んできました。近年では、2016年の特別養護老人ホーム「花畑あすか苑」や2021年の木造マンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」のように中大規模建築物の木造化も実現させています。

この度、これまでの実績とは必要な空間特性が異なる施設系建築の木造化を推進するにあたり、エヌ・シー・エヌと提携を行い、SE構法を活用することとなりました。

今後は、ツーバイフォー工法のみならず多様な木造工法で、あらゆる用途の建築物の木造化を推進していくとしています。

SE構法の特長とは

SE構法のSEは「Safety Engineering(Engineering For Safety)」の略で、「工学的に安全な構法」という意味です。同構法は1996年に開発され、現在までに累計約3万棟(2024年実績)が建てられています。

SE構法は、柱や梁を互いに剛接合することで強固な躯体をつくり上げるラーメン構法を木造軸組工法に取り入れたものです。品質管理された材料と適確な構造計算によって、耐震性に優れ、かつ自由度の高い空間を実現します。燃えしろ設計※で柱や梁を現しにでき、耐火要件が求められる建築物にも内装に木質感をあたえ、木の温もりを感じる空間をつくることができます。

※燃えしろ設計とは

木材は火災の際に表面から燃え進むために、中心部は一定時間にわたり強度を保っています。そのため、燃え代を想定しておけば、火事がおきても直ちに建物が倒壊することはありません。燃え代を想定して、通常の構造設計より大きな断面の構造材を使用すれば、準耐火建築物の構造として認められることになりました。

「桜の聖母学院」中学校新校舎への SE 構法の活用

三井ホームが初めてSE構法で設計した物件が「桜の聖母学院」で増築する中学校新校舎です。本建物は、建築主から木質感を高めて「児童・生徒・保護者・職員が温もりや親しみを感じることができる校舎にしたい」という要望がありました。

燃えしろ設計の活用や必要とされる大空間の実現において最適であったため、SE構法で設計・施工を行っています。2025年5月に着工しており、 2026年1月に竣工予定です。

分譲マンション「ジオ荻窪」エントランス棟の木構造工事へのSE構法活用

三井ホームが、次にSE構法を活用する予定としているのが、阪急阪神不動産と相鉄不動産を事業主とする分譲マンション「ジオ荻窪」です。三井ホームは、この物件で、エントランス棟の 木構造工事を担います。

外観デザインが印象的なこの建物は、大きな開口と開放感のある室内、重厚さを備えた大屋根など難易度の高い構造が特徴です。細部へのこだわりが詰まった建物を木構造で具現化するにあたり、中断面の柱・梁で構成するSE構法と独自技術の木造トラスを使用することになりました。これにより、エントランス棟内の大開口やスパンを飛ばした大空間、大屋根を実現する予定です。

三井ホームでは、2025年7月から8月に担当工事部分の施工を実施予定です。

出典:三井ホームとエヌ・シー・エヌが提携(2025.07.01三井ホームプレスリリース)

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)