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大成建設が、DX対応型次世代多機能保護具「スーパーSCヘルメット」を開発しました【建設DX】

2025年07月10日（木）

建築/土木学生就活情報

大成建設は、「生産プロセスのDX」の一環として、山岳トンネル工事現場で作業員が坑内作業時に装着する、個別空調や後方視認、双方向通信など複数機能を集約したDX対応型の次世代多機能保護具「スーパーSCヘルメット」を開発しました。

本記事では、本ヘルメット開発の背景やその機能および特長について、大成建設プレスリリースを参考に解説します。

山岳トンネル工事は過酷な現場環境。安全第一に快適性や作業性を損なわない対策が求められる

山岳トンネル工事現場では、掘削や重機車両の稼働に伴い大量の粉塵・騒音が発生します。じん肺※や騒音性難聴といった健康災害リスクがあり、作業員は落石等から身体を保護するヘルメットやバックプロテクタに加え、電動ファン付き呼吸用保護具、防音イヤーマフなど様々な保護具を装着する必要があります。

しかし、これら多くの保護具を装着した状況での作業は身体への負担が大きく、長時間作業では、ヘルメット内部が蒸れて快適性が損なわれ、熱中症になるリスクもあります。また、多数の装備を装着することにより動きづらくなり、作業効率も著しく低下するといった課題がありました。

さらに、暗く狭いトンネル坑内では多くの重機が稼働・走行しており、接触事故防止に注意が必要となります。こうした課題に対応するため、トンネル工事特有の作業環境を踏まえ、作業員の安全を第一に確保しつつ、快適性や作業性を損なわない新たな対策が求められていました。

そこで大成建設は、山岳トンネル工事の粉塵、騒音、高湿度環境下において、作業員が安全、快適に効率よく作業を行えるよう、複数保護具の機能をひとつにまとめるとともに、DX機能の拡張に対応可能な次世代多機能保護具「スーパーSCヘルメット」を開発しました。

※じん肺：粉じんを長い年月にわたって多量に吸い込むことで、肺組織が線維化する病気

スーパーSCヘルメットの機能および特長

今回、開発された「スーパーSCヘルメット」のSCとは、Sustainable Performance and Smart Communication Helmetの略となります。本ヘルメット装着により、粉塵、騒音、高湿度環境下でのトンネル坑内作業の安全性・快適性・作業性の大幅な向上が可能となります。その機能および特長は以下の通りです。

本ヘルメットでは、背部に装着するフィルター付き電動ファンからヘルメット内に送風を行うことで、常に新鮮な空気をヘルメット内に循環させ、粉塵を防護するとともに内部のムレを軽減します。これによりじん肺や熱中症などの健康災害を防止し、作業員に快適な作業環境を提供します。

また、ヘルメット後方に取り付けたカメラの映像など、各種の視覚的情報を額部にあるヘッドアップディスプレイ（HUD）に投影し視認することができます。これにより後方からの重機車両などの接近をいち早く認識して激突災害を防止することができます。

さらに、無線通信機能付きのイヤーマフは、外部の騒音レベルに応じてヘルメット内部での音の聞こえやすさをコントロール可能で、騒音環境下でも作業員間の円滑なコミュニケーションが容易となります。これにより安全性が高まるとともに、作業効率の向上につながります。

ヘルメットに複数保護具の機能を集約したことで、個別装着の必要がなくなるほか、各装備のケーブル類が集約されるため、動きやすくなり、作業性が向上します。また、各機能の駆動に使用する電源バッテリーの統合により、ヘルメットの重さは1.5kg以下と軽量化を実現しています。

ヘルメットに搭載したCPUと無線通信機能により、ヘッドアップディスプレイ（HUD）には、カメラ映像以外の情報投影が可能で、将来的には作業員の体温や脈拍など健康状態のモニタリングや、トンネル坑内の温湿度、ガス・粉じん濃度等の環境情報、現在の作業進行状況の表示といった「DX機能の拡張」に対応が可能なことから、坑内作業時の安全性・快適性・作業性の更なる向上が期待できます。