橋梁業界再編!横河ブリッジHDがPC橋大手 ビーアールHDを買収【建設NEWS】

2026年2月4日、鋼橋メーカー国内最大手 横河ブリッジの持ち株会社である横河ブリッジホールディングス(HD)は、プレストレスト・コンクリート(PC)橋梁大手の極東興和(広島市)の持ち株会社であるビーアールHDのTOBによる買収を決定しました。

本記事では、この橋梁業界再編といえるTOBの概要や買収の背景、両社の業績や業界での位置づけについて解説します。

横河ブリッジHDによるビーアールHD買収の概要

横河ブリッジHDによる、ビーアールHDの買収総額は約241億円で、鋼・コンクリートの複合事業化により、老朽化インフラの更新・保全需要を取り込み、業界で勝ち残りを目指すことを目的としています。

TOB(株式公開買付)の概要は下表の通りです。

買付価格の1株530円は、2月4日終値357円に約48%のプレミアを付けて買い付けるもので、2月5日から応募受付を開始しています。

3月23日まで応募を受け付け、本買収により、ビーアールHDは横河ブリッジHDの完全子会社化となります。

横河ブリッジHDの発表によると、当初はビーアールHD側にアライアンスを提案していましたが、その後、シナジー効果の最大化を狙い、買収方針に方向転換し、株式公開買い付けの条件を巡って、当事者間で複数回の協議を重ねた結果、合意したという経緯です。

横河ブリッジHDとはどのような企業か

横河ブリッジHDは、橋梁の建設や保全、鋼構造物を中心とした事業を展開する企業グループです。長年にわたり日本各地のインフラ整備を担い、公共工事を基盤として成長してきました。

その中核となる横河ブリッジは鋼橋メーカー国内最大手で、2025年3月期決算では鋼橋上部工事の売上高は556億円で、2位以下に大きく差をつけて首位にあります。(下図)

横河ブリッジHD全体の2025年3月期売上高は約1600億円で、国内橋梁のトップメーカーです。

新しい橋の建設だけではなく、補修・補強や維持管理といった分野にも強みを有し、老朽化が進むインフラへ対応する役割も期待されていますが、近年は国内鋼橋工事の新設工事量は過去最低水準へ落ち込み、希少案件の取り合いで競争が激化しています。

そのような状況のなか、横河ブリッジHDは2025年5月に公表した中期経営計画で、コンクリートや塗装など橋梁に関わる異工種を含めた「総合橋梁エンニジアリング事業」として展開していくことを目標に掲げていました。

今回、TOBを行うビーアールHDとは、グループ企業の極東興和とJV(共同企業体)を組んで、西日本高速道路(NEXCO西日本)管内の道路橋の床版取り換え工事を手掛けており、2025年10月より連携強化の検討を始めたことがきっかけで今回の買収決定に至ったものです。

ビーアールHDはどのような企業か

ビーアールHDは2002年設立で、PC橋梁工事やコンクリート二次製品製造に強みを持ち、広島市に本社を構える企業グループです。

2025年3月期売上高は約408億円で、中核企業となる極東興和は、PC工事分野の売上高は約243億円で業界5位に位置づけています。(下表)

建設業界で生き残りを賭ける。経営統合のメリットとは?

国内鋼橋主要メーカーが加盟する(一社)日本橋梁建設協会によると、正会員31社の国内鋼道路橋の重量ベース受注量は、1995年度の約90万トンをピークに減少し、2024年度12万5968トンと過去最低を更新しており、2025年度は上期約2万2000トンと減少傾向に拍車がかかっています。

横河ブリッジHDの2026年3月期連結業績予想は減収減益を発表しており、新設需要が縮小し、非常に厳しい環境であるところ、PC橋では老朽化に伴う更新・補修需要は拡大傾向にあり、本経営統合には、鋼・コンクリート複合で生き残りを図る狙いがあります。

(一社)プレストレスト・コンクリート建設業協会の統計資料によれば、PC受注総額は1999年度の5793億円をピークとして、2010年度の2173億円を底に下げ止まり、過去10年は補強・補修工事が著しく拡大しました。但し、2023年度以降は補強・補修工事も急減傾向にあり、加えてスーパーゼネコンが豊富な資金力と技術開発力で参入を強めており、ビーアールHDは、横河ブリッジHD傘下で連携することによって、鋼・コンクリート複合構造の研究開発や事業拡大を目指します。

保全工事では、鋼橋でも床板の取替などでPCが必要になり、両社連携は受注や収益確保に寄与することや、両社が展開する製造工場は所在地が重ならないことから、同じグループとなることで、相互補完により全国をカバーする供給体制の構築に繋がるものと見られています。

まとめ

わが国では高度経済成長期に整備されたインフラが老朽化し、一斉に更新期を迎えています。現状では、新設工事よりも補修・補強・更新といった分野の重要性が高まっているのです。

建設業界では、熟練技術者の高齢化と若手人材不足が深刻となり、企業の競争力を左右します。横河ブリッジHDにとって、M&Aによって得られるビーアールHDの技術力と人材は戦略的に大きな価値を持つものといえるでしょう。

また両社の経営統合は、事業戦略を一体化して、設計・製造・施工・保全の各工程でシナジーを創出し、受注競争力を高めることに繋がるものです。

近年は、総合建設業、ハウスメーカー、建設コンサルタントなどでM&Aの事例が増えていますが、今後はインフラ系専門工事業でも業界再編が加速していく可能性があります。

総合資格ナビでは、今後の業界動向に注視しつつ、事例紹介していきたいと思います。

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)