「グリーンインフラ推進戦略2030」策定!実現に向けたKPIを設定【国土交通省】

2026年1月23日、国土交通省は2030年度までのグリーンインフラ(GI)の取り組みを総合的・体系的に整理した「グリーンインフラ推進戦略2030」を公表しました。

国土交通省では、2023年に「グリーンインフラ推進戦略2023」を策定して、官と民が両輪となってグリーンインフラのビルトインに取組んできましたが、今回公表された「グリーンインフラ推進戦略2030」は、2025年6月に策定した「国土交通省環境行動計画」に係る実行計画として新たに策定されたものです。

本記事では、本戦略のポイントや目標、設定されたKPI、「これまでのグリーンインフラの歩み」について紹介します。

なお、「グリーンインフラ推進戦略2023」とその基になる環境省の「第六次環境基本計画」については、前記事で取り上げています。

下記、記事名に前記事URLをリンクしておりますので、未読の方はこの機会にご一読ください。

前記事:特集【7】環境政策はグリーンインフラを理解せよ!【知っておきたい建設的常識】

「グリーンインフラ推進戦略2030」が目指していること

グリーンインフラとは、自然の多様な機能を活用した社会資本であり、将来にわたり持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくり及びウェルビーイング向上に貢献するものと定義されています。

これは、人と自然の関りから形成されるものであり、戦略的な計画、持続的な維持管理、幅広いステークホルダーの参画などを通じてより大きな効果の発現が期待できるとされています。

「グリーンインフラ推進戦略2030」は計画期間を2030年度までとし、「グリーンインフラの活用が当たり前の社会」の実現を図り、2050年に向けて「自然共生社会」の実現を目指します。

■グリーンインフラの基盤づくり

グリーンインフラの基盤づくりとして、次の6つの項目を進めていくとされています。

1.国民的な機運・理解の醸成

2.多様な効果の見える化

3.官民の取組を促進する環境整備

4.資金調達の円滑化

5.新技術・DXの活用

6.国際展開

■グリーンインフラの実装による社会課題への対応

次の8つの課題に対して、国土交通省の各局が所管する施策及び ※グリーンインフラ官民連携プラットフォームの取組を体系的に整理します。

※「グリーンインフラ官民連携プラットフォーム」は、国、地方公共団体、民間企業、大学・研究機関など、多様な主体が幅広く参画し、グリーンインフラの社会実装を推進するために設立されました。(事務局:国土交通省総合政策局環境政策課)

【グリーンインフラをとりまく8つの社会課題】

1.持続的で快適な都市・生活空間の形成

2.水害対策

3.暑熱対策

4.生物多様性の確保

5.災害への備え

6.地域経済の活性化

7.温室効果ガスの削減

8.循環型社会の形成

グリーンインフラの多様な効果を活用することで、複数の社会課題への対応策となり得ることに留意して施策を展開していきます。

「グリーンインフラ推進戦略2030」 3つのポイント

「グリーンインフラ推進戦略2030」を進めていくにあたり、本戦略のポイントとなるのは次の3点です。

1.グリーンインフラの普及に資するよう、定義や効果等を整理した上で、更に分かりやすく説明。

2.「グリーンインフラの活用が当たり前の社会」の実現に向けた分野横断的な環境整備策をまとめ、初めて20項目のKPIを設定

3.社会課題解決に向けたグリーンインフラを実装する国土交通省の個別事業等を体系的に整理し、代表的な19項目のKPIを設定。

以下に国土交通省が示している「3つのポイント」に関する資料を掲載します。

ポイント2.3.に設定されたKPI(重要業績評価指標)の主な内容です。

「グリーンインフラ推進戦略2030」は、グリーンインフラ官民連携プラットフォームを中心に、地方公共団体や民間事業者、市民団体、地域コミュニティに至るまで、多様な主体と連携してグリーンインフラの実装を更に推進していくとしています。

上図➁「分野横断的な環境整備策・KPI」の1つに、2027年に開催されるGREEN×EXPO2027があり、次項で開催概要を紹介します。

GREEN×EXPO2027 開催概要

GREEN×EXPO2027は、正式名称を「2027年国際園芸博覧会」とし、横浜花博などとも呼ばれています。

2027年国際園芸博覧会は、2027年に神奈川県横浜市瀬谷区と旭区に広がる上瀬谷通信施設跡地を主会場で開催予定の国際園芸博覧会で、日本の国際博覧会としては、2025年の大阪・関西万博の次に開催される博覧会となります。

「花や緑との関りを通じ、自然と共生した持続可能で幸福感が深まる社会の創造を提案、横浜から明日に向けた友好と平和」を開催意義に掲げ、国際的な園芸・造園の振興や花と緑のあふれる暮らし、地域・経済の創造や社会的な課題解決等への貢献を趣旨とします。

■開催概要

・テーマ:幸せを創る明日の風景 Scenery of the Future for Happiness

・サブテーマ:自然との調和、緑や農による共存、新産業の創出、連携による解決

・名称:2027年国際園芸博覧会

・開催場所:旧上瀬谷通信施設(神奈川県横浜市)

・開催期間:2027年3月19日(金)~2027年9月26日(日)

・博覧会区域:約100ha(内、開場区域80ha)

・参加者数:1,500万人(有料来場者数 1,000万人以上)

グリーンインフラのこれまでの歩み

グリーンインフラ(GI)は、2015年に初めて政府の計画に盛り込まれて以来、世界各国の自然活用による解決策を取り入れ、国内における「第六次環境基本計画」をはじめとした、環境・地域活性化。防災等に関する様々な政府計画の策定などを進めてきました。「グリーンインフラ推進戦略」も初回は2019年に策定され、2023年に更新、2026年1月に「グリーンインフラ推進戦略2030」として策定されています。

下表は、「グリーンインフラのこれまでの歩み」を表としたものです。

まとめ

わが国の環境政策で最上位の計画を示すのが、環境省の「環境基本計画」になりますが、これに対して、国づくり、まちづくりの根幹を成すインフラの整備を具体的に進めていく、国土交通省の戦略が「グリーンインフラ推進戦略」といってよいでしょう。

「グリーンインフラ推進戦略2030」の策定によって、建設業が進めていくべき取組がKPI(重要業績評価指標)として明確化されました。

グリーンインフラが目指すのは「自然と共生する社会」ですが、この戦略には世界的な潮流となる、ネイチャーポジティブ(生物多様性)やカーボンニュートラル、減災・防災やインフラ老朽化の解決、SDGsやデジタル田園都市国家構想にある、地域創生なども踏まえた貢献を果たすことが盛り込まれています。

建築・土木を学ぶ学生の皆さんは全国で現実に行われている様々な建設工事や、インフラ再整備、環境整備などへの建設的展開が、このグリーンインフラが目指す姿に合致しているかどうか、見る目を養うことも重要ではないかと感じています。

 

出典:グリーンインフラ推進戦略(国土交通省)

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)