2025年新設住宅着工戸数74万戸、62年ぶりで過去最低水準へ【住宅業界NEWS】
国内の新築住宅需要は減退が続いています。2025年度は、昨年度末の4月建基法改正に伴う駆け込み着工の反動減からスタートして、以降も建築確認に要する日程の長期化や申請者・確認審査機関両方の混乱により、新設住宅着工戸数の減少が続きました。
本記事では、2026年1月30日に国土交通省より発表された「建築着工統計・令和7年計」を基にして、2025年(1月-12月)を通した新設住宅着工戸数と、過年度からの推移等について解説します。
2025年新設住宅着工戸数は74万戸、62年ぶりで最低水準へ
2025年通年の新設住宅着工戸数は、前年度比6.5%減の74万667戸でした。
持家、貸家、分譲住宅の全てが減少し、全体では3年連続の減少となり、1963年以来62年ぶりに過去最低の水準となりました。
■2025年新設住宅着工戸数の概要
1.令和7年の新設住宅着工戸数は 740,667戸(前年比6.5%減・3年連続の減少)
2.新設住宅着工床面積は 56,885千㎡(前年比6.6%減・4年連続の減少)
2025年住宅種別ごと(利用関係別)の着工戸数について
「建築着工統計・令和7年計」によると、利用関係別(持家・貸家・分譲マンション・分譲一戸建て)の着工戸数は次の通りでした。
1.持家:令和7年の持家は 201,285戸(前年比 7.7%減・4年連続の減少)
2.貸家:令和7年の貸家は 324,991戸(前年比 5.0%減・3年連続の減少)
3.分譲住宅:令和7年の分譲住宅は 208,169戸(前年比 7.6%減・3年連続の減少)
・マンションは 89,888戸(同 12.2%減・3年連続の減少)
・一戸建住宅は 115,935戸(同 4.3%減・3年連続の減少)
住宅着工戸数の動きについて定期予測しているシンクタンク、野村総合研究所では、2025年6月時点で2025年度の新設住宅着工戸数は約85万戸となる見通しを発表していましたが、現状の推移から、年度末実績は大幅に予測値を下回ると思われます。
新設住宅着工戸数の推移(2005年~2025年)
「建築着工統計・令和7年計」を基にして、筆者が2005年から2025年まで21年間の「新設住宅着工戸数の推移」をグラフと表にまとめたものを掲載します。
グラフに細かな数値を表示させても画面上で見えにくい面があると思いますので、推移表をグラフ化したものには数値を個別表示していません。変動傾向をグラフで読み、実際の数値は一覧表を参照いただきたいと思います。
一昨年(2024年)までの推移で新設住宅着工戸数が最も少なかったのは、2009年の約78万8000戸で、リーマンショックによる不況の影響を最も強く受けた年でした。
2015年以降2019年までは約90万戸、2020年以降2023年までは約80万戸台で推移してきた新設住宅着工戸数ですが、2024年は15年ぶりに80万戸を割り、2025年はさらに74万戸まで減少しました。
2009年に約28万5000戸であった持家は、2024年に約21万8000戸、2025年は約20万1000戸と2009年対比で3割以上減少しており、その最も大きな原因は「持家購入者層」の人口減少であることは明らかであり、それ故に今後も大きく需要が回復する見通しは立たない状況です。
2026年の動きとして予想されること
(一財)建設経済研究所によると、2026 年度の新設住宅着工戸数は、前年度比5.5%増の77.7万戸と予測されており、 2025 年度の反動減から回復して、前年度比で増加するとされています。
予測通りになれば、2026年は一旦回復が見込まれますが、長期的なトレンドとして住宅需要を抑制する問題点は根強く、住宅市場が安穏な動きに戻るわけではないと予想されます。
直近の住宅着工戸数の伸び悩みについては、以下のような要因が挙げられます。
■建設費の高騰
建築資材の価格高騰が続き、人件費の上昇に加えて、円安の影響で住宅価格が上昇し、消費者の購買意欲が低下しています。
■金利上昇
円安や国債の急激な値動きに連動して、住宅ローン金利が上昇していくことへの懸念から、一次取得層の買い控えが進むと考えられます。
■人口・世帯数の減少
少子高齢化により、根本的な住宅需要の縮小が続いています。
■空き家の増加
2025年問題に伴う空き家の増加も中古市場への流入を促す要因となり、新築需要を圧迫する原因の一つとされています。
このような状況に対して、国内大手住宅メーカーを中心に進んでいる動きは、積極的な海外進出や非住宅建築への展開、持家販売から集合住宅、分譲住宅・分譲マンションへのシフト、リフォーム事業への転換になります。
倉庫やデータセンターを中心に、商業施設や中高層ビル等の非住宅建築へ軸足を移していくには、住宅メーカーがデベロッパー(不動産開発)としての機能を強化する経営戦略を進めていく必要があります。
また、住宅を購入する30代~40代の需要は、一部が中古物件などに流れることが予想されていますが、ここで実績を伸ばすには、良質な中古住宅を魅力的な商品として供給できるマーケットを構築していくことも重要な対策の一つになるでしょう。
住宅市場は二極化していく可能性が高く、現在も一次取得層が様子見の姿勢を強める一方で、利益率が高い富裕層向けの高付加価値物件へと市場がシフトしています。富裕層の需要に応える商品開発の重要性がますます高まっていますし、一次取得者層への販売を推進するならば、相場より安価なアフォーダブル住宅の開発も視野に入っていくでしょう。
2026年の住宅業界研究・企業研究には、数年先までの経営戦略や今後10年、15年を見据えた将来展望、そして中期経営計画に対する直近の達成状況などを確実に読み取っていく必要があります。
●住宅着工戸数などについては、こちらの記事でも確認ができます。
参考:【建設業の基礎知識】2026【2】建設経済モデルによる「建設投資の見通し」2026年1月版
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)




