安藤ハザマが遠隔操作・自動掘削を実現する新型「AI-ロードヘッダ」2機種を開発【建設DX】
2026年1月22日、安藤ハザマは三井三池製作所と山岳トンネル工事向け「AI-ロードヘッダ」の新型機2機種を共同開発し、建設現場で長期実証実験を開始したことを発表しました。
本記事では、新型「AI-ロードヘッダ」開発の背景や新機種の特徴、従来機種からの改良点などについて解説します。
新型AI-ロードヘッダ開発の背景
建設業界では就労者の高齢化や人手不足の影響により、熟練技能者の技術の喪失、労働力不足などの課題に直面しています。
課題解決にはICTを活用した生産性の向上が必須であり、熟練技能者の持つ知見を暗黙知から形式知化する必要があるとされています。
山岳トンネル工事において切羽作業は最も危険な作業であるとともに、作業の多くが粉じんを伴うことから健康被害も懸念されます。その中で機械掘削工法では、重機オペレーターが長時間の粉じん発生作業に従事するため、この作業を無人化することは生産性向上のみならず、安全面・環境面からも重要です。
安藤ハザマは、ICTによる山岳トンネル工事の生産性を大幅に高める取り組みとして、「山岳トンネル統合型掘削管理システム(i-NATM)」の開発を推進しています。この開発の一環として、三井三池製作所と新型AI-ロードヘッダを共同開発しました。
対象機種は、集土/排土機能を備えた積込み機能付きの「MRH-S200Gi」と、作業性が向上した大型タイプの「SLB-300Si」です。(下図)
実現場導入による長期実証実験の概要
安藤ハザマは、2023年6月に「令和3年度 中部縦貫坊方トンネル工事」において、今回開発機の前機種、「AI-ロードヘッダ MRH-S200i」による自動掘削および遠隔掘削の実証試験を行い、その有効性を確認しました。(下写真)
さらに実証試験で得た知見をもとに、「ずり積込み作業の効率向上」を目的として集土・排土の機能を付加した、積込み機能付きAI-ロードヘッダ MRH-S200Giや、大型化により作業性を向上させたAI-ロードヘッダSLB-300Siを新開発し、工場試験などを行ってきました。
そして今回、MRH-S200Giを「大分210号川下トンネル新設工事」に導入、SLB-300Siを「R5国道246号厚木秦野道路伊勢原第一トンネル工事」に導入し、新機能を含む作業性確認を目的とした長期実証試験を行うこととなりました。
実現場導入による長期実証試験で得た知見をAIに反映し、機能の充実を図ることも目的としています。
新型AI-ロードヘッダの特徴と改良点
1.積込み機能付きAI-ロードヘッダ MRH-S200Gi
MRH-S200Giは機体後方に装備したコンベヤにより、掘削したずりをダンプトラックへ直接積み込むことが可能です(下写真)。
2.AI-ロードヘッダ SLB-300Si
SLB-300Siは出力向上のほか、大型化により施工範囲が広がり、高速道路トンネルなどにおける全断面掘削が可能となりました。
■新型AI-ロードヘッダは従来機種と比較して、以下のように機能向上しました。
1.自動運転機能
AI-ロードヘッダ自身の位置と掘削対象となる切羽面の位置を把握し、切削ブーム先端に設置されたドラムの移動経路を生成することで自動掘削を行います。
切削中の負荷からドラムの速度を自動的に調整し、機械が最適な運転を行います。
新型機では、現場で一般的に使用する計測システムを用いて、短時間での自己位置把握が可能となりました。
2.遠隔操作機能
遠隔地から、AI-ロードヘッダの「移動」「掘削」(MRH-S200Giでは「集土」「排土」も含む)といった一連の操作が可能です。
AI-ロードヘッダの機器情報は遠隔操作室のモニターおよび掘削アシストシステム(下図)を用いてリアルタイムに確認することができます。
前回の実証試験で得た知見をもとに、トラブル時のポップアップ表示やアラート音など、さらに状況把握が容易になるよう改善を行いました。
また、掘削アシストシステム(下図)はLiDARにより取得された周辺データを重ねることができるようになり、AI-ロードヘッダと切羽の詳細な位置関係など、より実態を反映した状況把握が可能となりました。
今後の展望
安藤ハザマは、AI-ロードヘッダのラインナップをシリーズ化し、様々な現場条件に対応できる体制を整えていく予定です。また、長期実証試験で得た知見をAIに反映し、さらなる機能強化を進めます。今後も自動化・無人化技術の開発を推進し、山岳トンネル工事の安全性と生産性向上を目指して取り組んでいく方針です。
出典:遠隔操作・自動掘削を可能とするAI-ロードヘッダの高度化(安藤ハザマプレスリリース)
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)





