【建設業の基礎知識】2026【1】衝撃!建設資材・労務単価高騰の実際(2025年12月版)

2026年1月、日建連が資材費・労務費高騰の最新情報を公開しました

2026年1月7日、一般社団法人日本建設業連合会(日建連)は、2025年12月版の「建設工事を発注する民間事業者・施主の皆様に対するお願い・建設資材高騰・労務費の上昇等の現状パンフレット」を公開しました。

このパンフレットでは、昨年度に引き続き、止まることのない資材価格高騰や労務費上昇の現状に加えて、2025年12月12日に全面施行された改正建設業法に基づく、価格転嫁や工期変更に関する「新しい契約・協議のルール」について説明しています。

本記事では、建設業者と発注者の協議や見積り作成の根拠となる資材費、労務費の最新データ、法改正により現場実務がどう変わるかについて解説します。

適正な価格転嫁と工期設定が義務化されました

2025年12月12日に全面施行された「建設業法及び公共工事の入札及び適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」により、建設業者と発注者の関係は大きく更新されました。その主たる内容は以下の通りです。

■資材高騰分等の価格転嫁を円滑にするための改正

1.資材高騰等に伴う請負代金等の「変更方法」が法定記載事項になりました。

同時に「契約変更を認めない」とする契約は認められなくなりました。

2.受注予定者は、見積書交付時等に資材高騰等のリスク(おそれ情報)を発注者に通知する仕組みが導入されました。

3.契約後に「おそれ情報」が発生し、資材高騰等が顕在化した場合、受注者は変更協議を申し入れることができ、注文者は「誠実に協議に応ずる努力義務」を負います。

4.注文者は受注者の変更協議の申出に対して、協議のテーブルについたうえで、変更可否について説明する必要があります。

上記、1.~4.のルールで価格転嫁等に対して「誠実な協議」が法定化され、注文者は正当な理由なく協議を拒んだり、引き延ばしたりすることはできないとされました。

●「工期の変更協議」についても、同様に見積書交付等のタイミングで、資材の入手困難等の「おそれ情報」を注文者に通知することで、契約後に「おそれ情報」が発生し、工期の変更が必要となった場合には、受注者が注文者に契約上の工期の変更協議を申し入れ、注文者は誠実に協議に応じる努力義務があります。

★総合資格ナビでは、改正建設業法について、過去記事で詳細内容を解説しています。未読の方は、ぜひご一読ください。

過去記事:2025年12月全面施行「改正建設業法」3つのポイント【国土交通省】

建設資材高騰の現状(2025年12月版)

世界的な原材料および原油等エネルギーの品不足や価格高騰・円安の影響を受けて、建設工事の資材価格なども高騰しています。下図は2021年1月から2025年11月までの建設資材物価指数(東京)の推移です。

建設資材物価は、2021年1月と比較して、土木部門(平均)で41%上昇し、建築部門(平均)では37%、建設全体(平均)では38%の上昇で、2024年12月対比で5~6%上昇しています。

建設工事において、資材費の割合を50%から60%と仮定すると、資材高騰の影響による全建設コスト(平均)は19%から23%上昇したことになります。

建設資材高騰の主な原因は、ウッドショック・アイアンショック(コロナ禍の需要増と供給制約)、ロシア・ウクライナ戦争(資源価格高騰)、深刻な円安(輸入コスト増)、燃料費・電気代高騰、世界的な建設需要増、そして国内の慢性的な職人不足と労務費上昇が複合的に絡み合っています。これら物価高の要因は単独ではなく、複数の要因が相互に重なり合うことで価格を押し上げているのです。

下図は日建連が作成したパンフレットに記載された、各建設資材の価格高騰の現状を示した一覧表となっています。

出所:一般社団法人日本建設業連合会

労務費の上昇等の現状(2025年2月更新版)

政府の賃上げ方針や労務単価の引き上げなどを受けて、建設現場で働く建設技能労働者の賃金も上昇しています。

建設技能者の賃金相当として積算される「公共工事設計労務単価」という指標単価は、毎年、政府において決定されていますが、2021年度に比べて2025年度は22.9%引き上げられています。

国土交通大臣と建設関係4団体は、2021年度から毎年、賃金上昇の申し合わせを行っていますが、2025年度は概ね6%の賃金上昇を目標とされており、国土交通省から実現に向けた指導が行われています。

下図に公共工事設計労務単価(平均)の引上率が記載されていますが、労務費割合を30%と仮定すると、過去49カ月で労務費上昇の影響により、全建設コストは6.9%上昇することになります。

下図は日建連が作成したパンフレットに記載された、建設技能者の労務単価の上昇の現状を示した一覧表となっています。

出所:一般社団法人日本建設業連合会

全建設コストは過去5年で約3割上昇している

建設工事における、建設資材(材料)費の割合を50%から60%、労務費率30%と仮定すると、この58カ月で建設資材の高騰・労務費の上昇の影響により、仮設費や経費などを含めた全建設コスト(平均)は、26%から30%上昇すると算定されます。

(土木分野では28%から32%上昇、建築分野では25%から29%上昇となります。)

例えば、100億円の建設工事では、2021年には「労務費+原材料費」で80億円から90億円であったものが、2025年度には106億円から120億円に上昇するということですので、建設工事費の見積もりを130億円程度に修正しないと利益確保できないことになります。

資材価格高騰や労務費上昇とは別に、設備関連や一部建設資材の納期が遅延していることや、配送費の上昇など様々な要因が工期に影響を与えています。

特に一部の建築設備工事については、工事の集中により、技能労働者の手配が厳しくなっており、資材調達の遅れと相まって、工期に深刻な影響が出ています。

下表は日建連会員企業から納入遅れが報告されている資材・設備の一覧です。

まとめ

建設業界では「価格転嫁」と「適正工期」実現が直近の重要課題であり、この課題は、この数年間で重点的に進めてきた「働き方改革」と密接な関連性があります。

2025年12月の建設業法全面施行で、この取組みは新たなフェーズに入りました。

発注者へ適正金額で見積りを提示し、工期交渉を行うには、本記事で紹介した資材費高騰や労務費上昇のデータが強力なエビデンスになるでしょう。

工事請負金額の改善が進む一方で、建設工事費高騰や人手不足により、大型開発プロジェクトでは工事の遅延や中止、計画の見直しを余儀なくされる案件が急増しています。

従来と同じようには進まない厳しい展開もありますが、建設業界が健全に発展し、建設業者が持続可能な経営を継続していくには、建設DXへの取組みによる生産性向上と併せて、適正契約を守ることは非常に重要です。

わが国は防災や老朽化したインフラの再整備など、ますます建設の重要度が増す転換期を迎えています。公共・民間の旺盛な建設需要に対して、これからは優先順位の判断も必要な時代が到来したといえるのかもしれません。

建設系学生の皆さんも、全国の建設プロジェクトや、その工事計画、進捗状況など、国内外の情報・動向には注目していきましょう!

総合資格ナビでは、2026年も建設系の最新情報や重要政策などを幅広くお届けしていきますので、乞うご期待ください。

 

参考:2025年2月に掲載した前記事となります。

【建設業の基礎知識】2025【2】戦慄?建設資材・労務単価高騰の実際

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)