2028年度から建築物のLCCO2算定を義務化・ロードマップを公表へ【国土交通省】

日本で排出される二酸化炭素(CO2)のうち約40%を建築分野が占めています。

政府では「建築物の省エネ化」にとどまらず、建築物の計画から解体までのライフサイクル全体でCO2の排出量を削減していくため、2025年6月から「建築物のライフサイクルカーボン(LCCO2)」の算定・評価を促進する制度の検討を進めており、2028年度から大規模建築を対象に制度化することを目指しています。

この制度では、LCCO2の算定・公表・報告の義務化が想定されているため、建材・設計・施工、各段階でのデータ整備や対応方針の検討などが急務となっています。

本記事では、2026年1月28日に国土交通省が公表した「建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議(中間とりまとめ)」の内容を中心に、関連法改正案のポイントや、LCCO2削減に向けたロードマップについて解説します。

LCCO2関連法改正案のポイント

政府が検討中の関連法改正案では、建築物の資材・設備製造から施工、解体までの工程で排出される二酸化炭素(CO2)の総量を算定・評価する「国の統一ルール」を作成し、5,000㎡以上のオフィスビル・事務所等の大規模建築物を対象として、建築主には新築や増改築の着工前に算定結果を国に届け出るよう義務付けることが盛り込まれています。

改正案が施行された場合、一定規模以上の新築・増改築についてLCCO2の算定・報告・公表が義務化される見通しで、対象基準や報告様式、第三者評価の有無、適用開始時期が制度設計の焦点となっています。

LCCO2の削減に向けたロードマップ

2026年1月28日の中間とりまとめでは、「建築物のライフサイクルカーボン(LCCO2)の削減に向けたロードマップ」が公表されました。

■建築物のライフサイクルカーボン(LCCO2)の削減に向けたロードマップ

ロードマップでは、2028年度から第1ステップとして、延べ面積5000㎡以上の大規模事務所ビルの新築等を対象に、建築主がLCCO2を算定し、国へ届出する制度を導入し、この届出を義務化する方針です。

また同様に2000㎡以上の非住宅建築物を手掛ける建築士に、LCCO2算定結果と削減策を建築主に説明する義務を課す案が示されました。

第2ステップでは、制度開始3年以内を目途に、LCCO2評価の一般化や削減策の措置を検討開始し、制度開始から5年以内には、届出対象となる建築物の対象用途や規模を拡充していく方針で、LCCO2が大きい建築物から段階的に規制を適用していく方針です。

建築用途・規模別のLCCO2排出量の割合は、延べ面積5000㎡以上の事務所用途で5%、2000㎡以上の非住宅建築物で25%を占め、この2つで全体の3割を占めています。

国土交通省では、制度開始に向けて、建材・設備のCO2排出量の原単位を整備するようメーカーに求めており、特に鉄鋼材料やコンクリート、木材など主要建材の原単位を2027年度までに整備完了する予定としています。

主要建材には、大規模事務所ビルの内外装に用いられるアルミサッシやガラス、OAフロア、石膏ボードなどを含み、2028年度からの義務化に備えて、可能な範囲で整備を進め、整備が難しい建材については、国土交通省でデフォルト値を設定する予定です。

LCCO2評価制度導入の効果と課題

建築物のLCCO2評価制度を導入する効果としては、建材選定や設計段階から低炭素化が促進され、市場では低炭素製品(GX製品)への需要が拡大し、投資や調達の評価指標によい影響がでることが考えられます。

一方で、導入に向けた現実的な課題は多岐にわたります。例えば、現状では製品別の原単位データが不足しており、これを整備することやデータを蓄積することに手間やコストが掛かります。

設計・施工現場では技術者人材が不足しており、特に中小事業者の負担が大きくなります。また、地震・災害対応や耐久性など日本特有の条件をどう制度設計に反映するか、段階的導入や簡易評価ルールとの整合も検討が必要です。

まとめ

今回の改正法案では、5,000㎡以上の大規模な事務所建築物を新築する場合などについて届出を義務付ける方向性が示されました。それ以外にも2,000㎡以上の非住宅建築物の新築・増改築についても、建築士が建築主に対してLCCO2の評価結果等の説明を義務付けることや、建築物のLCCO2評価結果に係る表示ルールの策定を検討すべきといった議論が生まれています。

本報告は中間とりまとめになり、公表されたロードマップに沿いながら、今後も検討や実践を重ねていくことになります。第1ステップに向けた動向については、再び国土交通省より公表された段階で、記事として取り上げていくようにします。

建設系学生の皆さんは、わが国が目指す「2050年カーボンニュートラル」に向けた建設業の取り組みとして、LCCO2(建築物のライフサイクルカーボン)への動きも押さえておきましょう!

 

出典:建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会(中間とりまとめ)2026.1.28国土交通省

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)