内定承諾の条件とは?建設系学生が就職先に望むこと!【就活情報】
わが国では、新卒の学生に限らず、労働力人口全体でも少子高齢化による労働力不足が深刻な問題となっています。
例えば、労働人口は需要予測に対して、2030年に約341 万人、2040年には約1,100万人が不足する見込みといわれているのです。(下グラフ)
現在でも新卒採用環境は厳しく、多くの企業が採用活動を前倒して人材確保に取組んでいますが、約6割の企業が採用数の目標を充足できていないといわれています。
建設業は他の産業に比べても採用難は著しく、2026年卒の大卒求人倍率調査では、建設業求人総数11万人に対して、就職希望者数は12,900人で、求人倍率は8.55倍という実態でした。
(出典:リクルートワークス研究所 2025.4.24大卒求人倍率調査/建設業)
このような背景から、2027年卒は2026年卒と比較しても、さらに採用活動が早期化しており、且つ就職活動期間は長期化する傾向にあるのです。
本記事では、2025年卒の内定状況や2026年卒が内定承諾において「企業を選ぶ決め手」となった事項などを紹介し、現在進行形で就活に取組んでいる2027年卒以降の学生たちに参考情報として提供するものです。
内定取得した約3社から就職先を選び、約7割が入社に納得
就職みらい研究所(インディード・リクルート・パートナーズ)が2025年4月11日に公表した「就職白書2025」によると、2025年卒の就活生のうち、1社以上内定を取得した学生の平均取得社数は2.74社で、2023年卒の2.52社、2024年卒の2.61社から増加傾向を示しています。(下図)
全体で2社以上内定を取得した学生の割合は68.0%で、複数社の内定を得ている学生が約7割に上る結果となりました。2024年卒の64.7%から3.3ポイント増加しており、複数社から内定を得て1社を選ぶ行動が一般的となっています。
就職先が確定した学生のうち、「第一志望群」に入社予定の学生は63.2%で、前年(64.0%)と同水準となりました。(下図)
入社予定企業へ就職することへの「納得度」については、納得していることに「当てはまる」「どちらかというと当てはまる」の合計が73.6%で、約4人に3人は納得が得られている状況です。(下図)
これらのことから、2025年卒の学生は比較的早い時期に本命企業群から内定を得ており、就職先に対する納得度も高い傾向があることに間違いありません。
但し、裏を返せば、36.8%が「当初は第1志望ではなかった企業」に入社予定であることも事実であり、逆算して26.4%が「入社予定企業に納得していない」と読むこともできる結果だったということなのです。
実際に「就職白書2025」に掲載された「2025年卒就職活動の振り返り(学生)」では、次のような就活生たちの悩みや不安が聞かれています。(該当頁から一部を抜粋)
●入社先は決めたものの、十分に情報を収集した上での選択だったのかと、今でも迷いが残っています(学部生・理系・女子学生)
●すんなり内定先が決まってしまったため、人手不足企業なのかと不安になった。他の規模が大きい企業も検討した方が良かったのかとも思う。(学部生・文系・男子学生)
●「自分にはもっと合っている企業があるのではないか」という気がして、内定を受諾するべきか、これで就活を終えていいのかと、判断しかねています。(学部生・理系・男子学生)
●企業をどのように評価したらいいのか、最後まで自分ならではの基準が定まらず、自分の選択は正しかったのかともやもやしている。(学部生・理系・男子学生)
●採用が早期化しているせいで、周りの就活生が内定を取得するにつれて焦りが強くなり、第3志望の企業の内定を取得した時点で、受諾して就職活動を早く終わらせたくなってしまった。(学部生・理系・男子学生)
順調に内定を得たものの、気になる他社の選考も進んでしまっていて、すでに方向転換が難しい状況があるものと推察されます。
入社前には、誰でも多かれ少なかれ不安を感じるものですから、このような悩みや不安を感じることは、決して珍しいことではありません。
入社後には、「やはり、この会社でよかった」、「とにかく前を向いて頑張っていこう」と感じる人の方が多いので、過剰に神経質になる必要はありませんが、事前にしっかりとした企業選択の基準を持っておくことは大切であると思います。
後悔や不安を抱えたままで入社することは、やはり早期退職につながる可能性も否定はできません。できる限りミスマッチを避けるに越したことはないのです。
出典:就職白書2025(就職みらい研究所/インディード・リクルート・パートナーズ)
建設業における早期退職の現状(厚生労働省統計より)
厚生労働省が2025年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、建設業における「就職後3年以内の離職率」は、令和4年(2022年)3月卒業者で以下の通りです。
●大学卒:30.3%
●高校卒:42.0%
建設業の離職率は全産業平均(大卒33.8%、高卒37.9%)と比較すると、大卒は平均を下回っており決して高くはありません。一方で、高卒は平均を上回る傾向にあります。
■建設業の新卒3年以内離職率推移
厚生労働省のデータを基にした、近年の建設業における3年以内離職率の推移を表として作成しました。(下表)
建設業における新卒3年以内の離職理由は、厚生労働省や関連機関の調査から、主に「労働環境のミスマッチ」と「人間関係」に集約されます。
1.労働時間・休日への不満
他産業と比較しても離職理由のトップに挙がることが多く、建設現場の工程を優先せざるを得ない、建設業特有の構造が背景にあります。
・休日の少なさ:現場の工期遵守のため、週休2日制が完全施行されていない現場がいまだ存在すること。
・長時間労働:残業や休日出勤が常態化している現場があり、ワークライフバランスの確保が難しいこと。
2.人間関係と職場環境
若手入職者が早期に離職する心理的な要因です。
・コミュニケーションの壁:上司や先輩との人間関係が悪い、または職人気質の厳しい指導スタイルに馴染めないケース。
・社風のミスマッチ:昔ながらの「見て覚えろ」という徒弟制度的な教育方針や、社風が合わないと感じる。高齢化が進み、上司が親より年長ということもあるでしょう。
3.仕事内容・キャリアへの不安
入社前のイメージと実務にギャップを感じることが多いようです。
・業務内容のミスマッチ:自身の希望と実際の業務が異なる、または体力的に想定以上にハードであること。
・キャリア形成の不透明さ:将来的なスキルアップや昇進の道筋が見えず、働き続けることに不安を感じる。
4.賃金・待遇面
責任の重さや労働時間の長さに比べ、給与が低いと感じる。
・福利厚生の未整備:中小規模の企業、現場において、社会保険や福利厚生が十分に整っていないことへの不満。
■若手と企業の認識にはズレがある
厚生労働省の資料等では、企業側が「賃金の低さ」を離職の主要因と考える一方で、若手側は「休みが取れない」「人間関係」をより重視して離職を決めるという認識のギャップが指摘されています。
2024年4月からは建設業に時間外労働の上限規制が適用されるなど、国を挙げた働き方改革が急速に進められていますので、改善が進んだ職場は多いはずです。
また近年は終身雇用をイメージして入社する学生は少なくなり、仕事を通したスキルアップや転職によるキャリアアップをためらわない学生も多いため、職場環境が自分に合っていないと感じると、我慢して勤務を続けるのではなく、早期に見切りをつけてしまう傾向がある可能性は感じられます。
2026年卒の学生が応募企業に求めていること
本項は株式会社リクルートマネジメントソリューションズが、2026年卒として就職活動を行った大学4年生・大学院2年生1,008名に対して実施した「2026年新卒採用大学生の就職活動に関する調査」の調査結果を参考にしています。
「」内は調査結果から引用しています。
■安心感を重視する一方で、アグレッシブさを求める、二面性のある価値観が鮮明
「働く上で重視したい社風として「理想に向かう情熱と意欲」、「厳しさと競争を通じた成長」といったハードな組織は好まれず、「相互の思いやりとあたたかさ」、「オープンなコミュニケーション」、「強い連帯感とチームワーク」のある「協調/親和」的な組織が支持されている。」
「仕事に求めることの1位は「安定」、次いで「貢献」、「成長」がほぼ同水準で並ぶ結果」となり、「安定」は過去10年で最も高い選択肢に。
「過去数年「チャレンジ」、「理想」、「競争」といったアグレッシブな要素の選択肢が上昇する傾向もみられる。」
このことから、「まず安定した環境を確保することが前提。その上で、貢献・成長し、思い切ってチャレンジし理想や競争を追い求めたいという気持ちがある」のだと思われます。
2026年卒内々定受諾の最終的な決め手は何か?
本項も引き続き「2026年新卒採用大学生の就職活動に関する調査」の調査結果から紹介します。「」内は調査結果を引用しています。
「内(々)定受諾の最終的な決め手は「自分のやりたい仕事 (職種 )ができる」が 1位。「勤務地」「福利厚生」「業績の安定性」など働く環境・条件に関する項目の選択率が伸びた結果、昨年まで2位の「社員や社風が魅力的」は 5位となった。」
「「社員や社風が魅力的」 の選択率の大幅な低下に加え、 「企業理念やビジョンが魅力的」「製品・サービスが魅力的」 の 選択率 低下 、 「企業の規模が大きい」「労働時間や勤務スタイルに魅力がある」「入社後のキャリアを具体的にイメージできる」の増加がみられる。」
「自分がその会社で 働くイメージを具体的に持てること、不確定要素が少ないこと が 最終的な決め手となる傾向がある。」
出典:2026年新卒採用大学生の就職活動に関する調査(リクルートマネジメントソリューションズ2025.12.2 プレスリリース)
まとめ
筆者が大学・高専等で「建設業界就職セミナー」を開始した2008年頃に比べると、最近の建設系学生は、就職に関して格段にしっかりとした見識を持っている印象があります。それは各大学等で低学年から段階的に行われているキャリア教育の影響が大きいと思います。また、同時期から次第にインターンシップ等が盛んに行われるようになったことも大きな要因といえるでしょう。
1990年代初頭までの建設系学生は、大学(教員)から紹介や推薦を受けて、ゼネコンやインフラ系企業に応募して、1社内々定がでるともうそれで就活は終了という感じでした。
現代では、学生の志望や志向性には多様性があることが前提となっていて、就職において重視するポイントや、その優先順位は人によってそれぞれ違うことが当たり前になっています。
但し、助言をするとすれば、就活では業界全体を俯瞰する目を持つことや、企業経営者の視点に立って、現実を見据えて理解することが必要であると思います。
建設系企業の多くが、事業を通した社会貢献や環境問題への取り組みなどに積極的な投資を行っています。近年では新卒採用に当たって、人財投資やAI導入、建設DXやICTへの取組をアピールすることが重要なポイントになっています。
それでも企業経営の最大の目的は、前年を超える売上から最大利益を追究することにあり、継続経営や株主への還元などが大命題となっています。
社員採用や育成は、この企業の目標・目的を達成するために重要な取組なのです。
皆さんにとっては、企業の一員として活躍することで自身のスキルを伸ばし、職能を身につけることが重要になるのですから、就活生が最も注目すべきは「企業で働く人」そのものになるのかもしれません。
先輩や上司を追いかけ、追い越すことを目標にして頑張っていく。この前提を見失い、先輩や上司と人間関係が悪いとか、会社の人が尊敬できないなどの理由が離職に繋がっていくことがないように、平均3社ほどの内々定から1社を選ぶ際には、自身が働く場となることをイメージして、最良な選択ができるように臨んでいきましょう!
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(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)







