
国土交通省が建築物改修工事調査報告を公表。2024年度受注高は13.8兆円超で非住宅需要が牽引した
国土交通省は、建築物リフォーム・リニューアル工事について、建設業許可業者5,000者を対象に四半期ごとに受注状況の調査を実施しています。
2025年6月に令和6年度第4四半期調査報告があり、2024年度累計受注高や過年度を含めた受注高推移が公表されました。
本記事では、「建築物リフォーム・リニューアル工事」の2024年度受注実績(概要)について紹介します。
建築物リフォーム・リニューアル受注高(2024年度実績)について
2024年度に建設業許可業者が元請けとして受注した建築物リフォーム・リニューアル工事の受注高は、前年度比4.2%増の13兆8303億円でした。
受注高の約3割を占める住宅に係る工事の受注高は4兆1318億円で、前年度比3.3%減少した一方で、非住宅建築物に係る工事の受注高は9兆6984億円で、前年度比7.7%伸長して全体を牽引した結果となりました。
2024年度受注高まとめ
・合計:13兆8,303億円(対前年度比4.2%増)
・住宅:4兆1,318億円(対前年度比3.3%減)
・非住宅建築物:9兆6,984億円(対前年度比7.7%増)
工事種類別
1.住宅
・増築工事:554億円(対前年度比7.9%増)
・一部改築工事:1,444億円(対前年度比10.1%増)
・改装・改修工事:3兆2,517億円(対前年度比1.9%減)
・維持・修理工事:6,803億円(対前年度比8.8%減)
2.非住宅建築物
・増築工事:4,005億円(対前年度比0.4%増)
・一部改築工事:2,039億円(対前年度比0.0%増)
・改装・改修工事、維持・修理工事:9兆941億円(対前年度比8.3%増)
業種・業者規模別(住宅)
・「建築工事業」(2兆7,494億円、対前年度比13.4%増)、「職別工事業」(9,166億円、対前年度比33.0%減)の順に多い。
業種・業者規模別(非住宅建築物)
「建築工事業」(3兆9,361億円、対前年度比16.4%増)、「電気,機械器具設置工事業」(1兆6,606億円、対前年度比3.2%増)の順に多い。
用途別
住宅が「戸建住宅」が前年度比4.2%減の2兆1,754億円、「共同住宅」が2.2%減の1兆9047億円の順で、非住宅建築物は「事務所」が同10.8%減の2兆2053億円、「生産施設(工場、作業場)」が同13.8%増の2兆475億円の順に多い。
発注者別
住宅は「個人」が前年度比4.6%減の2兆6,427億円と減少した一方、「管理組合」は3.1%増の7350億円でした。非住宅工事は「民間企業など」が8.8%増の7兆5,112億円、「公共」が同7.8%増の1兆8,951億円となりました。
まとめ
建築分野において、改築・改装・改修工事が占める割合を把握していくために、本記事にまとめました。2024年度報告に合わせて過去5年間(表では過去3年間)の受注高推移を確認すると漸増傾向にあることがわかります。
住宅部門については、区分所有法改正により、集合住宅・マンションの改修は増加していくことが予想されます。非住宅建築物については、産業構造の変化等に伴う民間需要増加に加えて、民間・公共を問わず、防災・減災対策としての改修が増えていくと思われます。
建設事業者の中にも、大規模改修工事を主とする建築事業者や施工物件を豊富に有する総合建設業や住宅関連業者等では、リニューアル工事の扱いが伸びていくことでしょう。
一方で民間団体や建築学生団体による古民家や既存建物の改修は、建築基準法改正により確認申請が必要な場合が多くなるなど、比較的手軽なDIYから建築士が設計監理する本格的な工事へと発展していくことが考えられます。
業界研究では建築工事の分野として、改修工事の動きについて着目してみましょう。
出典:建築物リフォーム・リニューアル調査報告 (令和6年度計 国土交通省)
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)