【建設業の基礎知識】2025【5】i-Construction 2.0の2025年度計画を発表、自動施工/遠隔施工の担い手育成を本格化

国土交通省は、2024年にスタートした「i-Construction 2.0」の1年間の成果を取りまとめ、2025年度の計画を発表しました。本記事では、その概要について解説します。

i-Construction2.0は2025年度計画で3領域のオートメーション化をさらに推進する

i-Constructionは2016年度に開始し、社会情勢の変化やAIなどデジタル技術の進展を受け、2024年度に2.0へアップデートしました。ここで掲げる目標では、2040年度までに建設現場の省人化率を3割、生産性を1.5倍とするとし、3本柱として、「施工のオートメーション」、「データ連携のオートメーション」、「施工管理のオートメーション」を進めていくものとしています。

下表は2025年4月18日に国土交通省が発表した「2025年の主な取り組み」です。

「施工のオートメーション化」で取り組むこと

施工のオートメーション化は、自動施工、遠隔施工、施工データの活用から成り、施工データをリアルタイムに活用して、建設機械の自動運転や自動施工を促進していくものです。

2024年度は、自動施工で成瀬ダムや霞ヶ浦導水石岡トンネルなど4件の試行工事で、自動運転やバックホウによる自動積み込みを行いました。成瀬ダム堤体打設工事では、現場から400キロ離れた場所から、3人のITパイロット(監視者)が3機種14台の建機を昼夜連続で自動運転させています。

2025年度も引き続き、試行工事を継続実施し、取り組みの対象を拡大していく予定です。

2025年度は、安全ルールに基づく自動施工に関する試行を進めるとともに、山岳トンネル工事へと対象工種を拡大していきます。山岳トンネル工事のオートメーション化は、2025年度に3件程度の試行工事を予定しています。

「自動施工コーディネーター」と「遠隔施工オペレーター」を育成していく

施工のオートメーション化を推進していくには、建設現場へ自動施工導入を強力に進めていくことが必要です。

そのために、2025年度から、自動施工や現場に関する幅広い知識を持ち、中小建設現場に自動施工の導入を支援する「自動施工コーディネーター」や、遠隔施工を担う「遠隔施工オペレーター」の本格的な育成プログラムを展開していきます。

「遠隔施工オペレーター」については、2024年度は全国の各地方整備局において無人化施工講習会を30件実施し、延べ1,018名が受講しています。

「データ連携のオートメーション化」で取り組むこと

データ連携のオートメーション化では、デジタル化やペーパーレス化を推進していきますが、現状でBIM/CIMの活用が原則化されているため、2025年度は、BIM/CIMによる3次元モデルと2次元図面の整合確認方法のルールを策定し、3次元モデルを契約図書の一部として活用する検討に入っています。

将来は課題だった整合確認の自動化と3次元モデルの契約図書化を目指します。

その他にもBIM/CIM積算に向け属性情報を標準化し、2次元図面による数量算出作業の削減や転記ミスなどの防止を図ることや、必要な工事工種体系ツリーコードデータやIFCデータを設計数量管理機能にインポートするツールを公表していきます。

「施工管理のオートメーション化」で取り組むこと

施工管理のオートメーション化(リモート化/オフサイト化)では、3Dプリンタも含めプレキャスト部材の活用や施工管理や監督検査のリモート化などを目標としています。

2025年度は、施工段階で作成した3次元モデルや出来形管理図表(ヒートマップ)をAR(拡張現実)で現場に投影する出来形検査を採り入れ、ペーパーレス化と迅速な検査処理を推進します。

また2023年度から全国直轄工事で、生コンクリートのスランプ検査に画像解析AIを活用することで、受け入れ検査工程の省人化を図る試みを継続しており、2024年度は11件で試行しました。2025年度以降は本格運用を開始していきます。

まとめ

国土交通省では、i-Constructionや「インフラ分野のDX」を建設現場の生産性向上や業務、組織、プロセス、文化・風土や働き方の変革を目的とした位置づけで推進しています。2024年から始まったi-Construction2.0は、2040 年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍向上することを目指し、「施工のオートメーション化」、「データ連携のオートメーション化」、「施工管理のオートメーション化」を3本の柱として、建設現場で働く一人ひとりが生み出す価値を向上し、少ない人数で、安全に、快適な環境で働く生産性の高い建設現場の実現を目指して、建設現場のオートメーション化に取り組んでいます。

出典:国土交通省プレスリリース2025.4.18

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)