
【2025年3月決算】土木売上高ランキング上位10社を掲載しました
本年5月中旬に建設各社の2025年3月期決算数値が出揃いました。総合資格ナビでは、先回、主要ゼネコン27社の連結決算売上をランキング表として掲載しましたが、総合建設業の売上高は建築・土木・他を合算しておりますので、本記事では主要建設会社の2025年3月単体決算売上を土木・建築に分けて、土木売上高順に上位10社をランキング表として掲載します。
全体売上を確認されたい方は、ぜひ前記事「【2025年3月決算】主要ゼネコン27社売上高ランキングを掲載しました」の方をご確認くださいませ。
2025年3月期土木売上、大手4社が軒並み増収!上位10社順位に変動なし
主要建設会社の2025年3月期決算(単体)では、土木が順調に増収しています。特に大手ゼネコン4社は増加が著しく、鹿島は16期ぶりに4000億円を超えました。政府が牽引する国土強靭化などで公共工事が堅調な受注に結びつき、物価高の影響で工事額が上昇していることも売上増進に反映しています。
下表は、2025年3月期決算(単体)で土木の売上高が上位10社に入った建設会社(舗装会社を除く)ですが、7社が前期よりも土木売上高を伸ばしています。
出所:各社決算資料から筆者による集計表作成
上位10社の売上高順位は2024年3月期と変動がありませんでした。表中で「完成工事総利益率」は前期との差を表示し、その他項目は対前期増減率(%)としています。
大手4社で4000億円超は鹿島、大成建設。4社平均は3500億円を超えた
大手4社(鹿島、大成建設、大林組、清水建設)の土木売上高はいずれも増加しており、4社平均で3573億円となり、2024年3月期から10.9%増えました。
大手4社を除く6社(五洋建設、東亜建設工業、前田建設工業、三井住友建設、安藤ハザマ、西松建設)の土木売上高の平均額は、前期比2.1%増の1810億円でした。大手4社とその他6社いずれの平均も3期連続で増加となっています。
土木売上高トップの鹿島は前期比11.2%増の4041億円で、2009年3月期以来16期ぶりに4000億円を超えました。鹿島が期中に完成した主な土木工事としては、「日本原子力発電の東海第二発電所防潮堤(放水路エリア区間)設置他工事」がありました。
土木売上高2位の大成建設は4037億円で過去最高額となり、前期比15.3%増と増加率トップとなりました。大成建設が期中に完成した主な土木工事には「海老江ウォーターリンクの大阪市海老江下水処理場改築更新事業」が挙げられます。
営業利益は大手4社が増益。五洋建設、前田建設工業、三井住友建設は減益
営業利益は大手4社が揃って増益しており、トップは鹿島で前期比20.8%増の1147億円となりました。1000億円超えは2021年3月期以来、4期ぶりとなります。
清水建設の営業利益は440億円で、前年度は1961年の株式上場以来初の営業赤字となるマイナス501億円を計上していましたが黒字転換しています。
大成建設は前期の14.5倍となる802億円、大林組は前期比106.4%増の894億円と好調な結果となりました。大手4社の営業利益が好調だったのは、土木と建築の完成工事総利益率(粗利率)が回復傾向にあるためです。土木の完成工事総利益率(粗利率)は4社とも10%超で推移しており、前期から最も増加幅が大きいのは、18.3%となった大林組です。
一方、大手以外6社では、五洋建設、前田建設工業、三井住友建設の3社が営業利益を前期よりも減らしています。五洋建設は前期比28.6%減の187億円、前田建設工業は同14.9%減の270億円、三井住友建設は同63.4%減の12億円となりました。土木の完成工事総利益率(粗利率)でも、大手以外6社は、大手4社と対照的に前期から数字を落としており、平均は前期比2.4ポイント減の13.7%。大手4社は16.2%で、その差は2.5ポイント開いています。
土木の粗利率が最も大きく落ち込んだのは前田建設工業で、前期比6.4ポイント減の19.7%となり、持ち株会社のインフロニアHDは、前期に大型工事で契約変更を獲得した反動減と公表しています。同3.6ポイント減の7.3%だった五洋建設は、複数の不採算土木工事が完成したことなどを低下の理由として挙げています。
土木受注高は大手4社中、3社が前期比減少。大手以外は三井住友建設を除いて増加
今後の売上高の指標となる2025年3月期土木受注高は、大手4社では前期比33.8%増の5038億円だった大林組を除き、3社が前期から減少しています。
一方、大手以外6社では三井住友建設以外の5社が前期から土木受注高を伸ばし、特に西松建設は前期比57.8%増の2045億円と好調が伺えます。国土交通省関東地方整備局の横浜湘南道路トンネルその4工事や成田国際空港のC滑走路北側造成工事などを受注できたことが受注高の底上げに寄与しているようです。
各社が建築事業の完成工事利益率(粗利率)は改善
各社で売上高比率が高い建築事業では、2025年3月期の粗利率は、清水建設が前期比10.2ポイント増の7.3%、大成建設が前期比5.4ポイント増の4.4%と、いずれも前期のマイナスからプラスに転じました。その他各社も前期比ではプラスになっていますが、ここ数年の東京オリンピックなど厳しい入札競争や、建設資材高騰による低採算工事が利益を圧迫してきたことから、昨年度以降、採算性を改善した新工事の受注が進んだ結果、全体的に利益改善につながっているものです。
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)