
大成建設が東洋建設買収、売上高業界2位に迫り、土木売上ナンバーワンへ躍り出る!【建設業界NEWS】
大成建設は海洋土木大手の東洋建設の全株を取得し、年内にも完全子会社化することを発表し、2025年8月12日よりTOB(株式公開買い付け)を開始しました。買い付け価格は1株当たり1750円で、買収総額は約1600億円に上り、建設業界では過去最大規模のM&A(合併・買収)となります。
大成建設+東洋建設で売上高は業界2位に肉薄する
2025年3月期売上高は、大成建設が2兆1,542億円で業界3位でしたが、これに東洋建設の1,726億円を合算すると2兆3,268億円となり、建設業界2位の大林組(約2兆6,201億円)に迫る金額となります。人手不足や資材高騰に加えて、人口減少による公共工事の縮小が予想されるなど、逆風にさらされる建設業界で業界再編の機運が一段と高まってきました。
大成建設は大手ゼネコン5社の一角で、超高層ビルや市街地再開発事業などを得意としており、東洋建設は海洋土木(マリコン)大手で売上規模では中堅ゼネコンに位置しますが、海洋工事売上高では3位となります。
大成建設は近年、積極的にM&Aを進めており、2023年11月にプレストレスコンクリート(PC)橋大手のピーエス・コンストラクションを連結子会社化しています。これにより高速道路の橋梁工事分野を強化し、PC工事分野ではトップとなっています。さらに同年同月、主に首都圏で建築設計・施工を手掛ける佐藤秀を完全子会社化しています。佐藤秀は富裕層向けのマンションや戸建て住宅、社寺など伝統建築に強みを持ちます。
大成建設の東洋建設買収では、需要拡大を見込む洋上風力発電事業の強化に向けた連携や、重複するDX投資の抑制、主要建設部材の共同調達や人材交流などを積極的に推進していく方針です。売上規模の拡大だけではなく、コスト低減や技術力向上に関して相乗効果を引き出し、経営基盤の強化を目指した経営統合となります。
大成建設グループが土木売上でナンバーワンカンパニーに躍り出る
大成建設は土木分野で高い技術力を誇り、グループに大手道路舗装会社の大成ロテックとPC橋梁工事に強いピーエス・コンストラクションを有しており、海洋土木事業に強い東洋建設を加えることで、「国内ナンバーワン規模の土木カンパニー」が誕生することになります。
グループ4社の土木売上高合計は6,051億円となり、前田建設工業、前田道路、三井住友建設からなるインフロニアHDグループの4,689億円や、鹿島建設と鹿島道路を合算した鹿島グループの4,646億円を大きく上回る規模となります。
まとめ
今回の買収に際した記者会見で、大成建設 田中会長は、「売り上げ規模を2兆円台から4兆円台に拡大することを考えている。M&Aで得意分野をさらに伸ばしていく」との方針を表明しました。
2025年5月に明らかとなったインフロニアHDによる三井住友建設の2026年1月までの完全子会社化に続き、過去最大の買収となる大成建設と東洋建設の経営統合で建設業界の大型再編が進行していきます。
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)