【2024年】建設業 平均年収ランキング上位50社を掲載しました

建設業の業界研究を進める際には、総合建設業(ゼネコン)、設備工事業(サブコン)、ハウスメーカー等、業種ごとの売上高や営業利益額などを比較しながら、各社の特長や他社との違いなどを調べていくことになると思います。

建設業では、2010年を機に建設需要(建設投資額)が増加に転じて、売上高や営業利益も増加傾向にあります。直近では建設資材や労務単価上昇に伴い、建設費が高騰している影響により、特に売上高はバブル期並みに急上昇しています。

一方で建設技術者や建設技能者は人手不足が深刻な課題となっており、2024年問題といわれた「働き方改革」の流れから、およそ年5%から6%の賃上げ要請を受けて、初任給も急上昇している状況です。

2025年春闘の結果は平均賃上げ5.46%となり、大手ゼネコンの2025年4月入社の初任給は、大卒30万・院卒32万と足並みが揃ったかたちになりました。準大手ゼネコンもこれに追随する動きとなっていますので、初任給の比較では、実際の年収比較は見えてこないことになります。

建設業界で上場企業の年収はどの位あるのでしょうか?気になる平均年収ランキングが例年作成されていますので、本記事ではその上位50社をランキング形式でご紹介します。

建設業 平均年収ランキング2024について

今回掲載するランキングは、ダイヤモンド・オンライン(ダイヤモンド・ライフ編集部)が、2025年8月11日付で掲載したデータを参考としています。対象は上場企業で有価証券報告書記載の平均年収を基にしており、対象期間は2023年5月期~2024年4月期で、平均年収の基となる、従業員数と平均年齢を合わせて記載しています。また、単体従業員数が50人未満の企業は一覧から除外されています。

ダイヤモンド・オンラインでは、例年7月から8月目途で同条件のランキング表を掲載しており、本年は総計149社を掲載していますが、本記事では参考としてTOP50社を抜粋しています。

実際には各社で決算期間が異なることもありますが、対象期間を統一していますので、皆さんが知りたい企業が公表している最新数値とは差異がでることもあります。

そこでランキングは、全体傾向や各社比較の参考としていただき、各企業の最新数値は公表されているものを個別に確認するようにお願いします。

平均年収1000万円超は10社(前年は2社)

今回、平均年収で1000万を超えたのは上位10社となりました。前年度は鹿島建設と大林組の2社のみでしたが、今年8社増加したことになります。

1位は大手ゼネコン、鹿島建設で平均年収は1177.2万円でした。鹿島建設は2025年3月期の連結決算売上高が2兆9118億円(前期比9.8%増)で、総合建設業で売上高トップ企業です。鹿島建設は営業利益1518億円(前期比11.5%増)、純利益1258億円(同9.4%増)と増収増益で業績好調です。

過去記事で2025年3月決算の「主要ゼネコン売上高ランキング」を掲載していますので未読の方は、ぜひご確認ください。

【2025年3月決算】主要ゼネコン27社売上高ランキングを掲載しました

2位はインフロニア・ホールディングスで、平均年収は1099.2万円でした。2021年に設立された前田建設工業、前田道路、日本風力開発などを擁す持ち株会社ですが、2025年5月に三井住友建設の買収を発表しており、8月6日からTOB(株式公開買い付け)を開始しています。2025年3月期は売上高8475億円(前期比6.8%増)、営業利益471億円(前期比7.7%減)、純利益324億円(同0.5%減)と増収減益でした。一覧表では従業員85名となっていますが、HDのみの人数でグループ企業全体では、合計1500名ほどとなります。

インフロニアHDによる三井住友建設買収の動きについては、過去記事で紹介していますので、下記に参照URLをリンクします。

業界再編!インフロニアHDが三井住友建設と経営統合へ【建設NEWS】

3位は、プラントエンジニアリング業界最大手の日揮ホールディングスで、平均年収は1083.4万円でした。

プラントエンジニアリング業界からは、10位に千代田化工建設も平均年収1000.3万円でランクインしています。同業界はゼネコンと比較しても高年収となっています。

プラントエンジニアリング業界大手5社の特徴や展望については、過去記事で紹介していますので、興味がある方はぜひご確認ください。

特集【6】プラントエンジニアリング業界の現状と今後の展望・大手5社の特徴【建設知識 土木編】

4位は大気社で、平均年収は1068.5万円でした。主にビルや工場などの設備設計や施工を行う設備工事会社で、2025年3月期の連結決算では売上高が1位の高砂熱学工業(平均年収では1028.5万円で6位)に次ぐ業界2位でした。

空調設備工事業からは、平均年収8位の朝日工業所(1011.9万円)、9位の日比谷総合設備(1009.0万円)、16位の新日本空調(955.1万円)、23位のダイダン(905.3万円)、29位の三機工業(878.3万円)、48位のテクノ菱和(809.8万円)など、多数がランクインしています。空調設備工事業界について、過去記事で業界の基礎知識や売上高ランキングを取り上げていますので、未読の方は、ぜひこの機会にご確認ください。

【2025年3月決算】空調設備工事 上場大手5社売上高ランキングを掲載しました

空調衛生設備系サブコンの基礎知識(売上高ランキング)

5位は大手ゼネコン売上高2位の大林組です。平均年収は1066.0万円でしたが、昨年は2位(平均年収1031.6万円)でした。平均年収は上がっており、他企業の増額がより多かったことによる結果です。

細かな紹介は上位5社までとして、以降ランキング11位~50位までの企業一覧を順番に掲載します。

企業の給与・年収を深く知るには「就職四季報」を活用しよう!

今回、紹介した平均年収ランキングでは、建設業界を俯瞰する視点から、業界でも特に高年収実績を有する企業や、ランクイン企業が多い業界を確認していただく主旨で紹介をしていますが、企業の給与や年収を把握するには、平均年収だけでは不足が生じると思われます。

さらに現状把握を進めるには、基本給や諸手当など賃金体系を確認することはもちろんですが、将来像をイメージするには、「就職四季報(東洋経済新報社)」の記載データを参照しましょう。

そこには、【30歳総合職平均年収】や初任給に加えて、【25歳・30歳・35歳の大卒総合職モデル賃金】や、【直近ボーナス実績(支給月数)】について掲載されています。

「就職四季報」には、その他にも【有休取得年平均】や月間の【平均残業時間】【業績】【試験情報】【採用数】【採用実績校】【離職率と離職者数】【3年後新卒定着率】など、重要データが掲載されていますので、企業研究には大いに役立つと思われます。

「就職四季報」には、上場企業中心に5,000社を掲載した「総合版」、「働きやすさ・女性活躍版」、「優良・中堅企業版」が揃っています。学部2年生以下の方なら「就職四季報 企業研究・インターンシップ版」でインターンシップに臨む前に企業選びをしてみるのも良いと思います。ぜひ参考にしてみてください。

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)