本日募集開始!一級建築士「学科試験」のデジタル化試行試験・限定先着2010名【建設業界NEWS】

一級建築士試験の実施機関である、公益財団法人建築技術教育普及センターでは、本日、2026年1月6日より、一級建築士試験「学科試験」を対象として、デジタル化の可能性を検討するための試行試験実施における参加者募集を開始しました。

本記事では、試行試験の概要や実施の背景など関連事項をまとめてご紹介します。

なお、参加者募集は全国7都道府県限定、先着順で定員に達し次第、受付終了となりますので、参加希望者は早急に申し込みをする必要があります。

実施機関が公表する試行試験申し込み方法は 「こちら」 から確認できます。

確認時にすでに定員に達し、受付終了となっている場合もありますのでご容赦ください。

一級建築士「学科試験」デジタル化試行試験の概要

■試行試験の目的

一級建築士試験のデジタル化については、以前から検討が進められてきました。今回、一級建築士試験「学科の試験」を対象として、試行的に実施され、試験実施上の問題点を抽出することを目的としています。

但し、現時点で、将来的な試験のデジタル化移行が決まっているものではありません。

試行試験は出題形式、出題科目、出題数は令和7年の一級建築士試験の内容に準じます。

試行試験は採点が行われ、採点結果は通知されますが、一級建築士試験の合格・不合格を判定するものではありません。

■試行試験実施の委託先

試行試験は「日本情報産業株式会社(NII)」を実施委託先としています。

■試行試験の実施会場について

試行試験は全国7都市において、令和8年3月15日と3月22日に分けて実施されます。それぞれ会場ごとに定員数が設定されています。会場、および定員は下表の通りです。

■参加者の募集条件について

参加者募集において、学歴要件や実務経験要件は設けられません。

一級建築士試験を目指している方、またはすでに一級建築士を取得している方を対象として募集しています。つまり受験学習中の学生も応募対象となります。

試行試験は参加者が持参するノート型パソコンで実施しますが、電源を使用できない条件で行われるため、内蔵バッテリーの電源量が試験時間を充足するパソコンを用意できる必要があります。(モバイルバッテリーの使用可・準備を推奨)

その他、ノート型パソコンの仕様要件は後述します。

なお、試行試験参加により、(1)全科目受験、(2)解答データ全てをアップロード、(3)試行試験のアンケート回答の3点を行った方へ報酬として、5000円(税込)が電子マネーで支払われます。

参加費は不要ですが、試験会場への交通費や通信費は参加者の自己負担です。

■試行試験の日程・申込みについて

試行試験の日程等については、下表の通りです。

申込みは、3月15日(日)または3月22日(日)のどちらか一つのみで重複して申し込みはできません。

申込みには、秘密保持、個人情報の取扱いに関する事項への同意が必要となります。

■試行試験当日の携行品について

多くは、一級建築士試験「学科の試験」に共通しますが、ここでは相違する点を中心に紹介します。詳細は試験実施機関の応募要項をご確認ください。

★ノート型パソコン(タブレットとして使用できるものは使用不可)

マウス、モバイルバッテリーは使用可。ノート型パソコンの仕様要件は下表の通りです。

★法令集(建築関係法令集)&筆記用具、電卓は携行不可

学科Ⅲ(法規)は、試験アプリ上で提供される「電子法令集」を使用して解答します。

すべてをパソコン上で解答するため、筆記用具は携行できません。

★スマートフォンは携行が必要

試験デジタル化の一環として、試験開始前に使用する予定です。

試験時間中はスマートフォン、無線通信機器は使用できません。

一級建築士本試験 デジタル化検討の背景

一級建築士試験のデジタル化については、設計製図試験に関して、実務に合わせてCADを使用した試験にしてはどうかという声が、2000年代初頭からあり、2010年代から、中央建築士審査会や公益財団法人建築技術教育普及センターで検討が進められてきた経緯がありました。

今回、学科試験のデジタル化試行を実施する運びとなった経緯としては、主に建築分野全体のデジタル・AI時代への対応と、それに伴う人材育成・制度改革の必要性が挙げられます。

また新型コロナ禍の影響が出始めて以降、多くの資格試験にCBT(Computer Based Testing)方式が導入されて、紙の問題用紙や解答用紙の準備にかかるコストや手間を削減し、試験運営の効率化や受験者の利便性向上(試験日程の柔軟化など)が図られたなか、法務省が主管する司法試験、司法試験予備試験は、令和4年度より検討開始したデジタル化が、令和6年度、同7年度の試行を経て、令和8年度よりCBT方式の導入、運用開始が決定した影響が大きいと思われます。

司法試験のデジタル化は、2024年6月21日付で閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2024」及び「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化に向けた取組等の推進が政府方針とされて進められています。

公益財団法人建築技術教育普及センターでは、現段階で国土交通省による、建築士学科試験のデジタル化が正式に決定されているわけではありませんが、いつでも対応できるように準備を進める必要があると、近い将来の実現を見据えた試行段階に歩を進めている状況です。

一級建築士試験「設計製図の試験」もデジタル化されるのか?

前述の通り、一級建築士設計製図試験のCAD化は長年議論されてきましたが、2026年初頭の段階では、従来通り手書きの試験として準備が進められており、デジタル化の具体的な試行段階には入っていません。

2018年6月、日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会の建築設計3会は、「建築士資格制度の改善に関する共同提案」で、CADによる設計製図試験の導入などを求めていました。

その後、海外のCADを使用した資格試験や国内CAD検定など様々な実態調査と検討がされましたが、見直しには至りませんでした。

2020年代初頭に、CAD試験化が見送られた背景は、試験の公平さや試験における設計能力評価の観点で課題が多く、国土交通省や日本建築学会等も導入に慎重な姿勢を示したものです。

具体的には、設計製図試験における採点評価は、作図技術そのものではなく、設計能力(空間構成力)をどう評価するかが重要で、単なるCAD化では不十分という意見でした。また実務設計がCADから3次元設計(BIM)に順次移行していく流れのなかで早急に試験制度を変えるべきではないという判断になったのでした。

現在でも設計製図試験のデジタル化は、中央建築士審査会で中期的な検討課題とされていますが、具体的な導入時期については未定です。

まずは学科試験のデジタル化試行と検討を進め、その実現を踏まえて、将来的には試験制度の変更とともに、設計製図試験も検討の対象となる可能性があるといえるでしょう。

 

出典:一級建築士試験「学科の試験」のデジタル化に向けた試行試験の実施における参加者募集について(公財・建築技術教育普及センター)

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)