海外建設受注は2年連続過去最高、2025年度も堅調と予想【海外建設協会】

2024年度海外建設受注実績は前年度比12.6%増の2兆5808億円

海外建設協会は会員企業52社が2024年度に計上した海外建設工事受注実績をまとめて発表しました。受注総額は、前年度比12.6%増の2兆5808億円となり、2年連続で過去最高を更新しました。

2024年度の受注件数は200件弱減少したものの、工事の大型化などを背景に受注額は積みあがったものです。海外建設受注は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けた2020年度に急減しましたが、その後は4年連続で前年実績を上回りました。

2025年6月に公表された受注実績は、地域別、本邦法人・現地法人別に集計を行っています。

海外建設受注、最大の市場はアジア。1兆4263億円と大幅にプラス

海外建設工事受注額を地域別に見ると、最大市場はアジアで、前年度比39.1%増の1兆4263億円と過去最高を記録しています。具体的な工事実績としては、シンガポールの公益施設や港湾、鉄道、台湾の商業施設や地下鉄、発電所、バングラデシュの港湾などの大型案件が寄与しています。

これらの大型案件で、本邦法人受注額全体の85%以上がアジアでの受注となっています。

アジアに次ぐ市場は北米で、前年度比16.3%増の9161億円と好調な実績です。大規模な上下水道工事や土木、建築工事が複数ありました。

このほか、中東・北アフリカは前年度比11.2%増の190億円でした。

アフリカは前年度比55.0%減の225億円、中南米は前年度比7.2%減の400億円、欧州は前年度比4.7%増の45億円、東欧は前年度比38.9%減の951億円、大洋州は前年度比72.8%減の569億円となりました。

2024年度の現地法人による受注額は、1兆8891億円で全体の73.2%を占めています。受注額の前年度比は0.4%増と、ほぼ横ばいの結果でした。これに対して、本邦法人の受注額は前年度比67.8%増の6917億円と大幅増加しており、アジアの大型案件受注が寄与しています。

国別では、上位3カ国は前年と同じで、米国が8898億円、シンガポールが4914億円、台湾が2702億円となりました。6位までが1000億円超えで、タイが1739億円、インドネシアが1252億円、バングラデシュが1126億円となっています。

資本金・発注者別では、「公共(自己資本)」が1兆2209億円を記録して、初めて最大の構成比を占めました。次いで、「民間・現地企業」が8378億円、「民間・日系企業」が3135億円、「円借款案件」が1694億円、「無償案件」が383億円でした。

2025年度海外建設受注見通しは「堅調に推移」

2025年度の海外建設受注見通しは、米国トランプ政権の相互関税などの政策が及ぼす影響や、中東問題に起因する原油高などをはじめとする国際情勢の影響など、さまざまな不確定要素が存在するものの、現在までの受注状況から、引き続き、アジアや北米、東欧などで建設需要は堅調に推移するとみています。

特にアジアは国内総生産(GDP)が毎年伸び、人口も増え続けているため、インフラや建築物の整備需要が今後も拡大すると予想されています。

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)