国土交通省が新築マンション取引の調査結果を公表、短期転売は東京23区で9.3%【建設NEWS】

2025年11月25日、国土交通省は新築マンション取引の調査結果を初めて公表しました。

この調査結果には東京都、三大都市圏と地方四市の短期売買や国外居住者による取得状況を含み、マンション価格が高騰するなか、短期転売や外国人が投機目的でマンション購入することを問題視する声が次第に高まってきたことに対する回答となるものです。

調査は不動産登記情報を活用して2018年以降、約7年半を対象とした

マンション取引実態の調査は、法務省から入手した不動産登記の情報を元に、東京23区と三大都市圏(東京・大阪・名古屋)、地方四市(札幌、仙台、広島、福岡)の新築マンションについて行われました。

また、価格帯別の傾向を把握するため、都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区)の新築マンションは民間の価格データも活用して、短期売買、国外に住所がある者による取得の状況も併せて分析しました。

■調査概要

調査の対象となったのは、2018年1月から2025年6月までに保存登記がなされた新築マンション約55万戸です。

新築マンションの短期売買に関する調査結果

本調査の結果、明らかになった新築マンションの短期売買(購入後1年以内)の状況は下表の通りです。

■国土交通省による分析結果

・東京都を中心に神奈川県、大阪府、兵庫県の一部の地域で短期売買の割合が高く、また、増加する傾向が見られる。

・中心部に行くほど短期売買割合が高い又は増加の傾向が見られる。

・その年にどのようなマンションが供給されたか等によって、短期売買の割合は大きく変動している。

・直近では、大規模マンション※の方が、それ以外のマンションと比べて、短期売買割合が高く、数字も大幅に上昇している(東京23区の専有面積40㎡以上物件)。

(参考)大規模マンション9.9%、大規模マンション以外3.3%(2024年上期)。

・直近では、国外に住所がある者による短期売買も増加の傾向が見られる(東京23区)。

・国外に住所のある者が2億円以上の高額物件を活発に短期売買している傾向は特に見られない。(都心6区)

※大規模マンション:1棟あたりの保存登記数(登記原因が売買であるもの)が100件以上のものとしています。

新築マンションの国外からの取得割合に関する調査結果

本調査の結果、明らかになった新築マンションの国外からの取得割合の状況は下表の通りです。

■国土交通省による分析結果

・東京都を中心に大阪府、京都府の一部の地域で国外からの取得割合が高く、また、増加する傾向が見られる。

・中心部に行くほど国外からの取得割合が高い又は増加の傾向が見られる。

・その年にどのようなマンションが供給されたか等によって、国外からの取得割合は大きく変動している。

・国外に住所がある者が2億円以上の高額物件を活発に購入している傾向は特に見られない(都心6区)。

まとめ ・ 国交省調査結果を受けた「今後の動向」について

国土交通省の調査結果によると、東京23区の大規模新築マンションで、短期間に転売される割合が高く、2024年1月~6月は全体の9.9%が1年以内に転売されるなど、前年の2倍以上に増加していることが明らかとなりました。

タワーマンションなどで投機目的とする売買が多く、都心6区は12.2%で、中央区(12.7%)、新宿区(19.6%)、渋谷区(14.6%)は特に割合が高くなっています。

金子恭之 国土交通大臣は、25日の記者会見で「実需に基づかない投機的取引は望ましくない」と強調しており、国外からの新築マンション取得割合も東京23区で3.5%、都心6区で7.5%であり、国土交通省では今後も状況を継続して確認していく方針です。

■業界団体が即日転売抑制に取り組むことを表明

国土交通省の発表を受けて、不動産大手が加盟する業界団体の不動産協会は、11月25日、投機目的によるマンション短期転売を抑制する取組を発表しました。

一般公募で販売する物件で、引渡し前の転売禁止や購入戸数の制限、購入申込者と登記名義人の一致といった対策を加盟各社に求め、取り組み状況を調査していく方針です。ただし、マンション価格高騰の原因は建築費のコスト増や需要の高さによるもので、転売抑制策は価格抑制への効果は限定的であるとしています。

不動産協会では、適用対象物件など運用は各社に一任し、引渡し前の転売が判明した場合は、契約解除や手付金の没収など、各社が個別にルール設定をしていく見通しです。

2025年7月には、東京都千代田区で一部マンションを5年間転売しない特約を購入者と結ぶよう区から要請がありましたが、厳しい規制は財産権の侵害に当たる可能性があるとして見送られた経緯がありました。

不動産協会では、今春より国土交通省と転売規制の方向性を議論しており、今般の調査結果公表と同時に抑制策を打ち出した経緯となり、三井不動産や三菱地所、住友不動産など大手が率先して、引渡し前の転売を禁じる旨を、重要事項説明書に明記するなど対策導入をしていく方針です。

出典:不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果を公表(国土交通省)

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)