
特集【19】建設技術研究所が生産性向上と品質確保を目的とした社内システム(AI活用による業務支援・自動チェック)を開発しました【建設DX】
株式会社建設技術研究所(CTI)は、中長期ビジョン「SPRONG2030」で「グローバルインフラソリューショングループ」として成長することを掲げており、そのためにこれまでの生産システムにおける課題解決や生産性向上、品質・安全確保に向けた技術開発への投資として積極的にDX推進に取り組んでいくとしています。
本記事では、建設技術研究所により公表された新たな社内システムについて紹介します。
生成AIを活用した、競争力・生産効率向上・品質確保に資する「独自の業務支援システム」を開発
生成AIは世界中の様々な業界に影響を与え、多様なビジネス創出やデジタルトランスフォーメーション(DX)で活用されています。反面、IT・デジタルの知識や人材の不足、機密情報や個人情報の漏洩が課題となり、生成AI導入に躊躇する企業も多く存在します。今回、建設技術研修所は、独自LLM(大規模言語モデル)を開発して、これらの課題を解決し、競争力、品質、生産効率、顧客満足度の向上を目指して、CTI版生成AIを開発しました。
この生成AIにより、社内文書を基に回答するAIチャットボット等の業務支援システムを構築、さらにこれを基にしたWebアプリを開発して、社内展開しています。
自社の技術情報を学修させたLLM(大規模言語モデル)や、社内の技術情報を学習させ、建設業に特化した生成AIを独自開発して組み合わせることで、AIチャットボットでは参照元を明確にした回答を得ることができます。これにより、技術レポートの作成支援や、技術情報検索の高度化を実現するものです。
システム全体を自社開発したメリットとして、今後も社内ニーズに応じたカスタマイズが可能であり、特定の要件や業務フローに適したシステムを構築できます。
出所:建設技術研究所プレスリリース
建設技術研究所では、この業務支援システムをより多くのプロジェクトや業務生産効率化に活用していき、将来的には社外へのサービス提供を含めた利用拡大を目指しているとのことです。
設計業務におけるミスを防止する自動チェックシステムを開発
これまでは設計図面の確認チェックとして、人が数百頁にわたる設計計算書や数十枚の図面を見比べ、整合性を網羅的に確認していました。この作業は項目や量が膨大であるため、どうしても人がチェックすると漏れが残る可能性があります。
このため、DXを活用し、人が極力介在しないことで、ミスを可能な限りなくして、高品質な設計成果を確保する必要があります。
今回、開発したシステムでは、自動で図面ファイルと計算結果の文書ファイルを読み込んで、整合性をチェックした結果である「照査表」とチェック項目をマーキングした「赤黄チェック」が自動出力されます。
このシステムにより、チェック漏れによるリスクを軽減するだけではなく、自動化で2~3日かかる照査が数十分で完了できるようになりました。大幅な時間短縮により、技術的な妥当性や高度な判断を要する項目に時間をかけることができ、成果品の品質向上と省力化、高度化につながります。
まとめ
本記事で紹介した、建設技術研究所の独自開発による業務支援システムは、自社の技術情報を学習させた生成AIにより、生産効率向上を果たす取組みであり、今後は社外へのサービス提供も視野に入れているなど、今後の発展が大いに期待できるものです。また、昨年度から公共工事の現場では、i-Construction2.0による「建設現場のオートメーション化」が急激に進んでいますが、施工品質の確保に加えて、公共工事における設計ミスを未然に防ぐことは重大な課題です。建設技術研究所が開発した自動チェックシステムは品質向上と省力化、高度化に大いに資するものといえるでしょう。
出典:生産性向上と品質確保に向けた社内(業務支援/自動チェック)システムを開発しました。(建設技術研究所プレスリリース)
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)