
アクティオが自社開発した「重機遠隔操作システム」をレンタル開始!建設業界の未来が変わる【建設DX】
総合建設機械レンタルの株式会社アクティオが、遠方の重機を安全且つ効率よく操作できる「重機遠隔操作システム」を開発しました。
本システムは、アクティオが独自に設計・開発したオリジナルの商品で、通信はソフトバンク株式会社の回線を使用し、映像伝送には株式会社ジザイエとの協業技術を採用して、現場作業の安全性や生産性の向上を実現するものです。
建設機械の遠隔操作は、従来、国土交通省、地方整備局直轄工事で総合建設業が建機メーカー他とシステムを共同開発して実証を進めて、普及してきた面がありますが、建機レンタル企業が商品開発して、幅広くレンタルを行うことで、政府が国策として推進するi-Construction2.0の推進に大きく寄与すると思われます。
本記事では、2025年5月29日付、株式会社アクティオのニュースリリースをもとに、今回、開発された「重機遠隔操作システム」のメリットや概要について解説します。
アクティオ「重機遠隔操作システム」は小型機ゆえのメリットが大きい
従来、国土交通省直轄工事や大手ゼネコンの建設現場を中心に進められてきた、遠隔操作システムは、対象となる工事がダム工事や造成工事など大規模になるため、建機メーカーなどと共同開発してきた大型機が中心となっています。
また遠隔化には高感度カメラやIoTセンサー、駆動系など取り付け機器が多く、手間やコストが掛かるため、コンパクト機はラインナップが遅れている面がありました。
アクティオが開発した「重機遠隔操作システム」は、中小規模の工事で幅広く使用されている小型建機に対応したもので、建設現場や土木工事、解体作業、ダムやトンネル工事、地震などの自然災害現場、地下採掘、海底資源開発、林業や大規模農場での作業など、幅広い分野で活用が期待されます。小型建機のコンパクトさを活かして、狭いトンネルや狭小地の工事などの遠隔施工にも適しているものです。
操縦席1台で建機2台を交互に遠隔操作できるシステム
アクティオが開発した「重機遠隔操作システム」は、1台の操縦席からバックホーとキャリアダンプの両方を操作できる設計となっており、危険地域や立ち入りが困難な現場でも安全に作業が行えるものです。また、現場の人員配置を効率化し、人手不足解消に貢献します。
さらに通信環境が整っていない場所でも、アクティオがレンタルを行う「Starlink Business」と連携して遠隔操作が可能となっています。
機器の構成は、ジョイスティックボタン、タッチスクリーンなどを搭載した遠隔操作用のコントロールユニットに、広角レンズや望遠レンズを組み合わせた、360度パノラマビューを提供する全方位カメラシステム、高解像度の大型ディスプレイ、通信機器やGPS、加速度、ジャイロ、障害物検知などの各種センサー、操作インターフェースや安全管理システム、緊急停止ボタンなどの安全装置を備えています。
通信は操作席から、ネットワークを管理するソフトバンクの「SD-WAN」でネットにアクセスし、法人向け衛星通信サービスのStarlink Businessを介して、現場Wi-Fiに接続します。アクティオはソフトバンクと共同で、Starlink Businessのアンテナやバッテリー、ソーラーパネル、Wi-Fiルーターなどの機材一式もレンタルしています。
「重機遠隔操作システム」は実証実験で有用性を確認
アクティオではレンタルサービス開始前に、東京日本橋のアクティオ本社と、直線距離で約956km離れている、九州テクノパーク統括工場(鹿児島県姶良市)をStarlink Businessで接続して実証実験を行い、有用性の確認をしました。
また5月下旬の発表会では、千葉県市原市にあるアクティオ プラント営業課と中継点をつなげ「重機遠隔操作システム」のデモンストレーションを行いました。アクティオ本社から約60 km離れた中継点で、1台の操縦席から遠隔操作するバックホーで木材やタイヤを掴み、キャリアダンプの荷台に移動、積載し、遠隔でキャリアダンプを走行させる一連の作業を披露したものです。
まとめ
遠隔建機市場は、現在は移行期にあり、各社が機器を保有するのは、まだ先となるため、その間をレンタルが埋める需要や、いつ発生するか分からない災害対応など、緊急で需要が発生し、1~2カ月間のみ稼働が必要となる場合には、短期需要をつなぐレンタル機器が確実に必要になります。レンタル機の提供は、「建機に遠隔装置を組み込み、操縦席・操作機器や通信機器、映像伝送機器まで」ワンパッケージで行いますが、建設会社が保有する建機への後付けなども需要があれば、現地調査を行い、特注で対応することが可能とのことです。
中小規模現場の短期需要や小型建機でなければ対応できない作業の遠隔操作化は、アクティオが開発した「重機遠隔操作システム」レンタルにより大きく前進することでしょう。
出典:アクティオ、「重機遠隔操作システム」を開発(2025.5.29ニュースリリース)
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)