
清水建設が英断!特許技術200件超を開放し、建設業全体の技術の底上げに貢献【建設NEWS】
清水建設は、自社で特許を保有する200件超の建設関連技術を社外に開放し、低額の費用で実施許諾を付与する取り組みを開始しました。
清水建設の保有特許は2,000件超!今後も順次開放していく
清水建設の保有特許は現在、2,000件を超えており、今後も開放特許の対象を順次拡張し、最終的に保有特許の半数近くを開放していく予定ということです。
建設業界では、これまで受注競争戦略の一環として、各社が独自に建設技術の開発に取り組み、開発成果を競ってきましたが、同種の技術開発に各社が重複して投資を行うなど、建設産業全体の生産性という面では非効率な状況に陥っています。
清水建設では、特許開放の取り組みを通じて特許技術の相互利用を建設業界に促し、技術開発への重複投資の抑制、効率的かつ先進的な技術開発の促進に寄与していく考えです。
主要な開放特許技術を公開!利用料は年額固定制で対応
清水建設は、開放対象の主要な特許技術を、8月1日からコーポレートサイト上で公開し、事業形態別に分類したうえで、特許項目、実施許諾条件(年間実施料)等を掲示しました。利用料は「年間100万円」など年額固定制で、コストを明示することで、企業が利用を検討しやすいようにしています。ただし、許諾条件については個別交渉にも柔軟に応じていく予定としています。
特許許諾、実施までの流れ
これまで建設業界では、特許のライセンス契約を結ぶ文化が一般的ではなく、その理由としては、利用可否の確認や費用交渉に半年から1年を要したり、現場から他社の特許を使用したいと要望を受けても応えられなかったりしたケースが多くあったといいます。
背景には手続きの煩雑さに加えて、業界・企業の文化として、大手建設会社同士のライバル意識が根強く存在しており、他社技術を使いたがらない風潮があったようです。また特許技術の内容も汎用性が低く、建設会社によって受注する工事の規模が異なると、技術が適合しにくい面もありました。
近年は、建設ロボットなどの技術を共有する「建設RXコンソーシアム」など、業界で共同研究や技術開発を協業実施する機会が増えており、他社技術に対する拒否感が薄れつつあることも、今回、特許技術開放を実現させた要因となっているでしょう。
清水建設では、自社ホームページ上に「特許許諾への流れ」をフローとして掲載をしています。「申し込み・問い合わせは、このページから」という気軽さで手続きを開始できる点から今後の活用拡大を期待させます。
出典:保有特許200件超を同業他社に開放し、建設産業全体の技術の底上げに貢献(清水建設プレスリリース)
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)