インテリアの資格・建築系の仕事に役立つか?からみた徹底比較【建設業の資格】
初めて総合資格ナビ・コラムをご覧になる方へ
インテリア系の資格取得を検討されている方は多いものです。
インテリアコーディネーターなど、インテリア系資格は、住生活空間や家具・インテリアに興味があり、将来インテリア業界への就転職を志望している方には、とても人気の高い資格です!
インテリア業界の魅力や、その資格の将来性、仕事内容などを解説しているWEBサイトは多く、情報検索を通して本記事を見つけて、ご覧になっている方もおみえになることでしょう!
本記事は、総合資格ナビ掲載のコラムです。
総合資格ナビとは?
総合資格naviは建設業界の資格取得を支援している「総合資格学院」が運営している建設業界就職の総合情報サイトです。本サイトをご覧になっている方は、建設系大学や専門学校などに通学する現役学生が大半であり、本記事は「建築系の仕事に役立つ資格」という視点で構成されています。
そのことをご了承いただきまして、インテリア&建築系の仕事と資格に興味がある方は、ぜひご一読ください!
インテリア系3資格とは?
建築系で学ぶ学生は、多くが住生活空間や家具・インテリアに興味を持っています。
建築系学科には、中学・高校生時代から住宅の間取りやインテリアデザインに興味があり、住環境デザインを学べる学科として進学してきた学生が少なからず在籍しているものです。
また、入学後に椅子や本棚などの家具制作実習を経験したり、課題として室内パースを描いたりして、家具や建材、商業施設やオフィスなどの設計に関心を持つようになる学生もいます。
また建築学生は男女を問わず、文具店、雑貨店、画材店、ギャラリー、アトリエ、ホームセンター、家具店などを覗くのが大好きだったりする傾向があります!
本記事では、インテリア系3資格について建築系の仕事に役立つ視点で解説していきます。
インテリア系3資格とは?次の3つの資格を指しています。
1.インテリアコーディネーター(IC)
2.インテリアプランナー(IP)
3.インテリアデザイナー
他にも同系列の資格として、インテリア設計士・インテリアアドバイザー・空間ディスプレイデザイナーなども存在するのですが、知名度や歴史、受験者数などを勘案して、本記事では、上記3資格を取り上げたいと思います。
まずは次項に「比較表」を掲載して、次々項から詳細を補足していきたいと思います。
インテリア系3資格を比較する
インテリア系3資格について、各項目の比較表を作成してみました。
■インテリアコーディネーター・インテリアプランナー・インテリアデザイナー比較表
【各資格に共通すること】
1.民間資格である
インテリアデザインやインテリア設計および提案に関する資格は国家資格ではなく、いずれも民間資格です。
2.業務独占資格ではない
インテリア系の仕事をするのに必須な資格はなく、インテリア資格は建築士や宅建士のように法律で定められた業務独占資格ではありません。取得することで資格名称を名乗ることができ、一定以上の知識や技術の裏付けとなる資格です。
3.受験資格がない
インテリア系資格は、年齢、性別、学歴、実務経験などの受験資格がなく、誰でも受験することができます。従って在学中に受験可能です。
但し、インテリアプランナーは合格後の登録要件として、インテリアに関する大学、短大、専門学校の専門課程を卒業するか、建築士資格の保有、2年以上の実務のいずれかが必要となります。
上記以外は資格を取得することで得られるメリットや仕事内容などはよく似ており、混同しがちですが、少しずつ違う部分があり、違いを見極めることが重要なのです。
次項から「建築系の仕事に役立つか?」という観点から各資格の実像を確認していきましょう。
インテリアコーディネーターについて
インテリアコーディネーターは、顧客の好みやライフスタイルに合わせて、主に既存の家具、照明、壁紙、カーテンなどのインテリア商品を総合的に提案し、快適で魅力的な空間を創り出す仕事です。
■主な仕事内容
・ヒアリングとプランニング
顧客の好みやライフスタイル、予算などを詳細に聞き取り、理想とする空間イメージを具体化してみせます。
・空間計画とプレゼンテーション
家具の配置、配色の決定、床や壁の仕上げ材の選定など、空間全体を計画します。空間計画を平面図、パース図、アイソメ図などに描き、顧客に提示してプレゼンテーションを行います。
・商品セレクトと発注
壁紙、カーテン、照明器具、家具、雑貨などを具体的に選び、発注・納品を行います。
・関係者との連携
建築士、施工会社、職人などと連携して、インテリアプランが実現するよう調整します。
・現場でのセッティング
商品の設置やコーディネートなどの最終調整を行います。
■活躍できるフィールド
・住宅メーカー、工務店、リフォーム会社
・家具、インテリア用品、住宅設備機器販売店
・オフィス、店舗、ホテル、商業施設を得意とする設計事務所
【資格取得のメリット・建築系の仕事に役立つか】
インテリア系資格のなかで圧倒的な知名度があります。受験者数は例年7,000人から10,000人弱程度で推移しており、2023年は約8,156人、2024年は約7,101人でした。例年最終的に2,000人前後が合格しています。
試験制度が始まって42年経過しており、実登録人数は不明ですが、約8万人を超える合格者が生まれてきたと思われます。
仕事内容は既存の室内空間に、既存の商品をコーディネートする仕事になるため、他資格より創造性は低く感じられがちですが、新築・改築を問わず、建築工事の最終段階では必ず内装やカーテン、建具、家具、照明等を顧客に提案して選択していただく需要があり、ヒアリングやプレゼンを通して、より高品質で高額な新しいインテリアを提案するのは重要な役どころであり、インテリアコーディネーターの腕の見せどころとなります。
ハウスメーカー設計部やリフォーム関連部署で取得率が高いのも、顧客に提案やプレゼンを行う機会が多いためです。
仮にインテリアコーディネーターによる十分なヒアリングや、顧客の希望・嗜好とのマッチングを重視した商品提案やプレゼンが成功すれば、自社の売上とすることができます。
顧客に喜ばれるプレゼンができず、提案した商品の価値や魅力を伝えられなければ、安価な業者や量販店、ホームセンターなどに注文が流出してしまうことになるでしょう。
カーテンは要らない、壁紙は貼らなくてよいという顧客は希少であるはず。尽きない需要に対応する仕事になることは間違いありません。
在学中の受験者、合格者は多く、試験出題分野は住宅関連会社やインテリア系の仕事に役立つ分野で多岐に渡る学習が求められるため、学習によってインテリア分野に精通することができます。在学中に受験する意義は非常に高いです。(下図)
インテリアプランナーについて
インテリアプランナーは建築士と同じ、(公財)建築技術教育普及センターが資格試験を運営しています。主な仕事内容は、建築物の設計段階から空間全体の設計や内装のプランニングに関わる専門家として、商業施設や公共施設を含めた建築物を対象に、造作家具や建築化照明など建築工事に直接影響するプランを提案するため、建築士や施工業者との連携が重要な役割となり、インテリアコーディネーターよりも建築設計寄りの仕事を担うことになります。
■主な仕事内容
・ヒアリングによりクライアントのニーズを把握
設計段階から建築士と連携してヒアリングを行います。
・空間設計図の作成(CADソフト使用)
空間構造や機能を設計図とし、施工に必要な図面も作成します。
・家具、照明、カーテンなどの選定
完成イメージをもとに、具体的なインテリアの選定や手配を進めていきます。
・施工業者との打合せ、現場管理
インテリアプランについて工事を伴う案件が多く、建築士同様に施工業者と打合せを行い、現場管理を行います。施工現場では納まりなどの調整も行います。
■活躍できるフィールド
・建築設計事務所
・インテリアプランニング会社
・造作家具、什器販売会社
・独立開業
【資格取得のメリット・建築系の仕事に役立つか】
インテリアプランナーとして活躍する人は、バリアフリー施設や教育施設、図書館、美術館などの公共施設、商業施設などの建築設計・施工の現場で仕事をしており、建築系の仕事そのものをこなしています。
インテリアコーディネーターと違うのは、資格者数が圧倒的に少ない点が挙げられます。具体的な登録資格者数は2025年3月現在で約5,638人ですが、試験制度は38年前から実施しています。受験者数は近年減少傾向にあり、学科試験の受験者数は、2022年が約1,110人、2023年は約950人、2024年は757人です。
2024年度設計製図試験の最終合格者は135名。過年度もほぼ同じような人数です。つまり、年間合格者はインテリアコーディネーターの約1/15に過ぎないのです。
このため、周囲には有資格者が少なく、知名度も高くないイメージがあり、その原因として、試験難易度が高いことや、建築物の設計や工事監理に関わる業務独占資格が建築士であるために、インテリアプランナーが担う職能も、実務では建築士が業務としている現実はあると思われます。
建築設計段階から関わっていく資格とする位置づけや試験制度の建付けも、インテリアプランナー資格だけではなく、実務では建築士とのダブルライセンスによる活躍が想起される感があります。
在学中に学科試験に合格すれば、アソシエイト・インテリアプランナーとして登録することができますし、試験出題分野は建築系の仕事に大いに役立つので、学習することや在学中に受験する意義は非常に高いです。(下図)
インテリアデザイナーについて
インテリアデザイナーは空間デザインの専門家として、独創的な空間デザインを担い、他資格よりもクリエイティブな仕事を想定して、新素材や技術を取り入れた斬新で魅力的な空間を創造する仕事とされています。
■主な仕事内容
・空間コンセプトの立案
・デザイン図面作成(手描き・CADソフト、3DCGソフト使用)
・素材選定、デザイン開発
・提案プレゼンテーション
・施工管理
■活躍できるフィールド
・デザイン事務所
・建築設計事務所
・ハウスメーカー
・独立開業
【資格取得のメリット・建築系の仕事に役立つか】
インテリアデザイナー資格が目指している職能は、企画段階から関わるトータル空間デザイナーという位置づけですが、建築そのものよりもインスタレーションのような独創的な空間演出がイメージされるものになっています。
日常的にインテリア業界や建築設計において、多くの需要があるか疑問を感じる面もあり、近似するデザイナー業務は、どちらかといえば、空間ディスプレイ業界のような商業施設的な分野になるものと思われます。
インテリアデザイナーは、近年、インテリア系資格を調べる際に取り上げられることが多くなってきた比較的新しい資格ですが、開始年度は不明です。資格認定団体の日本デザインプランナー協会が提供する通信講座を受講して学習し、在宅で資格認定試験を受験して、70%以上を得点すると合格認定され、同協会に認定証や認定カードを有償で発行申請するという資格認定制度となっています。
日本デザインプランナー協会は、他にもインテリアアドバイザー資格、空間ディスプレイデザイナー資格など、デザイン系の認定資格を多数扱っており、試験実施も年5回開催され、在宅受験制なので手軽に学習を開始できるメリットはとても大きいのですが、受験者数や合格者数が開示されていないこともあり「建築系の仕事に役立つか」や就職に直結するか未知数なイメージがあります。
インテリア系資格のまとめ
インテリア系の資格は業務独占資格ではありません。それだけに資格の知名度や活躍している資格者の人数、活躍できる職場想定が明確かということは大きなポイントになるでしょう。
例えば、インテリア系の求人では、「インテリアコーディネーター資格取得者歓迎」というのは、よく目にするところです。
インテリアコーディネーター、インテリアプランナー、インテリアデザイナー、それぞれの資格の特徴を理解し、自分の得意分野、学習することへの興味、将来やりたい仕事など、ビジョンを明確にした上で最適なキャリアパスを選択することが重要です。
■総合資格ナビがお奨めする最良の方法
インテリアデザインや住空間設計に興味をもちながら、建築系で学ぶ学生にお奨めする最良の方法は、「在学中のインテリア資格取得 + 卒業と同時に建築士を取得する」ことになるのではないかと思います。
若い皆さんにとって、資格取得は将来を決定する要素ではなく、自身の可能性を将来に向けて拡大していく要素になり得ると思います。皆さんは建築やインテリアや空間や環境、構造などさまざまなことに興味を持ち、日々学習を継続しています。そこから得た知識や情報、技術や技能を社会に向けて示していくことから、仕事を獲得して自分自身の人生が始まっていくのです。
本来は、どちらが先で、どちらが後、ということではありませんが、「建築士(一級・二級)」は建築設計を担うための業務独占資格で、これは免許と同じです。
試験に合格して建築士を取得しない限りどれだけ強く望んでも建築設計を担うことはできません。
これに対して、インテリア系資格は取得しなくても、インテリアデザインやプランニング、コーディネートの仕事はできるのです。
それではなぜインテリア系の資格を取得するのか?ここが非常に重要なポイントになってきます。
総合資格学院に通学して一級建築士に合格された方で、次の資格としてインテリアコーディネーター資格試験に挑戦する方は実は結構多いのです!
インテリアに関する提案を顧客にすることがある。インテリアコーディネーター資格の学習を通して、もう一度、あるいは初めて、インテリアの歴史や建材や素材の名称・特徴について基本から学び、パース、アイソメ、アクソメ図を描く手法を学び、効果的なプレゼンテーションに応用する技術を学んだことが証明できるからこそ、自信をもって説得力のある顧客提案が実現できる可能性が拡がってくるのです!
在学中の学生であれば、インテリアコーディネーターの出題内容は、建築法規、建築計画・環境工学、建築史など、二級建築士試験の出題と重なる分野は多いのです!早期に学習開始することが、学校の設計課題や二級建築士試験を受験する際に役立つことになるでしょう!
総合資格ナビでは、インテリア業界やインテリア資格に興味をもって、本記事を読んでいただいた皆さんが、インテリア&建築業界で活躍できるよう応援していきます!
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)




