日本の遠隔施工技術でウクライナ復興に貢献!国交省が事前調査を実施しました【建設NEWS】

国土交通省がウクライナ復興支援として日本の遠隔施工技術を導入

国土交通省は、2025年1月に「日ウクライナ・国土交通インフラ復興に関する官民協議会」(JUPITeR)※を設立し、ウクライナの復興支援を開始しています。

※Japan – Ukraine Platform on the Infrastructure Technology for Recovery and Reconstruction

ウクライナでは、今後膨大な建設需要が見込まれる一方、人手不足が深刻化しています。日本では1990年に噴火した雲仙普賢岳での復旧工事で無人化施工を導入するなど災害大国として遠隔施工の技術が発展してきた経緯があり、遠隔施工のノウハウは海外企業よりも圧倒的に日本企業が持っている状況です。

国土交通省は、日本の建設現場で運用実績が豊富な遠隔施工技術をウクライナに導入し、男女問わず誰もが安全な環境から建設機械を操作できるようにすることを目指しているのです。

2025年7月、官民合同でウクライナに渡航し事前調査を実施

2025年7月、国土交通省は官民合同でウクライナに渡航し、遠隔施工技術普及に向けた事前調査を行いました。この調査では、現地視察のほか、ウクライナ政府機関や国際金融機関、現地企業・第三国企業と協議を行い、実証実験に向けた連携を確認するとともに、今後の技術普及における協力について議論しました。事前調査の概要は、次の通りです。

国土交通省は民間事業者と共に、ウクライナ地方・国土発展省やキーウ工科大学の関係者らと意見交換しました。

ウクライナでは、ロシアの侵攻により、徴兵で若くて健康な男性労働者が不足しているという現実があります。遠隔施工技術が導入できれば、建設現場よりも快適な環境で、女性や負傷者などでも働けることにつながり、人手不足に対処することができます。人が建機に直接搭乗せず、比較的安全な場所から操縦作業を進められれば、万が一、建機が被害にあっても人的被害は免れることができます。

遠隔作業で、がれきの撤去作業などで問題となるアスベストなどの有害物質の吸引被害も心配する必要がないのは、大きなメリットとなります。

一行は、事前調査を進めるためにウクライナ現地企業との協議も進めていきました。

現地調査では実証実験に向けたテストを実施した

国土交通省は、八千代エンジニヤリングやコベルコ建機など帯同した日本企業と共に、実証実験の会場候補地の視察を行いました。現地では映像通信技術に強みを持つソリトンシステムズなどが実証実験に向けた通信環境テストなどを実施して、通信速度や映像遅延の度合いなどを計測しました。

今回の現地調査では、十分な通信速度が計測されており、遠隔施工は十分に実現できる感触が得られました。今後は、2025年秋頃に現地で実証実験を開始する予定です。

実証実験では、関連機器の仕様をウクライナ向けに調整していくことや、運用体制の構築などを通して、日本企業の遠隔施工用建機や通信システムなどの受注を目指していきます。現地協議では、ウクライナの職業訓練校に遠隔操作の訓練クラスをつくる案・要望も出るなど、好感触が得られているそうです。

国土交通省では、日本発の遠隔施工の導入による人的資源活用ビジネスモデルを構築し、ウクライナ復興の推進に貢献していくことと、日本企業によるインフラ復興事業への参画を加速させていくことを狙いとしています。

 

出典:ウクライナの建設現場での遠隔施工の普及に向けた事前調査を行いました!(国土交通省プレスリリース)

https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo07_hh_000773.html

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)