三井ホームが北海道に木造交番5棟を建設、CLT箱型ユニットで工期短縮【建設NEWS】
2026年1月20日、三井ホーム株式会社は地域事業会社である三井ホーム北海道が、北海道警察による「令和7年度 買取型交番、駐在所整備事業」の事業者として選定されたことを発表しました。
本事業では、北海道札幌市と恵庭市に新たな木造交番5棟を建設します。構造体にCLTを使用し、主要構造部には事前に工場で組み立てた箱型ユニットを採用することで安全性を確保し、環境に配慮しながら大幅に工期を短縮し、北海道産の建材を積極的に活用することで、地域経済の活性化とCO2排出量の削減に結びつけ、持続可能な地域社会の実現に貢献するものです。
本記事では、三井ホームのプレスリリースを参考に、建設整備事業の概要と取組のポイントについて解説します。
木造交番、駐在所整備事業の概要
本事業は、三井ホームグループ初の木造交番建設となります。2025年12月下旬から2026年4月中旬の工期を経て、同年4月末までに全棟を引渡し予定です。
建設は5棟ともに新築で、木造(CLTを使用した箱型ユニット構造)となり、2階建て2棟(元町交番・麻生交番)、平屋建て3棟(北都交番・北野交番・恵み野交番)となります。
■建設プロジェクト概要
・発注者:警察共済組合北海道支部
・建設名称:令和7年度買取型交番、駐在所整備事業(第一次)
・設計監理:三井ホーム北海道株式会社
・施工:三井ホーム北海道株式会社
・規模・構造:平屋及び2階建、全5棟・木造(CLTを使用した箱型ユニットの構造)
・工事時期:2025年12月下旬~2026年4月下旬(予定)
CLT箱型ユニット採用で約3カ月の工期短縮を実現
木造交番の構造体には、優れた強度や剛性を有する国産材CLTを活用し、主要構造部に予め工場で組み立てた箱型ユニットを採用した結果、高い安全性を確保しながら、従来工法に比べて約3カ月の工期短縮を可能としました。
またユニット化によって、将来、移築・移転が必要となった場合に、建物を再利用することも容易となりました。下図は構造体(CLT箱型ユニット)のイメージ図です。
今回、木造を採用したのは、交番に期待される地域住民の安心・安全を守る拠点としての役割を重視した面もあり、その建設においても、高い安全性の他に環境配慮や地域貢献などの役割が求められたためです。
木には成長過程でCO2を吸収し、建材となった後も炭素を貯蔵し続ける特性があります。CLTは耐震性に優れ、中大規模建築物に用いることができるため、CLT箱型ユニット工法は、脱炭素社会の実現に寄与する工法として注目を集めています。
下図は、CLT箱型ユニットの耐震実験の様子です。
地元建材の積極活用と地元企業との連携で地域社会へ貢献
本事業では、北海道産トドマツを下地材に、北海道産カラマツを構造用合板や構造用LVL(単板積層材)に、北海道産シラカバを造作家具(カウンター・机・造作家具)に使用するなど地元建材を積極的に活用していきます。
また、構造体施工は地元工務店である西條産業株式会社(本社:北海道小樽市有幌町)が担当するなど、設計・施工・品質管理において、道内のさまざまな企業と連携します。これらを通じて地産地消の推進や地域経済の活性化への貢献を実現するものです。
断熱性能の向上や省エネ性能機器を導入して、脱炭素社会実現に貢献
寒冷多雪地の北海道で冬期間の最低室温を概ね15℃以上に保つため、外壁に外断熱工法を、窓には3層断熱ガラスを使用した樹脂サッシを採用して、HEAT20のG2レベルに相当する高い断熱性能を実現しました。
さらに、熱交換換気扇と高効率エアコンによる効率的な室温の維持、LED照明や節湯型エコハンドル仕様の水栓の採用などを通して、省エネ性能も向上させています。
このように断熱性能と省エネ性能の面からも、脱炭素社会の実現に貢献できる交番建設を進めていきます。
まとめ
下表は、三井ホームによって本事業取組のポイントがまとめられたものです。
以下は、プレスリリースの内容から離れて、筆者による北海道における木造促進に関する補足説明とします。
北海道には豊富な森林資源があり、SDGsや脱炭素化の取り組みとして、道内の森林資源の利用推進が注目されています。
北海道は、日本で最北端に位置するため、厳しい冬の気温や豪雪により、建築物には高い断熱性や構造耐力が求められており、他地方で一般的に普及している木造在来工法の建築物は少なく、過去にはレンガ造り、ブロック造、RC造など積雪荷重に耐える建設が主流でした。
近年は、北海道水産林務部が中心となり「木造建築物に係る相談窓口」を開設して、地元木材の調達や木造建築のサポートを行うなど、木造建築の促進に注力しており、耐震性と耐久性が高いことから、ツーバイフォー(2×4)工法が非常に普及しています。
寒さを防ぐため、高性能な断熱材やペア・トリプルガラスが使用され、無落雪屋根(平らな屋根)を採用して、雪が落ちないようにする工夫を講じるのが一般的です。
今回の整備事業では、さらに耐震性能が高く、工場で組み立てられるCLT箱型ユニットが採用されましたが、「買取型交番、駐在所整備事業」も第一次と称されていますので、今後も木造の採用が拡大していく方向性になることが予想されます。
また三井ホームでも、本事業のCLT箱型ユニット工法の設計・施工実績をもとに、多様な用途に適用拡大が見込まれます。
出典:三井ホームグループ初の木造交番建設に着手(プレスリリース)
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)




