積水ハウス建設が「大工1000名計画」育成体制もさらなる強化へ【住宅業界NEWS】

積水ハウス建設では社員工「クラフター」を積極採用。2033年には1000名体制実現へ

積水ハウスグループの積水ハウス建設ホールディングス(以下、積水ハウス建設)は、高校卒業予定者を中心とした住宅建築を担う社員工「クラフター」の積極採用を2023年より実施しており、10年後の2033年4月時点で約3倍となるクラフター1000名体制を計画しています。

2025年4月には、採用強化(2023年)前過去3年平均※の約3.8倍にあたる、134名のクラフターが入社しました。

以下、2025年5月7日付、積水ハウスニュースリリースに記載された「積水ハウス建設の新しい取組み」を中心にクラフターの採用・育成制度についてご紹介します。

※採用強化前過去3年平均入社数は35名(出所;積水ハウスニュースリリース)

魅力ある積水ハウス建設のクラフター

積水ハウス建設では、クラフターを「顧客との距離も近く、基礎・建方等の住宅建築を担う社員工としてお客様の安全を守り、家族の幸せを形にする魅力ある職業」と位置付けており、入社後に、施工技術を習得できる訓練校に入校し、積水ハウス建設の育成担当の指導により基礎・建方等の住宅建築を担う社員工として活躍することを目指していきます。

住宅づくりには多様な技能を持つ多能工が求められることから、積水ハウス建設では育成に力を入れ、クラフターの魅力をさらに高めていきます。積水ハウス建設では、「わが家を世界一幸せな場所にする」というグローバルビジョンの実現に向けてクラフターの積極採用に加えて、訓練校で行う育成指導体制を充実させ、クラフターの定着やキャリアアップのための体制づくりに取り組んでいます。

2025年度からの新たな取組み

■採用強化

・採用強化開始から10年間で約3倍の社員工クラフター1000名体制を計画

2024年3月末時点で在籍数360名のクラフターを、2033年4月時点で1000名に増員することを目標とします。将来的な視点での施工力の確保を目指して、引き続き採用強化を続けていくものです。

・2025年4月は採用強化前過去3年平均と比べて、3.8倍超にあたる134名が入社

2024年4月入社及び2025年4月入社の採用数は、採用強化前過去3年平均と比べて、3.8倍超にあたる134名となりました。2026年4月入社も同程度を見込んでいます。

・キャリア入社の増加と多様化

住宅業界未経験でのクラフターキャリア採用を昨年比35%増の19名採用しました。

2024年度では初めてとなる元自衛隊職員など、様々な業界から採用を行い、バックグランドも多様化しています。積水ハウス建設の充実した育成体制で、住宅業界未経験のキャリア入社もサポートしていきます。

■2025年入校式

・クラフター入校式を家族・教職員に初めてオンライン公開 育成体制説明会実施

5月7日に開催した入校式の様子を、クラフターの家族・教職員に初めて公開し、オンラインで実施しました。入校式終了後には、育成体制の説明会も質疑応答付きで実施し、家族・教職員に充実の育成体制を紹介しました。

出所:積水ハウス建設ニュースリリース

■訓練校体制強化

・講師役のトレーナー1人あたりのクラフター数を減らし少人数で研修

育成効果を高めるため、躯体外装コース実習班の人数を約20人以下から15人以下とすることで、一人一人に目が届く適切な人数体制で大幅増のクラフターの技術習得を支援します。

・トレーナーを約2倍に増員し受け入れ体制を拡充

採用増のクラフターへの育成支援体制を整備するため、訓練校のトレーナー数を2023年度から約2倍となる37名に増員を行いました。積水ハウス建設各社から現役クラフターや工事責任者をトレーナーとすることで、現場の技術を多く体験できるようになり、現場に出てからもすぐに実践に移れるようにしています。

出所:積水ハウス建設ニュースリリース

■現場での指導体制の強化

・現場で指導するチーフクラフターの増員 訓練後の育成も強化

積水ハウス建設の施工現場では、チームのリーダー役となるチーフクラフターとクラフターの2~3名の班で施工を行います。採用強化により増員したクラフターを確実に育成するため、現場で指導を行うチーフクラフターの増員が必要となります。

現在73名のチーフクラフターを2025年中に40名増員の113名を計画しています。また、各々で情報交換ができる交流会や、指導に活かせる研修なども実施し、チーフクラフター自身の育成力向上も図ります。量と質の両面で現場の指導体制強化を行います。

出所:積水ハウス建設ニュースリリース

■定着体制整備

・最新のDXを活用した社員の状況把握と速やかなフォロー

新クラフターが安心して働き続けられる、定着サポートサービスを2024年10月から試験運用しており、2025年度より本格運用を始めます。クラフターに毎月アンケートを配信し、全国の積水ハウス建設の育成担当者が回答を確認することで、コンディションが低下したクラフターをタイムリーに検知し、速やかに面談等のフォローを行います。

■待遇改善

2025年4月から初任給を最大3%アップ。アップは3年連続(2023年最大11%、2024年最大9%UP)となりました。また2024年4月から、チーフクラフターの待遇を大幅に改善し、30代で現在年収500~600万円から、最大約1.8倍にあたる最大約900万円まで引き上げており、制度実施1年目は前年比40%超増の年収約850万の社員も現れました。クラフターが仕事に集中して働きやすく、一生涯安心して良質な住宅建築に貢献できるよう就業環境を整備します。

まとめ

下表に前項で記入した「積水ハウス建設の新たな取組み」をまとめました。

建設業界の人手不足についてたびたび報道されていますが、住宅分野の建設技能者不足は極めて深刻な状況となっています。

大工就業者数はピーク時(1980年)の93万7000人に比べて、約1/3となる29万8000人まで減少しており、高齢化が進んで、2020年には60歳以上の割合は43%に達しているのです。今後は高年齢大工の引退が進み、このままでは、2035年にはピーク時のわずか1割程度になりかねない状況なのです。

このような状況を解決していくには、積水ハウス建設のように採用と育成を強化したうえで、人材が定着し、永く活躍して行けるように、処遇改善や職場環境の整備を進めることが必要不可欠といってよいでしょう。

本記事作成にあたり、積水ハウス株式会社の2025年5月7日付ニュースリリースを参考としました。ご興味ある方は、ぜひ 「こちら」 からご確認ください。

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)