
特集【20】フジタがICT土工システムを現場試行。施工管理にブロックチェーンを活用して遠隔で出来形管理を実現しました【建設DX】
フジタは、国土交通省中国地方整備局発注の「玉島笠岡道路浜中地区中工区改良工事」で、ICT土工の施工管理データをクラウドに自動送信し、監督員が遠隔で出来形確認ができるシステムの現場試行を行い、効果を検証したと発表しました。
このシステムはブロックチェーンを活用して、データ改ざん防止機能も備えています。
本記事では、株式会社フジタのプレスリリースを参考にこのシステム概要について解説します。
重機搭載レーザー計測システムと共通認識データ環境「R-CDE」をAPI連携で統合
今回、試行したシステムは、フジタがICT土工向けに開発した重機搭載レーザー計測システムと、東京大学大学院工学系研究科に設置された「i-Constructionシステム学寄付講座」協調領域検討会の施工ワーキンググループが開発した共通データ環境「R-CDE」をAPI連携で統合したものです。
このシステムでは、重機に搭載されたレーザースキャナーによって、施行中に3D計測を行い、計測データを重機から直接R-CDEへ自動送信して、施工中に遠隔で出来形管理※を実施することができます。
これによって、従来の出来形計測作業を省略でき、さらにブロックチェーン機能を備えた共通データ環境により、保存されるデータの真正性が保証され、改ざんを防止した形で施工管理データを一元管理することができます。
関係者は常時共通データにアクセス可能で、監督員は建設現場に出向くことなく、出来形データを確認できるため、監督や検査に伴う業務や帳票作業が大幅に効率化できるものです。
※出来形管理とは
出来形管理とは、土木工事などの施工において、設計図書に示された規格値に対して実際の施工結果が適切に仕上がっているかを確認・管理することです。
品質管理と並んで重要で工事の完成度を保証するために行われ、具体的には、測定を行い、設計値と実測値を比較して記録し、出来形管理図表を作成することで管理します。また、工事写真を撮影し、施工状況や出来形寸法を記録することも含まれます。
現場試行の結果、ICT土工における出来形確認を、従来の実地測定と書面による方法に代えて、R-CDE上で行えることが実証されました。
R-CDEのAPI連携による効果
API連携とは、異なるアプリケーションやシステム間のデータや機能を共有することです。今回、試行された「重機搭載レーザー計測システム」は、株式会社フジタとライカ ジオシステムズ株式会社が共同開発しており、既存の重機に簡単に後付けできるものです。また重機が旋回することで、法面の出来形を3D計測することが可能です。
「R-CDE」は、東京大学大学院工学系研究科に設置された、i-Constructionシステム学寄付講座、協調領域検討会の施工ワーキンググループが開発しましたが、API連携では、ブロックチェーンを活用した改ざん防止機能を備えた共通データ環境となるため、データ不正が発生する余地がなく、発注者が監督・検査に臨場することや、計測や帳票化が自動で行われるため、省略することが可能です。
試行前に発注者向けの現場説明会が開催された
2025年2月27日、試行現場で発注者向けの現場説明会が開催され、中国地方整備局、岡山国道事務所、福山河川国道事務所から約40名が参加しました。
現場説明会では、国土交通省が推進するi-Construction2.0の目的である建設現場のオートメーション化に寄与する新技術「重機搭載レーザー計測システムと共通データ基盤の連携」についての概要説明と実機デモが行われました。
まとめ
国土交通省直轄工事を中心に、i-Construction2.0の建設現場のオートメーション化が進んでいますが、導入されるシステムが本格稼働するには、今回事例のように、施工企業(ゼネコン)、開発メーカー、発注者のAPI連携が非常に重要となっています。また、実現されたシステムは公共工事だけではなく、幅広く拡大、普及していく可能性が高く、今後の開発展開が期待されます。
出典:重機搭載レーザー計測システムと共通データ環境「R-CDE」を連携 現場試行で効率化を確認(フジタプレスリリース)
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)