【建設学生団体・紹介】芝浦工業大学 土木サークル

学生主体の団体を目指して再出発

芝浦工業大学の「土木サークル」は、発足時期が明確には分かっていないものの、長く活動を続けてきた団体です。しかし、これまでは顧問の先生に頼る部分が多くありました。

2年前の2023年度からは、「より学生主体で、学生同士のつながりを大切にしたサークルにしていきたい」という思いのもと、体制や活動内容を一から見直しました。そう語るのは、今年5月までサークル代表を務めた工学部土木工学科4年の百瀬遥香さんです。6月からは篠崎裕一さんが代表を引き継ぎました。

新入生に対して積極的にサークルの説明を行った結果、登録メンバーは現在178名にまで増加。学年ごとの割合は下表のとおりです。特に1・2年生が多いのは、この2年間の取り組みの成果を物語っています。土木工学科は1学年につきだいたい100名程度ということで、土木サークルに登録する人の割合の多さが見て取れます。

現在は顧問の先生の役割も事務的なやり取りやアドバイスに留まり、ほとんどの活動が学生主体で行われています。

3つのアピールポイント

そんな土木サークルの特徴について、3つのポイントを挙げてもらいました。

1) 低学年のうちから土木の現場を知ることができる

授業は座学が中心で、普段の生活では「風景としての土木」を見ているだけになりがちです。しかし、土木の仕事は実際の現場を見て初めて理解できることが多いといいます。そこで土木サークルでは、学年を問わず、低学年から現場に触れる機会を積極的につくっています。

見学先は、ゼネコン、コンサル、国や地方自治体などの土木学生が進学する業界を網羅。訪問先は、学生がインターンシップや就職説明会で連絡先を交換し、学生自ら交渉・連携して実現しています。毎年異なる現場を訪問することも魅力の一つです。現場見学をお願いすると、多くの企業や自治体は、歓迎してくれるそうです。

2)先輩後輩とのつながりを深めることができる

新入生歓迎会や文化祭出展を通じて交流を深めており、今年は特に文化祭での活動が活発になりました。また、土木サークルの企画部では月に1〜2回定例会を開き、先輩・後輩関係なく自由に意見交換ができる場を設けています。

3)土木についてさらに深めることができる

現場見学だけでなく、企業との座談会を開催し、現場で働く社会人から生の声を聞く機会を設けています。さらに、文化祭では、学生が土木関連の写真やその場所の歴史などを調べた資料を各自で持ち寄り、それぞれの学びに活かせるよう工夫しました。

学外イベントと学内イベント

活動内容は大きくわけて2つあります。

1つは、勉強会、履修登録会、まち歩きイベント等の学内イベントです。もう1つは、現場見学会、座談会などの学外イベントです。

活動はすべて任意参加であるため、自分の興味に合ったイベントだけに参加できます。1イベントあたり、10人~20人程度の学生が学年を越えて集まります。

学内イベントでは、テスト対策や履修登録のサポート、技術士補資格取得を目指した勉強会などを開催。百瀬さんは「困ったときに誰に頼ればいいか分かるような状態をつくり、気軽に質問できる環境づくりをしています」と話します。

また、まち歩きは、今後も継続して行う予定で、月2~3回の実施を検討しています。スーパー堤防を見学し、他大学の詳しい学生に解説してもらうなどの取り組みもありました。「Tokyo Walking」というイベントでは、同じ志をもった学生団体「KID」の大学院生と代々木公園から東京駅まで歩きながら、土木・建築に関する解説を受けるイベントも行いました。他にも日本大学水理環境研究会の方々との交流会を開催するなど、他大学との連携も大切にしています。

学外イベントでは、現場見学の他、企業や行政との座談会も行われています。例えば昨年は、都民の生活を支える荏原調節池を見学した後、東京都庁OBOGの方との座談会が行われました。参加した学生たちは東京都庁での仕事について聞いたり、大学生活の過ごし方や就活に関するアドバイスを受けたりしました。

(左) 技術士補勉強会の様子 (右)履修登録会の様子

街歩きの様子

学生団体KIDと開催したTokyo Walking

企業や行政との現場見学会

年間スケジュール

年間スケジュールについては、表に示す通りです。

5月と11月には2つの文化祭「大宮祭」「芝浦祭」があります。今年5月にはサークルとして初めて文化祭出展を行い、549名もの方の来場がありました。親子向けの「パスタブリッジ体験」は約70名の方の参加があった他、土木写真展示や、高校生の参考となるよう土木学生の学生生活を紹介する展示も行いました。11月には、その経験を生かした新たなプログラムも考案中です。

さらに、12月には昨年から始まった内定者報告会を開催し、就活体験談を共有することで縦のつながりを強化しています。また、2月には他大学との交流を深める学外イベントも計画しています。

大宮祭出展の様子

築土構木という原点

土木サークルのホームページをのぞくと、「築土構木」と習字で書かれた言葉が飛び込んできます。

土木サークルホームページより

これは「土木」という言葉の語源とされており、活動方針である「土木を深め、土木を広める。」という理念を象徴しています。

土木サークルの中心となって活動しているのは企画部です。サークルの活動方針が決まり、深めていく役割を主に担っています。3つほどの企画チームを編成し、さらに広報担当がSNSを駆使して活動を発信しています。

今後の展望

最後に今後どのような団体にしていきたいかということを聞いてみたところ、「学内学外問わず、つながりを強めていきたい」という答えが返ってきました。

特に高校生へのアプローチを重視し、土木への関心が薄い層に活動を広げる計画があります。どの業界も後継者不足が課題であり、土木業界も例外ではありません。そんな中で、進路を選択する前段階にある高校生にまずは土木の魅力を知ってもらい、進路選択の一つにしてもらうことが大きな目的です。

「自分たちの活動が良いものになることで、土木業界全体が魅力的になる」という思いが土木サークルの活動の根底にあるのです。

 

■芝浦工業大学 土木サークル 各種情報

代表

2024年度:工学部土木工学科4年 百瀬遥香

2025年度:工学部土木工学科3年 篠崎裕一

 

メールアドレス:civill.circle(a)gmail.com

※迷惑メール対策のため@を(a)に変えています。連絡の際は@に修正お願いします。

各種URL

・HP:https://www.notion.so/HP-1c18c87e44d2807aac28f7bc5cdae897

・Instagram:https://www.instagram.com/sit.civil_circle/

 

※本記事に掲載した表に記載の情報や写真は、芝浦工業大学 土木サークルの提供によるものです。

 

文-住田百合耶