
2025年11月施行、木材利用の促進を企図した防火関係規制(建基法施行令)の見直し【建設NEWS】
国土交通省は、建築物における木材利用の促進等を図るため、建築物の防火・避難関係規制等を見直す「建築基準法施行令の一部を改正する政令」を2025年8月29日に閣議決定し、同9月3日に公布しました。同政令は、2025年11月1日に施行されます。
改正の背景
2050年までにカーボンニュートラル実現を目指す、わが国の目標達成に向け、温室効果ガスの吸収効果や貯蔵効果を有する木材の、建築物での利用を促進するため、技術的知見の蓄積に応じて、建築基準法に基づく規制の見直しとして、今回は、内装制限、排煙口の設置、防煙壁の設置義務等、防火関係規制等について改正を行います。
政令の概要
「建築基準法施行令の一部を改正する政令」で見直す項目は、下表8項目です。
順番に解説を加えます。
1.防火区画等に係る室内の内装制限の見直し
現行法では高層階や竪穴部分の防火区画、避難階段、特別避難階段の天井や壁には、内装の仕上げと下地に不燃材料か準不燃材料を採用しなければなりませんが、ここに、「その他これに準ずる措置が講じられたもの」が追加されます。
具体的な措置は、2025年10月公布予定の告示で規定されます。
方向性としては、仕上げの被覆厚の基準などが材料ごとに示されることになるようです。
2.小屋裏隔壁に係る制限の緩和
建築面積300m2超は、準耐火構造以上の小屋裏隔壁(もしくは天井でのファイヤーカット)の設置が必要となりますが、これに関して、告示で示す基準に適合する建築物(内装の仕上げ、排煙設備、避難上の支障等に関しての基準)であれば、不要になるようです。
3.無窓居室の判定基準の見直し
居室の1/50の開放窓がなければ排煙設備要求が生じるものですが、緩和措置が設けられる予定です。具体的な基準は告示で規定される予定です。
4.防煙壁として扱うことのできる対象の拡大
排煙区画に不可欠な防煙壁(垂れ壁)の規定ですが、新しく、準耐火構造(高さが一定以上のもの)が追加されます。加えて、天井面から50㎝以上、下方に突出した梁についても防煙壁として明確化されます。
5.自然排煙口に係る建築材料規制の緩和
排煙機を設けない自然排煙口については不燃材料でつくらなくてもよくなります。
6.避難及び消火上必要な敷地内の通路の見直し
延べ面積が1,000m2超の大規模木造建築物に対して敷地内通路を設けなさいとするものです。告示により緩和される予定です。
7.既存の建築物への制限の緩和
既存不適格建築物の制限の緩和に関して、大規模の修繕・模様替えに対する緩和措置に屋根・外壁・軒裏が追加されます。従来は火炎遮断壁等の設置が必要でしたが、既存不適格であれば現行基準を適用しなくても良いことになります。
8.建築基準法の規制対象とするエレベーター、小荷物専用昇降機の範囲の見直し
建築基準法の適用を受ける昇降機から、「労働安全衛生法施行令第1条第九号に規定する簡易リフト」が対象外となります。
本施行令運用に必要な国土交通大臣告示については、施行日前には公布される予定です。
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)