JR東海が大量生産技術を開発、次世代建設材料「バサルトFRP筋」【建設NEWS】

JR東海はリニア中央新幹線用に「バサルトFRP筋」の大量生産技術を開発したと発表しました。

この新素材は鉄道建設に変化をもたらす可能性があります。本記事では、その概要を説明します。

鉄筋を超える特性をもつ「バサルトFRP筋」はリニアに最適

リニア中央新幹線では、超電導磁石の力で走行する車両への抵抗を減らすために低磁性鉄筋を使用しています。

「バサルトFRP筋」は、玄武岩繊維と熱可塑性樹脂からなる、非磁性・絶縁性・非腐食性・軽量(鉄筋の約1/5)・高強度(鉄筋の約3倍)という優れた特長を有する新素材です。

これまで、バサルトFRP筋は製造に時間とコストがかかる点が問題でした。

熱可塑性樹脂の利用で製造時間は短縮できたものの、太径化が課題でした。

JR東海はこれを改善し、熱可塑性樹脂を使い、直径5〜32mmのバサルトFRP筋を短時間で大量生産する世界初の技術を開発しました。

JR東海によると、大量生産が可能となったことにより、製造コストの大幅な低減が期待でき、コスト面で導入が難しかった現場でも、バサルトFRP筋の活用が現実的となったとのことです。

JR東海では、2021年から小牧研究施設と山梨リニア実験線で実証実験を行い、開発した製造技術によるバサルトFRP筋の試験施工を実施して、強度や品質などについて十分な性能を確認しました。

リニア中央新幹線の消費電力低減が期待される

リニア中央新幹線は超電導磁石の力で浮上走行する次世代高速鉄道です。

その構造物に低磁性鉄筋を用いても、完全に磁生をゼロにすることはできません。

リニア中央新幹線が高速走行する際に、周囲に磁性体が存在すると、過電流損失により車両の推進力が奪われ、電力消費量の増加につながります。

一部鉄筋を、非磁性のバサルトFRP筋に置換することで、過電流損失を大幅に減少させることができるのです。

適用を進めることで膨大なエネルギー削減とコスト削減につながるものと期待されています。

またバサルトFRP筋は非腐食性であるため、コンクリート構造物の耐久性が向上し、維持管理の省人化・省力化に寄与し、鉄筋と比較して軽量であるため、施工性の向上が期待できます。

今後の展開

JR東海では引き続き、山梨リニア実験線区間で施工性等を確認するための試験施工を実施します。

また非腐食性という特長を活かして、特に塩害の影響を受けやすい東海道新幹線浜名橋梁橋脚のひび割れ防止工事に適用していきます。

出典:リニア中央新幹線への適用に向けたバサルトFRP筋の開発について(東海旅客鉄道 プレスリリース)

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)