2025年度版!!中堅ゼネコン13社売上高ランキングと徹底解説【業界研究】

中堅ゼネコンとは?

総合建設業(ゼネコン)は永年に渡り、その売上規模をベースとして、大手・準大手・中堅・地場に分類されています。皆さんも下図は見たことがあるのではないでしょうか?

中堅ゼネコンとは、スーパーゼネコンや準大手ゼネコンに次ぐ規模の総合建設会社を指します。明確な定義があるわけではありませんが、一般的には年間売上高が1,000億円から3,000億円程度の企業を指すことが多いです。

但し、近年は年間売上高が増額傾向にあり、一概に売上規模だけで区分けをしているわけでもありません。一般的な中堅ゼネコンの解説記事でも8社や11社とするものが多いと思いますが、本記事では売上高ランキング表を明示して、前回、準大手ゼネコンとして紹介している東急建設を除いた13社について紹介します。

中堅ゼネコンの一般的な特徴について

中堅ゼネコンの一般的な特徴は以下の通りです。

1.工事規模

スーパーゼネコンは大規模プロジェクトを担うことが多く、中堅ゼネコンでは中規模公共工事や民間大型プロジェクトを数多く手掛けています。

2.専門分野に強い

建築工事の他に、海洋土木、トンネル、ダム、鉄道など、特定の専門分野に強みを持つ企業が多く見られます。

3.事業エリアは広大

全国展開している企業が多いですが、特定地域に根ざした事業展開をしている企業もあります。専門工事の技術力を活かして、積極的に海外展開している企業もあります。

4.組織規模や働き方など

大手、準大手ゼネコンより社員数が少なく、若手社員でも比較的早い段階で大きな仕事を任されることが多く、成長の機会に恵まれる傾向があります。

また組織が比較的コンパクトで、プロジェクトに合わせて部署間の連携が密で、社員同士の距離が近いなど風通しがよい社風の企業も多いとされます。

5.採用活動の傾向

大手ゼネコンと比較して応募倍率が低く、人物重視の選考が行われる傾向があります。地域密着型で転勤が少ない企業が多いことも特徴です。採用選考も、早期選考よりも地域大学や支店などで説明会を開催して、直接面談を重視した選考を行うのが特徴です。

中堅ゼネコン売上高ランキング(2024年度)

直近決算期(2024年度)の「中堅ゼネコン売上高ランキング」を掲載します。

表中にある東急建設は、準大手ゼネコンとされていますので、本記事で解説は行いません。

また福田組は12月期決算となり、前記事「【2025年3月決算】主要ゼネコン27社売上高ランキングを掲載しました」には掲載していませんでしたが、代表的な中堅ゼネコンとして、今回はランキングに加えています。

中堅ゼネコン平均年収ランキング(2025年版)

総合資格ナビ調査による「中堅ゼネコン平均年収ランキング」を掲載します。

平均年収は一般的に平均年齢と比例して金額が上がる傾向があります。

ランキング表を掲載する目的は、中堅ゼネコンは年収で準大手と同等レベルの企業が多く、売上規模も安定して、知名度に比べ待遇が劣るとは限らないことを確認していただくためです。気になる企業については、昇進・昇格の実態やキャリアプラン、仕事内容などと一緒に「30歳年収」などを深堀して、さらに研究を進めていくとよいでしょう。

中堅ゼネコン各社の特徴を紹介します

中堅ゼネコン13社の特徴を売上高ランキング順に、コンパクトにまとめて紹介します。取り上げる情報は下記項目を標準としていますのでご確認ください。

1.得意・強みとする工事分野

2.沿革(創業・設立他)

3.従業員数

4.初任給

5.平均年齢

■高松コンストラクショングループ

1917年(大正6年)、大阪市淀川区で高松組として創業し、1965年設立。1990年に高松建設(旧)に商号変更しました。現持ち株会社への移行は2008年10月で、傘下に高松建設(新)、青木あすなろ建設、みらい建設工業、東興ジオテック、タカマツハウスなどを有する建設企業グループです。

グループ各社が専門性を分担して担っています。主な分野としては、賃貸マンションやオフィスビルなどの一般建築(髙松建設)、ダムや高速道路といった大型土木・建築(青木あすなろ建設)、海洋土木(みらい建設工業)、法面工事や特殊土木(東興ジオテック)、そして木造戸建住宅(タカマツハウス)があげられます。

高松建設は土地活用を軸とした企画・施工を得意とし、マンション、オフィスビル、工場・物流センターなどの施工実績が豊富です。

2025年度初任給は265,000円(大卒)、従業員数は4,981人、平均年齢は48歳です。

■東亜建設工業

東亜建設工業は、1908年(明治41年)に現川崎市で創業し、1914年設立と創業100年以上の歴史を有する総合建設会社です。港湾埋立工事から事業開始しており、海洋土木に強く、空港の埋立工事や港湾施設の整備を中心に展開し、近年は物流倉庫や冷凍冷蔵倉庫等周辺施設へ事業拡大しています。

港湾土木分野を中心に52か国以上で施工実績があり、海外事業展開も強みとなります。代表的な施工実績として、関西国際空港、中部国際空港、東京港レインボーブリッジ、横浜港国際客船ターミナルなどがあります。

2025年度初任給は大卒300,000円、修士卒320,000円、高専卒280,000円。

従業員数は2,032人、平均年齢は44歳です。

■奥村組

奥村組は1907年(明治40年)に土木建築請負業として創業。1938年に設立。大阪に本拠を置く総合建設業で、建築工事に強みを持っています。

1986年に日本初の実用免震ビルを設計・施工するなど高い技術力を誇り、土木技術ではシールド工法に強みを持ち、1965年に日本初の泥水式シールド工法である「OCMS工法」を開発して以来、国内外で施工実績を積み重ね、シールド工事の施工延長は、国内トップレベルの実績を誇っています。

2025年度初任給は、300,000円(大卒)、340,000円(修士了)、280,000円(高専卒)で、従業員数は2,505人、平均年齢は43歳です。

■鉄建建設

鉄建建設は東京都千代田区に本社を置く総合建設業で、1944年(昭和19年)に設立された、日本の鉄道建設を担うリーディングカンパニーです。東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の持分法適用会社で、長年にわたる鉄道建設事業を通じて業界トップクラスの技術力と豊富な経験を有します。

2025年度初任給は、280,000円(大卒)、300,000円(修士了)で、従業員数は1,871人、平均年齢は42歳です。

■東洋建設

東洋建設は大阪市中央区に本店、東京都千代田区に本社を置く総合建設業です。創業は1929年(昭和4年)に埋立て、工業港建設を目的に設立された阪神築港株式会社が前身となり、1964年に東洋建設に商号変更しました。

海洋土木大手で、フィリピン、ベトナムなど東南アジアでの事業展開も強みです。代表的な施工実績は東京港港湾施設、大阪港咲洲コンテナターミナル、東京湾アクアラインなどがあります。近年は前田建設工業と提携していましたが、2025年8月、大成建設のTOBにより完全子会社化が決定しました。

2025年度初任給は、300,000(大卒)、320,000円(大学院卒)で、従業員数は1,711人、平均年齢は43歳です。

■淺沼組

淺沼組は大阪市浪速区に本社を置く総合建設業で、1692年(元禄5年)創業と長い歴史を有します。官公庁舎など公共工事や教育施設に強みを持ち、近年は分譲マンションや商業施設も多く扱っています。土木工事では北陸、北海道新幹線などインフラ工事も手掛けています。代表的な施工実績には、大阪大学医学部附属病院、東京大学工学部、東京駅などがあります。

2025年度初任給は、300,000円(大卒)、320,000円(修士了)で、従業員数は1,261人、平均年齢は45歳です。

■福田組

福田組は新潟県を地盤として全国展開する総合建設業です。本社は新潟市中央区と、東京都千代田区に東京本社・本店があり、中堅ゼネコンでは珍しく、自社技術で超高層ビルを建築することができ、独自技術である「プレキャスト鉄筋コンクリート構法」を保有しています。福田道路など関連企業も多数あります。

2025年度初任給は、277,400円~289,600円(大卒)、282,500円~295,000円(大学院卒)で、従業員数は850人、平均年齢は43.7歳です。

■東鉄工業

東鉄工業は1943年に国策会社として鉄道輸送力確保を目的に設立され、鉄道事業に強みを持ち、JR東日本と緊密なつながりを有しています。主に保線工事やJR関係の建築・土木工事を担い、Jヴィレッジ駅新設工事や誉田駅、橋上駅駅舎新設など数々の実績を持っています。

2025年度初任給は、280,000円(大卒)、300,000円(大学院卒)で、従業員数は1,864人、平均年齢は41歳です。

■大豊建設

大豊建設は東京都中央区に本社を置く総合建設業で、麻生グループの一員です。土木工事の高い技術力を持ち、水中構造物の建設に用いる「ニューマチックケーソン工法」など特殊工法開発で知られています。トンネルやダムなど大型土木工事に多く参画しており、代表的な施工実績には東京港アクアライン、青函トンネル、明石海峡大橋などがあります。

2025年度初任給は、275,000円(大卒)、295,000円(大学院卒)で、従業員数は1,690人、平均年齢は45歳です。

■飛島ホールディングス

飛島建設は東京都港区に本社を置く総合建設業で、1883年に飛島組として創業、トンネル、ダムを中心とした土木工事や防災関連を得意とするゼネコンです。

2024年10月より持ち株会社飛島ホールディングスに移行しました。代表的な施工実績として、東京アクアライン、飛騨トンネル、東京ミッドタウンなどがあります。

2025年度初任給は、280,000円(大卒)、300,000円(大学院卒)で、従業員数は1,470人、平均年齢は48歳です。

■ピーエス・コンストラクション

ピーエス・コンストラクションの前身は1952年設立のピーエス(旧ピーエス・コンクリート)と1960年設立の三菱建設が2002年に合併したピーエス三菱です。

同社は日本初のプレストレスト・コンクリート工場、および建設会社ですが、2023年、大成建設によるTOBで完全子会社となり、翌2024年、ピーエス・コンストラクションと商号変更しました。コンクリート橋梁で施工実績が豊富です。

2025年度初任給は、300,000円(大卒)、320,000円(大学院修了)、280,000円(高専卒)で、従業員数は1,615人、平均年齢は44歳です。

■錢高組

錢高組は大阪市に本店、東京都千代田区に本社を置く総合建設業です。創業1705年(寶永2年)以来、300年以上の歴史を持つ老舗ゼネコンで、橋梁建設技術に強みを持ち、近年は建築事業だけではなく、不動産取引や設計など幅広く事業展開しています。施工実績はフェリシモ本社ビル、中之島の新しい文化拠点「大阪中之島美術館」などがあります。

2025年度初任給は、300,000円(大卒)、320,000円(大学院修了)、280,000円(高専卒)で、従業員数は902人、平均年齢は39.6歳と若くなっています。

■ナカノフドー建設

ナカノフドー建設は東京都千代田区に本社を置く総合建設業で、1885年に石材工事業・中野組として創業しています。1991年にナカノコーポレーションに社名変更、2004年に不動建設の営業部門を譲り受け、ナカノフドー建設に社名変更しました。

医療施設や物流倉庫など民間建築工事に強みを持ち、マンション、工場、病院、事務所、店舗、学校など、幅広い分野でバランスの取れた施工実績があります。

土木工事では、道路、河川、砂防、治山など、社会資本整備事業を中核としています。

2025年度初任給は、280,000円(大卒)で、従業員数は783人、平均年齢は45.6歳です。

まとめ

本記事では中堅ゼネコン13社について、売上高・営業利益・経常利益・純利益など直近(2024年度)決算概要や、平均年収、沿革、得意とする工事分野、施工実績、従業員数、初任給、平均年齢を網羅して紹介しました。

建設系学生でゼネコンの設計職や施工管理技術者、研究職を目指して就活を進める学生は非常に多くなっていますが、大手ゼネコンや準大手ゼネコンとの比較において、中堅ゼネコンは「規模の小さな会社」という印象を持ってしまい、十分な企業研究を行わないままにしているケースもよく見聞きされます。

しかし、一般的な企業規模でみれば、中堅ゼネコンは売上高や事業規模は大会社に位置するものであり、何よりも永年にわたる歴史と豊富な実績は高い技術力や専門性に裏付けられたものなのです。「企業は人なり」とはよくいわれるところですが、これら実績作りを実践し、総力で支え、活躍しているのが中堅ゼネコンで働く人材なのです。

人手不足を背景に売り手市場が続いている建設業界ですが、大手のように多数応募者から、学歴フィルタリングや専門試験などで絞り込みを行い、早期選考中心に内定を進めていく採用スタイルとは異なり、インターンシップや説明会参加者から個別面談で人物重視の選考を進めている中堅ゼネコンは、「地域で活躍したい・専門分野を極めたい・学歴に関係なく実務で第一人者になりたい」と志向する学生と高いマッチングを示す可能性が大きいはずです。

業界研究から企業研究に移る際には、大手・準大手・中堅・地場企業とバランスよく研究して就活を進めていくことをお奨めします。

総合資格ナビでは「夢ある仕事」に向けて全体を俯瞰する業界研究から、自身が想い描く「よい仕事」を追究していく企業研究まで、情報提供と機会創出を通して建設学生の皆さんを応援していきます!

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)