
新ZEH基準に向けて「ZEHコーディネーター」が2026年スタート!【建設業の資格】
わが国では、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、住宅部門でも脱炭素社会実現に向けた取り組みとして、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの省エネ住宅の普及を推進しています。
2024年以降、「GX志向型住宅導入」「ZEHの定義見直し」や「住宅性能表示制度見直し」など、急激に制度が変化する動きがあり、いよいよ2027年から「ZEH新定義・GX ZEH」の認定が開始される予定です。
下表は、2027年4月から導入される「新ZEH定義(案)」になります。
「ZEH新定義・GX ZEH」の詳細については、2025年8月掲載の過去記事「2027年「ZEH基準見直し」とは?ZEH新定義・GX ZEHについて解説します!【業界研究】」で紹介しておりますので、未読の方はぜひこの機会にご確認ください。
本記事では、ZEH新定義の開始に先駆けて、2026年から開始が決定した新資格「ZEHコーディネーター」について紹介します。
ZEHコーディネーター新設の背景
ZEHコーディネーター資格は、国の省エネ住宅制度が激しく変化していく中で、補助金、断熱、太陽光、蓄電池など、ZEHに関する諸制度や必要不可欠な知識を効率的に学び、それらを正しく理解することで、顧客がもつさまざまなニーズに合った住まいと暮らしを提案できる「実践力」を身につけた専門家を養成するための資格制度です。
政府の方針では、2030年までに新築住宅の平均でZEH水準を実現するとしており、これから新築住宅やリフォームを含めて、省エネ住宅に携わる人材は、新ZEH時代に向けて、複雑な制度の理解と活用を現場レベルで実践できるプロフェッショナルであることが求められているのです。
ZEHコーディネーター資格制度を創設した、一般財団法人 家電製品協会は、資格創設の前段階で、全国のZEHビルダーの経営者・営業責任者を対象に「新資格創設をするうえで必要な知見・知識」について事前調査を実施しました。
その調査結果では、約8割が「ZEHコーディネーター」資格活用の意向を示し、約7割が人材教育に活用したいと回答したそうです。(下図)
この結果を受けて、一般財団法人家電製品協会が「ZEHコーディネーター」資格を創設する運びとなり、またその資格の推進は、ZEHビルダーや専門家を支援する団体である一般社団法人 ZEH推進協議会から推奨を得られることになりました。
「ZEHコーディネーター」資格試験は、2026年9月に第1回試験が実施されることが決定し、具体的な試験概要は2026年1月下旬に公開される予定です。
第1回以降は、9月と3月の年2回、ZEHコーディネーター資格試験が開催される予定です。
現在は資格概要や資格の特長などが公開された段階ですが、本資格取得者は、2027年ZEH定義改正を見据えて、幅広い業種で活用が期待されています。
ZEHコーディネーター資格の概要
2025年10月現在、公開されている「ZEHコーディネーター資格の概要」は、下記の通りです。
■新資格名称:ZEHコーディネーター
■受験資格:なし
■試験スケジュール:毎年2 回(9月・3月)実施(第1回試験:2026年9月実施)
■試験方式:CBT方式試験
■試験科目:1科目
■資格の有効期限:資格交付日より5 年間(資格更新制度あり)
■受験料:14,000 円(税込・電子テキスト・講義用WEB動画込み)
学習用教材の費用が受験料に含まれており、教材として電子版テキストと講義用WEB動画が用意されます。
WEB動画講師には、ZEH推進協議会 理事 宜野座俊彦氏を迎え、実践的な販売ノウハウなどを取り入れた臨場感ある講義を実施するとのことです。通勤中や外出先でもスマホなどで気軽に学習可能なスタイルを取り入れており、試験も近年増えているCBT方式(会場に設置されたパソコンを使って受験する試験方式)で実施されます。
ZEHコーディネーター資格の特長と認定要件
「ZEHコーディネーター資格の特長」は次の通りです。
1.新ZEHなど省エネ住宅の営業に必要な知識を効率的に学べる
2.補助金の有効活用など、お客さま(施主)にとって魅力的な提案ができる
3.営業現場で役立ち、お客さま(施主)からの信頼を得られる
「ZEHコーディネーター資格の認定条件」は資格試験合格に求められる、知識修得レベルを表しています。
1.国の省エネ住宅制度をわかりやすく説明できる。
2.GX ZEHなど、新ZEHの定義をわかりやすく説明できる。
3.省エネ住宅制度に関する補助金を理解し、整理して体系立てて説明できる。
4.高性能断熱窓など、省エネ住宅に欠かせない断熱の知識を習得している。
5.太陽光発電システムおよびその導入効果をわかりやすく説明できる。
6.住宅用蓄電システムおよびその導入効果をわかりやすく説明できる。
ZEHコーディネーター取得をお奨めする方や推奨する職種
一般財団法人家電製品協会がZEHコーディネーター取得を奨めているのは、下記のような方です。
1.新築の省エネ住宅を販売・担当されている方
2.省エネ住宅へのリフォームを販売・担当されている方
3.家電販売・サービスに関わるビジネスをされている法人で、住宅リフォームを担当されている方
4.国の省エネ住宅制度をよく理解したい方
5.建築士・電気工事士・工事担任者等の国家資格のほかリフォームや太陽光発電関係の資格をお持ちの方
上記は、建築系を主体として考えると工務店やハウスメーカーの新築・リフォーム営業担当者が中心になると思われますが、特別な受験資格がないことや、比較的取得のハードルが低いため、それらの就職希望者(新卒・中途入社)や周辺技術者(建築士や施工管理技士)、建築以外に省エネ住宅に携わる家電販売業者、電気工事士など幅広い職種を対象としていることがわかります。
まとめ
総合資格ナビ読者は多くが建設系学生であり、住宅会社やリフォーム企業を進路として考えている人も、技術職採用を目指している人が多いと思います。技術職では、二級建築士や宅建士の早期取得が必須となるため、在学中から準備を進めていくことがマストになるでしょう。
ZEHコーディネーターは、2026年からはじまる新資格で、省エネ住宅の実践的な知識が修得でき、受験・取得が比較的容易であることから、全社レベルで学習・受験・取得が推奨される可能性も高いと思われます。
試験概要は2026年1月下旬発表予定ですが、続報があれば、またお知らせいたします。
出典:ZEHコーディネーター資格プレサイト(一般財団法人家電製品協会)
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)