2025年度版!!大手ハウスメーカー徹底解説(前編) 【業界研究】

建築系学科を選んだ最初の志望動機として、新築住宅の設計への憧れやリフォームへの興味がよく挙げられます。実家や親戚が工務店や大工だったという理由も定番です。住居系学科では、間取りやインテリアが大好きな学生が多く、ハウスメーカーは昔から学生に人気が高い就職先となっています。

ただ大手だけでも多数の企業があり、就活を始めてから、どこが自分に合っているか迷う人も少なくありません。

本記事では、大手ハウスメーカーの直近売上高ランキングや企業ごとの特長、経営方針や展望について解説します。可能な範囲で最新情報も紹介していきますので、ぜひ業界研究の参考にしてください。

地元ビルダーや工務店に就職することを考えている人にとっても、まずは全体を俯瞰して、業界最大手企業の動向を把握しておくことはとても重要です。

本記事から企業研究を進める際の着眼点を会得して、自身の志望に応じた企業研究に役立てていただければ幸いです!

大手ハウスメーカー売上高ランキング上位10社(2025年)

2025年3月期を中心に、各社の直近決算期の売上高順で上位10社のランキング表を掲載します。

表中の売上高、営業利益、戸建て販売戸数は、各社の決算報告書等、公表されているものを参照し、日本経済新聞出版社発刊の日経業界地図2026年版、東洋経済新報社発刊の会社四季報業界地図2026年版で一致を確認して、億円単位の差異がある場合は、企業発表数値に合わせています。

飯田グループホールディングスは、上場住宅企業6社が経営統合したグループ持ち株会社ですが、2013年設立と12年経過しており、各社が戸建て住宅事業中心となるため、連結した売上高で4位に位置づけています。戸建て販売戸数については、グループ総計で38,187戸となり、2位の一条工務店(17,345戸)と比較しても、突出した1位となっています。

プライムライフテクノロジーズ(PLT)は、グループ企業のミサワホームが売上高9位、パナソニックホームズが同10位となります。参考としてPLT全体の連結売上高、戸建て販売戸数と、同グループのトヨタホームを一覧に加えています。

プライムライフテクノロジーズ(PLT)は、住宅事業会社だけではなく、パナソニック建設エンジニアリングと総合建設業の松村組という、業態が異なる企業を加えた、街づくり事業グループになるため、連結売上をそのままランキングには反映させず、個別に単体企業の売上高で順位付けしています。

2025年期(2024年度)は、総合建設業同様に建築資材や住宅設備の価格上昇、人件費の高騰、円安の影響下で住宅価格は上昇傾向にあったため、全般的に売上高は増収となっています。

また大手3社(大和ハウス工業、積水ハウス、住友林業)をはじめ積極的な海外展開により、売上高が急増している企業もあり、戸建て販売戸数の増減と売上高、営業利益の伸びが比例していない場合もあります。

企業研究に役立てていただくために、以下の各項目を解説していきたいと思います。

1.売上高・営業利益推移

2.事業別売上高構成比

3.主要商品の特長

4.経営計画など営業展望

5.人材育成&社内環境整備

掲載枠に限りがあり、いずれも抜粋した情報となりますので、より深く知りたいと感じた企業については、各社ホームページや採用情報を確認していただきますようお奨めします。

また本シリーズでは、大手ハウスメーカー上位10社を一挙掲載では情報量が膨大となることから、前編・後編の二部構成でお届けします。

前編では、大和ハウス工業、積水ハウス、住友林業、飯田グループホールディングス、オープンハウスグループの上位5社を紹介します。

大和ハウス工業

1.売上高・営業利益推移

大和ハウス工業は2025年3月期連結決算で、売上高は5兆4348億円となり、4期連続増収となりました。決算報告では開発物件の順調な進捗と、米国戸建て住宅事業拡大等を要因として前期比4.5%の増収です。

営業利益は5462億円で、前期比約24.1%の増益で、4期連続の増益です。

2026年3月期は、売上高で5兆6000億円と約1650億円の増収、営業利益は762億円の減益と予想値を公表しています。

2.事業別売上高構成比

2025年3月期連結決算で公表された、事業別売上高構成比は下表の通りです。

大和ハウス工業の売上は日本の建設業で突出した1位を継続していますが、戸建て販売戸数は5067戸と、上位各社の中では下方に位置しており、施工実績をみても総合建設業やデベロッパー事業に軸足を移していることは周知の通りです。

実際に戸建住宅売上は全体の約21%で、賃貸住宅(25%)、商業施設(22%)、事業施設(25%)とバランスよく総合的な展開をしています。

開発を得意とする準大手ゼネコンのフジタをグループ傘下としており、大和ハウス工業の近年の成長柱は物流センターなど事業施設が中心です。戸建住宅も注文住宅から開発力を活かした分譲住宅にシフトしています。

戸建住宅の部門売上高は1兆1353億円、部門利益は698億円となります。

3.主要商品の特長

大和ハウス工業は、鉄骨プレハブ住宅を主力としてきましたが、最新主力商品の「ジーヴォ(xevo)」は、鉄骨造と木造の両方に対応しています。

軽量鉄骨軸組みに木質パネル併用の商品は、最大開口幅7.1m、天井高2.72mの大空間設計としながら、耐震等級3以上に加え、制震装置「D-NΣQST」や「Kyurec」を標準装備して、階層も平屋建てから3.4.5階建てまで幅広く対応できる優位性を持ちます。

断熱性能は地域に応じて3段階(スタンダード・ハイクラス・エクストラ)から選べ、断熱等性能等級5以上に対応していますが、木造のxevoGranWood(ジーヴォグランウッド)では、最高で断熱等級7を誇り、2025年からは断熱等級6が標準仕様になるなど、2027年ZEH新基準に適応済です。

4.経営計画など営業展望

大和ハウス工業は、創業100周年となる2055年に売上高10兆円企業を目指すという壮大な目標を掲げています。中期経営計画における重点投資分野は、戸建住宅・商業施設・事業施設(特に物流施設)ですが、海外事業売上高1兆円に向けた事業進展や、グループ集中購買で安定調達と原価の抑制を最重要テーマとして取組むとしています。

DXによる顧客体験価値向上など、高付加価値提案を展開中で、他社をしのぐ高品質な建築を進めるとともに、ストック事業の拡大も目指しています。

5.人材育成&社内環境整備

大和ハウス工業では、各事業毎に対応する職種が存在する組織体系となっています。

この内、技術系職種としては、住宅設計・住宅施工・集合住宅設計・集合住宅施工・流通店舗設計・流通店舗施工・建築設計・建築施工・建築設備・構造設計・見積があります。

「事業を通じて人を育てる」を基本精神に、人財の成長を第一に考え、全従業員が「学び続け」「成長し続け」「夢を追いかける」という社風を形成しています。

入社後に年次毎、職種ごとのキャリアパスを明確に設定しており、研修も積極的です。

また、職種選択(FA)制度や社内公募制度など自己実現を追求できる支援制度があります。

積水ハウス

1.売上高・営業利益推移

積水ハウスの2024年度連結決算は、2024年4月に買収、子会社化した米国の大手住宅ビルダー・MDC社の連結化などにより、売上高が前年度比30.6%増収して、初の4兆円超えとなり、営業利益は22%増益で3000億円超となりました。その他、経常利益、当期純利益等、全指標で大幅伸長し、市場が冷え込む国内戸建住宅事業を含む全セグメントで増収増益となり、過去最高益を更新しました。

2026年1月期の連結業績予想は、売上高が約10.9%増の4兆5,000億円。営業利益は約9.3%増の3620億円としています。

2.事業別売上高構成比

積水ハウスの事業別売上高構成比をグラフとしたものが下表となります。

積水ハウスでは、経営管理区分を請負型(戸建住宅・賃貸事業用建物・建築土木)、ストック型(賃貸住宅管理・リフォーム)、開発型(仲介・不動産・マンション・都市開発)、国際事業としており、国際事業が31%と占める割合が高くなっています。

3.主要商品の特長

積水ハウスは1960年創業と歴史あるハウスメーカーで、鉄骨造と木造の両方に対応できます。鉄骨造は軽量鉄骨による1.2階建てから、重量鉄骨による3.4階建てまで幅広く対応しており、独自の「ダイナミックフレーム・システム」で耐震性が高く、柱の少ない大空間設計が可能です。

木造で近年力を入れているシャーウッド構法は、木の温もりと強度を両立した、「基礎ダイレクトジョイント」で地震に強く、自由設計が魅力となっています。

断熱・省エネ性能では、ZEH新基準に対応し、断熱等級6〜7の仕様が可能です。

4.経営計画など営業展望

積水ハウスでは、2025年度を第6次中期経営計画の最終年度としていますが、基本方針を「国内の安定成長と海外の積極的成長」としており、両輪をバランスよく推進していくことを目標に掲げています。

海外展開(国際事業)では、4月に子会社化した米国大手上場ビルダーのMDC社を含めた4社のビルダーで米国戸建事業を展開し、現地で主流の2×4(ツーバイフォー)住宅に加えて、自社木造住宅ブランドの「SHAWOOD(シャーウッド)」をカリフォルニア州の分譲地サマーズベントで販売開始し、今後はさらに販売エリアを拡大していきます。

請負型ビジネス(戸建住宅・賃貸事業用建物・建築土木)は売上高1兆3,490億円で総売上の32.9%を占め、営業利益は1,430億円で43.1%を占めていますが、住宅は耐震性能向上やZEH化など環境性能を高めた高付加価値提案で受注を伸ばし、賃貸・事業用建物は法人向け建物を中心に受注促進を図ります。

ストック型ビジネス(賃貸住宅管理、リフォーム)は、売上高は8,709億円で総売上の21.3%を占め、営業利益は834億円で25.1%を占めており、国内施工実績が豊富な積水ハウスでは安定成長が見込める事業区分としています。

開発型ビジネスはデベロッパーとして、魅力的なエリアで住宅用地や高品質マンション、事務所ビルなどを開発していくビジネスで、2024年度売上高は5,825億円で、総売上の14.2%を占め、営業利益は7024億円で21.1%を占めています。

仲介・不動産は宅地分譲の成長で増益となり、分譲マンションとともに優良物件のエリア集中展開で販売が好調です。都市再開発は物件売却益が増加し増益となっています。

5.人材育成&社内環境整備

積水ハウスでは、”「わが家」を世界一幸せな場所にする”というグローバルビションを達成するため、「積水ハウスで働く従業員が幸せであること」が重要であると考えています。働き方の多様性の実現はもちろん、それぞれが持つ得意を伸ばしやすく、自ら進んでキャリアを高めることができる環境づくりに取り組んでいます。

ワークライフバランスへの取組みとして、年休取得の推進やスライド勤務、在宅勤務など労働時間の調整を制度化しており、女性の活躍を狙い、女性社員に管理職スキルを養成する約2年間の研修や、男性の育休100%取得を達成するなど働きやすい社内環境を整備しています。

キャリアパスについては、技術系のジョブローテーションや、キャリア面談実施、入社7年目に受講する「キャリア自律コース」が用意されています。2019年からスタートした、リーダー育成プログラムや階層別・職種別研修制度、公的資格祝金制度/資格取得支援制度などが充実しています。

住友林業

1.売上高・営業利益推移

住友林業の2024年12月期決算連結売上高は、2兆536億円で前期比18.5%の増収、営業利益は1945億円で前期比33%の増益となりました。米国住宅事業、豪州住宅事業が好調に推移したことに加えて、円安の進行もあり過去最高益を達成したものです。

2.事業別売上高構成比

住友林業の事業別売上高構成比をグラフとしたものが下表となります。

住友林業では、住宅、木材建材、建築・不動産、資源環境を事業の4本柱としています。住宅事業は5423億円で、前期比1.5%増。戸建て注文住宅の価格改定効果やリフォーム事業の伸長で増収増益となりましたが、販売戸数は前年を下回りました。大きく伸ばしたのは建築・不動産事業で、売上高12400億円で前期比30.8%増収となりましたが、米国住宅事業の堅調な推移や、豪州住宅事業の販売単価上昇等による利益率の改善、円安影響による増収増益です。

木材建材事業は、バイオマス燃料の販売や製造事業が貢献する一方で、住宅着工戸数減少による市況悪化の影響で約1割減益となりました。

3.主要商品の特長

住友林業は自社の保有林から調達した高品質な木材を使用した、木造在来工法による注文住宅が最大の特長です。独自の「ビッグフレーム構法」により、大開口・大空間を実現して、柱や壁を減らしながらも高い耐震性を保つ設計が可能となっています。

ワンフロアで完結する平屋や、都市部向けの3階・4階建て住宅など、ライフスタイルに合わせた提案力が強みで、2025年はお客様向け提案支援システム「AI間取り検索」を活用した、規格型住宅商品「Premal」をリリースしました。

4.経営計画など営業展望

2025年、住友林業は戸建注文住宅の期初受注残の増加による販売棟数の増加や単価上昇等を主因に増収増益を計画しています。国内住宅事業は邸宅設計プロジェクトによる高価格帯への対応強化を進めていきます。

前期大幅に伸長した建築・不動産は、米国住宅事業がコストアップで減益となる一方、米国不動産事業の増益とMetricon社連結効果が•プラス要因となり、増収増益を見込みます。

米国以外の海外展開では、インドネシアの首都ジャカルタ近郊における複合都市開発プロジェクト「タウンシップ事業」に現地不動産開発大手のシナルマス・ランドと共同で取り組み、住宅や商業施設などを一体的に開発する計画が進行します。この計画では、約156.5haの敷地に戸建分譲住宅と店舗併用住宅を合計で約4100戸供給する予定です。また、約110区画の商業用地も整備し、商業施設やスポーツクラブ、学校などを誘致します。

5.人材育成&社内環境整備

住友林業は「Mission TREEING 2030」の達成に向けて、以下の3本柱で人材戦略を展開しています。

1.事業の変革と創造を担う人材の確保・育成

2.社員のパフォーマンスを最大化する仕組みと自由闊達な企業風土

3.健康経営の推進

具体的な育成施策は、階層別・選抜型・自己啓発型の研修を展開し、経営人材育成では35歳以上の選抜研修を通じてリーダー層を育成しています。

社内環境整備の取組みは、DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)推進により、性別・年齢・国籍などに関係なく、誰もが力を発揮できる環境づくりを進め、キャリア支援とリスキリング対策として、社員の志向に応じた配置転換やスキル再習得の支援を進めています。

飯田グループホールディングス

1.売上高・営業利益推移

飯田ホールディングスの2025年3月期売上高は1兆4,596億円、営業利益は804億円となり、前年同期比で増収増益。営業利益率は5.5%、前年同期比1.4ポイント改善しました。

図版12

飯田グループホールディングスは、2013年に6社(一建設、アーネストワン、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アイディホーム)が経営統合して設立された持ち株会社で、パワービルダー最大手、戸建て販売首位企業です。

2.事業別売上高構成比

飯田グループホールディングスの事業別売上高構成比をグラフとしたものが下表となります。

パワービルダーの業態上、戸建分譲が約83%を占めており、続いて分譲マンション6%、請負工事が約5%と続きます。請負工事には顧客の土地への注文住宅などが入っています。

3.主要商品の特長

2024年度は38187棟の戸建住宅を販売していますが、大部分が一次取得者への土地付き戸建住宅となり、好立地・高品質・低価格を実現し、誰もが手の届く住まいを提供していくことに強みを持ちます。

注文住宅では、グループ各社の得意工法(木造軸組み、2×4、IDS工法)を活かし、ニーズに合わせた設計が可能です。「IDS工法」は、木造軸組にパネルを組み合わせた独自技術で耐震性・気密性・断熱性に優れ、工期も短縮できるのが特長です。近年は、環境負荷や省エネを取り入れたエコハウスも開発しています。

分譲マンションは都市部を中心に展開しており、利便性と快適性を両立した設計が特長です。

4.経営計画など営業展望

国内における戸建分譲事業は、主要ターゲットである20~40代の核家族世帯が減少傾向にあり、限られた市場を競合企業と奪い合う厳しい事業環境が続きます。競合においては、住宅分野に対する環境規制強化を踏まえて、断熱性能はZEH対応を進めていく必要があります。

戸建分譲事業は、販売価格の上昇局面においては、需給バランスのコントロールに加え、エリア毎の特性を踏まえて販売戦略の再構築を図ります。

今後の安定収益基盤構築を求めて、オーナー顧客向けにリフォーム事業を横展開していきます。また、収益不動産事業として、戸建賃貸実績の積み上げによりノウハウを取得してビジネスモデル化を進めています。

5.人材育成&社内環境整備

グループ全体で採用や新卒社員研修を実施しています。社会人としての意識や仕事への意欲を高める、人権・情報セキュリティ・コンプライアンス研修、管理職研修を実施しています。

東栄住宅では、建築技能職の高齢化に加え、将来を担う若手人材が減少傾向にある今、住宅産業を担う企業の責任として、大工総合技能職の育成に取り組んでいます。建築技能専門校での教育訓練、研修棟の建設、実地研修等の4年間に及ぶプログラムで大工技術のみならず、リフォーム等、住宅にまつわる全般的な技術をもった技能職へと育成します。

オープンハウスグループ

1.売上高・営業利益推移

オープンハウスグループの2024年9月期決算連結売上高は、1兆2958億円で前期比12.8%の増収、営業利益は1190億円で前期比約16.4%の減益となりました。

減益の要因は、主力の戸建関連事業が売上は横ばいであったものの、前下期からの在庫調整の影響により売上総利益率が低下したことと、マンション事業の売上が前期比7割に減少したことなどがあげられます。一方で、その他(アメリカ不動産)やプレサンスコーポレーションが営業利益増に貢献する結果となりました。

オープンハウスグループは、1996年11月に株式会社アプローズとして設立され、1997年に株式会社オープンハウスに商号変更。2022年には持株会社体制へ移行しました。グループ全体で新築戸建分譲、不動産仲介、マンション、不動産投資事業を展開し、都市部を中心に急成長しています。

現在、国内で戸建関連事業およびマンション事業を行う主要なグループ会社は下記の通りです。

・オープンハウス – 不動産販売

・オープンハウス・ディベロップメント – 戸建、マンションの開発

・オープンハウス・アーキテクト – 注文・建売住宅、マンションの建築

・ホーク・ワン – 戸建の開発・販売

・プレサンスコーポレーション – マンション開発・販売

・メルディア – 戸建の開発・販売

プレサンスコーポレーションは、2021年に株式公開買い付け(TOB)により子会社化し、2025年再び株式公開買い付けにより完全子会社となりました。

この他に収益不動産事業を行う、オープンハウス・リアルエステートや、米国に4社、中国上海に1社の海外不動産事業会社を有します。

2.事業別売上高構成比

2024年9月期の決算報告資料に掲載された、オープンハウスグループの事業別売上高から構成比グラフを作成しました。

戸建関連事業売上は5901億円で、前年とほぼ同額になり、売上構成比は45.5%となります。今期は売上総利益率を改善しましたが、営業利益は約496億円で前期比21.4%減となりました。

マンション事業は892億円で前期比28.6%減、金額にして356億円減と大きくマイナスとなりました。収益不動産事業は1965億円で前期比6.2%増、米国不動産は1059億円で前期比19.9%増、プレサンスコーポレーションの売上は1808億円で前期比12%増、メルディア(旧 三栄建築設計)は、2024年期からになり、売上高1405億円はそのままプラスとなります。

3.主要商品の特長

オープンハウスは、東京23区や川崎市、横浜市といった都心に絞って低価格住宅を販売して、急激に実績を伸ばしてきましたが、その中心は土地込みで3,900万〜6,000万円台という価格帯で、グループで土地の仕入れから建築までを一貫して行うことで、コストを抑えています。

商品ラインアップは、オープンハウス・ディベロップメントでは、セミオーダー型の注文住宅や建売住宅をメインとし、オープンハウス・アーキテクトでは、完全自由設計の注文住宅を扱い、年間5,500棟以上の施工実績を有しています。

マンションブランドの展開では、連棟形式(長屋形式)の低価格マンションを「オープンレジデンス」ブランドで販売して、供給戸数業界トップを誇示するほか、ラグジュアリー志向の高価格帯マンション「INNOVACIA(イノベイシア)」や、ライフスタイル重視のスマート設計マンション「INNOVAS(イノバス)」があり、両ブランドとも「革新」をテーマに、従来マンションの常識を打ち破る設計思想が込められています。

利便がよい土地の一括仕入れだけではなく、建設資材の大量発注やセミオーダー型住宅で、打ち合わせや施工期間の短縮を図るなど、回転がよく長期在庫を抱えない施策が進んでいます。

マンションも手狭であっても、交通利便性が高い立地であることから、将来の売却や住替えを想定した顧客がつく物件が多くなっています。

4.経営計画など営業展望

オープンハウスグループは、2023年9月期に売上高1兆円を達成しましたが、中期経営計画(2024年-2026年)では一貫して、都市部での高品質・低価格住宅の提供という独自戦略を継続しています。

また、M&Aによる事業拡大と、戸建関連セグメントの強化を中心軸として、都市部での土地活用や設計力を活かし、さらなる市場シェア拡大を目指しています

2024年9月期決算報告では、3カ年(2024.9~2026.9)の純利益を2500~2600億円確保することを前提に、自己資本比率は35%以上、3年累計の成長投資を5000億円とする方針を掲げています。

成長投資は国内外のM&Aに投下し、経営拡大を図る計画です。オープンハウスグループでは、今後、減少に転ずる戸建住宅事業に関しても、戸建事業者は中小規模の企業が多く、更なる成長余地があるため、M&A等による自社売上の拡大で市場シェアを伸ばせるとのビジョンで推進をしており、実際にメルディアの子会社化に伴い、市場シェアは前期の11%から14%に上昇しています。

投資不動産事業では、日本人富裕層にアメリカ不動産を、アジア系富裕層に日本の不動産を提供する方針で、拡大に取り組んでいます。

5.人材育成&社内環境整備

オープンハウスグループでは、年次にとらわれず成果を上げた従業員を正当に評価し報酬と昇格の機会を与える人事制度を整えています。評価制度については、創業以来、徹底してフェアであることを守り続けており、営業職以外の社員についても成果・実績が数値化され、透明性の高い公平な評価が実行されています。

人材育成制度としては、各種資格取得支援制度や入社年次・等級ごとにそれぞれのステージに応じた研修を提供することにより、社員一人一人の仕事への姿勢・生産性の向上に働きかけ、企業成長と社員個人の成長を両立できる環境を提供しています。

資格取得報奨金制度を設けており、会社が指定する資格の取得者に対して、事業運営上の重要度、取得難易度を勘案し、最大50万円までの資格取得報奨金を支給します。

 

本記事は、「前編」として、大手ハウスメーカー上位5社を紹介しました。

「後編」では、旭化成ホームズ、一条工務店、積水化学工業、プライムライフテクノロジーズ(ミサワホーム、パナソニックホームズ、トヨタホーム)を紹介しますので、ぜひ続けてご覧ください。

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)