2025年度版!!大手ハウスメーカー徹底解説(後編) 【業界研究】

本シリーズでは、大手ハウスメーカー上位10社の2024年度決算報告をもとに、各社の現況と今後の展望を前編・後編の二部構成でお届けしています。

前編では、大和ハウス工業、積水ハウス、住友林業、飯田グループホールディングス、オープンハウスグループの5社を紹介しました。

本記事(後編)では、旭化成ホームズ、一条工務店、積水化学工業、プライムライフテクノロジーズ(PLT、ミサワホーム、パナソニックホームズ、トヨタホーム)を紹介します。

大手ハウスメーカー売上高ランキング上位10社(2025年)

2025年3月期を中心に、各社の直近決算期の売上高順で上位10社のランキング表を掲載します。

表中の売上高、営業利益、戸建て販売戸数は、各社の決算報告書等、公表されているものを参照し、日本経済新聞出版社発刊の日経業界地図2026年版、東洋経済新報社発刊の会社四季報業界地図2026年版で一致を確認して、億円単位の差異がある場合は、企業発表数値に合わせています。

次項では読者の皆様の企業研究に役立てていただけるよう、以下の各項目について解説していきたいと思います。

1.売上高・営業利益推移

2.事業別売上高構成比

3.主要商品の特長

4.経営計画など営業展望

5.人材育成&社内環境整備

掲載枠に限りがありますので、いずれも抜粋した情報となりますので、より深く知りたいと感じた企業については、各社のホームページや採用情報を確認していただきますようお奨めします。

旭化成ホームズ

1.売上高・営業利益推移

旭化成ホームズは、2025年3月期連結決算で売上高9935億円となり、前期比8.8%の増収となりました。営業利益は913億円で前期比14.9%増益でした。売上高、営業利益ともに4年連続で過去最高を更新しました。

2025 年度は新中期経営計画に基づき、事業間連携の高度化・事業範囲の拡大を目指し、業績予想は、連結売上高は初の1兆円超えとなる10,740億円(当期比805億円・8.1%増収)、連結営業利益は961億円(48億円・5.2%増益)と連結売上高、営業利益とも5年連続の過去最高を目指しています。

2.事業別売上高構成比

2025年3月期連結決算で公表された、事業別売上高構成比は下表の通りです。

旭化成ホームズでは、戸建系と集合系など注文住宅建築をまとめて、建築請負事業としています。建築請負事業の売上高は4,195億円(186億円・4.6%増収)、営業利益は446億円(97億円・27.7%増益)、受注高は4,264億円(325億円・8.2%増加)となりました。住宅系については、大型化・高付加価値化の更なる推進に加え、受注棟数回復と集客構造の改革に向け、各エリアで不動産部門、リフォーム部門と連携強化を図り、受注金額においては前年比プラスとなったものです。

不動産開発事業では、国内売上戸数は635戸となり、首都圏を中心に土地仕入れに強みを持つTHEグローバル社と業務資本提携を締結するとともに、2025年4月より、本事業を旭化成不動産レジデンスから吸収分割の方法により旭化成ホームズに承継しました。当期売上高は527億円(68 億円・14.9%増収)、営業利益は91 億円(2億円・2.0%減益)となりました。

賃貸管理事業では、管理戸数は12.6万戸を超え、空室率は2%台前半を維持するなど堅調に推移し、売上高は1,681億円(123億円・7.9%増収)、営業利益は171億円(11億円・7.2%増益)となりました。

リフォーム事業では、アフター部門との連携強化によりメンテナンス工事のカバー率が改善し、前年同期比で上期プラスに転じたメンテナンス系工事の売上は下期も堅調に推移し、年間を通して増加しました。一方で2023年度の受注苦戦により上期マイナスとなった増改築・内装設備系工事は上期の増改築工事の受注が回復したことで下期の売上が増加し年間で対前年比プラスに転じました。 当期の売上高は578 億円(15億円・2.7%増収)、営業利益は74 億円(7億円・11.3%増益)となりました。

海外事業は、北米東部エリアへ事業拡大を目指し、上期にフロリダ州のサブコントラクターであるODC 社を買収したことや、為替の影響により、売上高は2,930億円(402億円・15.9%増収)、営業利益は123億円(8億円・6.8%増益)となりました。

3.主要商品の特長

旭化成ホームズの代表的な戸建住宅といえば、重量鉄骨造3階建てを中心として、外壁にALCコンクリート壁を採用する、旭化成ヘーベルハウスです。

ロングライフ住宅という別名でも知られる、旭化成ヘーベルハウスは、耐震・耐火性能が強い構造で、基本躯体は60年間メンテナンスフリーです。また、断熱性や居住性に優れ、快適な室内環境を保ち、省エネにも貢献するなど多くのメリットを有しています。

集合住宅系では、賃貸住宅としてヘーベルメゾンを提供していますが、ヘーベルハウス譲りの堅牢な構造で、長期にわたって資産価値を保つ設計となっています。

最新商品のアスハウス(Asu-haus)は、断熱等級7と国内最高レベルの断熱・気密性能やCO₂削減、省エネ、光熱費削減を実現し、新ZEH基準に適用しています。

4.経営計画など営業展望

旭化成ホームズは、2025年5月に「中期経営計画2027」を発表しました。2027年度は、売上高1.2兆円、営業利益1,200億円を目指すとしています。

中期経営計画では、「投資成果創出による利益成長」「構造転換や生産性向上による資本効率改善」「Diversity × Specialtyの進化」を基本方針に掲げ、具体的には、住宅事業一体となった成長戦略、成長に向けた資源投下、経営基盤の高度化の3つで、住宅事業一体となった成長戦略では、建築請負部門、不動産部門、リフォーム部門が連携を強化し、顧客・建物データの蓄積、AIの利活用などにより新たな価値の創出を目指します。

5.人材育成&社内環境整備

旭化成ホームズでは、自ら挑戦し続けることによる「個の成長」と、挑戦と共創を引き出す「強いチーム」の醸成により、「OneTeam」を目指しており、チームとしての価値創出を実現するために、人財戦略では「個の自律・挑戦促進」「マネジメント力強化」「チーム力強化」「DE&Iの推進」という4つの施策を掲げています。

強いチームづくりに向けては、多様な能力を持つ人財の共創が鍵になります。従来求められていた“ゼネラリスト”だけではなく“スペシャリスト”も重要と考え、新しいキャリアの道として高度専門職を導入しました。

他にも、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)推進を担う専門部署を新設することで、女性の活躍や男性の育休取得推進など誰もが公平な職場づくりを加速しています。また、互いを尊重し支え合う風土醸成や、個の能力を最大限発揮するために、マネジメント力の強化は不可欠です。

マネジメント層に向けた「対話力向上プロジェクト」をはじめ、意識改革やコミュニケーション能力強化にも注力しています。

一条工務店

1.売上高・営業利益推移

一条工務店は非上場企業になり、決算情報を公開していませんので、東洋経済新報社の会社四季報に掲載されている売上高・営業利益数値から下表を作成しました。

2024年度売上高は5664億円で前年度比約5.4%の増収、営業利益は413億円で、前年度比約19.4%の増益となりました。

2.事業別売上高構成比

一条工務店は、独立系非上場企業で事業別売上高構成比を公表していませんが、主力事業は注文住宅の設計・施工・販売で、特化しているといってよいでしょう。

大手ハウスメーカーでも、「住宅展示場棟数」で業界1位を誇り、広告や宣伝より、実際に展示場をご覧いただくことが、自社商品を知っていただくための最良の手段だと考えており、今後も積極的に展示場を展開していくことを方針としています。

3.主要商品の特長

一条工務店の創業は1978年9月、静岡県浜松市で工務店として始まりました。木材加工が盛んな土地柄を活かして、早くから自社プレカット工場を持つなど、独自路線を築き、「家は性能」という標語で取組み、自社の木造住宅に誇りを持っています。

地震に強い家として、免震・耐震技術を早くから導入し、消防署や警察署と同等の耐震等級3を標準装備として、震度7クラスでも耐える設計としており、壁・床・天井を一体化したツインモノコック構造で、地震力を「面」で分散し、ねじれや変形を防ぐ工夫が施されている商品や、「2倍耐震」仕様として、建築基準法耐震基準の2倍に相当する強度を持つ構造設計で耐力壁量を倍増させて、揺れに強い家づくりをしています。

省エネ性能では、オリジナル太陽光発電「夢発電システム」を開発し、年間搭載棟数15,000棟を誇り、太陽光発電No.1の住宅メーカーとなりました。一条工務店では太陽光発電の普及活動を邁進し、地球の環境保護に全力で取り組んでいくとしています。

蓄電池などのエネルギー関連設備の導入も積極的に行っており、「超ZEH性能」など環境配慮型住宅の提供が売上の柱の一つとなっていますが、住宅設備の自社開発・製造を行っており、外注に頼らず品質管理を徹底することで、コスト競争力と高品質を両立しています。

このように他社をしのぐ高品質な木造住宅を完全自社開発でブランド化しており、高付加価値で高級な注文住宅を提供します。

直近の主力商品「GRAND SMART」は、業界最高クラスの性能と上質なデザインを両立して、一年中快適で健康的な室内環境、そして万が一の災害でも家族を守る強靭さを兼ね備えることをアピールしています。

注文住宅に特化して、顧客需要に応じて、平屋や3階建て、二世帯住宅にも対応しているなど、土地条件や顧客の希望に合った最適プランの設計提案を得意としています。

4.経営計画など営業展望

一条工務店では、新商品として断熱性・気密性に優れた「i-シリーズ」などを中心に、省エネ性能の高い住宅を展開して、太陽光発電や蓄電池の導入も進め、環境配慮型住宅としてブランドを確立していくことや、「フルラインナップ戦略」として幅広い商品展開により、多様なニーズに対応していきます。

短期的な広告宣伝ではなく、住宅展示場に足を運んだ顧客に、そのまま他社比較で選んでいただく戦略に特化しており、地域の全住宅展示場に出店するなど面展開を推進、採用力を活かした営業体制で他社との差別化を図っていく方針です。

土地や建材の一括仕入れにより、安価に戸建て住宅を供給して実績を伸ばしているパワービルダーと真逆な営業戦略をとっていることになります。

5.人材育成&社内環境整備

一条工務店では社員一人ひとりのやる気と個性を尊重し、成長度合いに合わせて個別に研修カルテを作成する、テーラーメイド型の研修体制を導入しています。

社員同士の関わりから成長を促すOJT研修やメンター制度といった育成支援、キャリアアップにつながる資格の取得支援など、さまざまな角度から一人ひとりの成長をサポートする方針です。

資格取得支援では、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、一級・二級建築士、1級・2級施工管理技士 等を対象に、教材提供や勉強会の支援と、指定公的資格取得報奨制度として、奨励金(100,000円~1,200,000円)と、褒賞休暇(1日~6日間)を支給し、社員の資格取得を奨励しています。

積水化学工業

1.売上高・営業利益推移

積水化学工業は住宅専業ではなく、管工機材、住宅建材や建材用の化成品、高機能プラスチックなどを中心に製造する大手樹脂加工メーカーです。元々は大財閥日窒コンツェルンの一部門として創業し、プラスチックを主とした化学メーカーとして成長を遂げました。

決算報告は事業全体ではなく、住宅部門(住宅カンパニー)に関する事業別売上高等から下表を作成しています。

積水化学工業住宅カンパニーの売上高は、5240億円で前期比1.1%の減収。営業利益は314億円で前期比13.6%増益でした。

売上高微減の要因は、新築住宅事業において売上棟数が前期を下回ったためで、営業利益は、新築住宅事業における収益性強化策の効果が発現するとともにリフォーム事業が順調に拡大して増益となりました。

新築住宅は、都市部需要は比較的堅調に推移しましたが、物価上昇の影響により地方部で需要回復が鈍く、受注棟数は前期をやや下回ったものです。

リフォーム事業では、営業体制強化、定期診断の継続、断熱リフォームを軸とした改装などの拡販により、前期を上回りました。

2026年3月期は、売上高5400億円(前期比3.1%増)、営業利益360億円(前期比14.3%増)を見込んでいます。

2.事業別売上高構成比

積水化学工業の事業別売上高構成比をグラフとしたものが下表となります。

積水化学工業では、事業別売上を「住宅・リフォーム・その他」の3つとしており、グラフも3分割ですが、その他には、(不動産・まちづくり・海外・住生活)を含むとされています。

2025年度からは不動産事業(賃貸管理など)とまちづくり事業を合わせて、レジデンシャル事業として計数を捉えていく予定です。

3.主要商品の特長

積水化学工業は、セキスイハイムのブランドで戸建住宅を展開しています。

その商品の最大の特長は、ユニット工法により工場生産で設計性能を実現する技術です。柱と梁を溶接した「ボックスラーメン構造」で、強度と自由度を両立し、工場で一貫生産することにより、雨風による劣化を防ぎ、精度の高い施工が可能となり、何よりも工期が大幅に短縮できます。

1982年にはユニット工法とツーバイフォー工法を融合させて誕生した「セキスイツーユーホーム」を開発し、現在の収益の根幹を支える事業に成長させました。

木造と鉄骨造の両方に対応し、環境性能では早い段階から太陽光発電や蓄電技術を投入した「スマートハイム」、全室空調をスマート制御する「グラン・エアシステム」を開発しています。断熱等級6に対応し、四季を通じて快適な室内環境を実現、新ZEH基準に対応しています。

「ザ・デザイナーズ グランツーユー」など木質系住宅でも高い意匠性と性能を両立しており、傾斜屋根やボウウインドウなど、自然と調和するパッシブデザインが特徴です。

積水化学工業は、次世代太陽電池と言われる、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の開発企業であり、今後、住宅事業にも積極投入される可能性が高いと思われます。

4.経営計画など営業展望

積水化学工業住宅カンパニーは、全国展開していますが、各エリアに販売会社を配置して、地域密着展開を図り、各地の気候や暮らしに合わせた提案をしています。

体感型ショールームや住宅展示場を全国に展開し、住まいのイメージを具体化してみせることで、顧客の選好に合わせた高付加価値住宅を提案していくスタイルです。

自動車ディーラー同様に全国販売会社のグループ連携もきめ細かく行い、FC展開のように別会社というイメージはありません。

住宅事業以外では、ストック事業として、ライフステージに合わせたリフォーム提案に注力しており、売買の仲介やアパート・マンションなどの管理・保証など、不動産のニーズにも応えています。

まちづくり事業は、行政や他社との融合により、サステナブルな積水化学グループの製品・サービスを幅広く活用して、各地で「スマートでレジリエンスなまち」を提供しています。

住生活事業ではサービス付き高齢者向け住宅の建設および運営、介護サービス、インテリアやエクステリア計画のご提案や関連物品販売など、ライフステージ全体を通じた建物とサービスをご提供します。

他の大手ハウスメーカー同様に、海外事業展開も図っていますが、現在、タイを拠点とし、世界で初めて現地に量産工場を建設し、販売体制を確立しました。当面は、土地付き分譲地を中心に、タイ住宅市場で収益強化を目指しています。

5.人材育成&社内環境整備

積水化学工業では、「従業員は社会からお預かりした貴重な財産である」という考え方に基づき、社員が活き活きと活躍できる環境づくりに取り組んでいます。

日々の業務を起点として、「評価制度」「キャリア面談制度」「育成制度」を通じて目指す姿への挑戦を支える、「キャリア自律」の体制づくりをしています。

評価制度は、目標管理制度(MBO)とコンピテンシー評価を中心に挑戦行動も評価要素に加えるなど、挑戦促進と成長支援を目指しており、半期に一回の頻度で実施しています。

育成体系として下図の通り、各種研修を行っています。

プライムライフテクノロジーズ(PLT)

プライムライフテクノロジーズ株式会社は、パナソニック(現:パナソニックホールディングス)とトヨタ自動車の合弁会社として、2020年1月に設立されました。

連結子会社(グループ会社)として、パナソニックホームズ株式会社、トヨタホーム株式会社、ミサワホーム株式会社、パナソニック建設エンジニアリング株式会社、株式会社松村組を有する持ち株会社です。

大手ハウスメーカー売上高上位10社の9位にミサワホーム、10位にパナソニックホームズがランクインしておりますので、本記事ではこの2社と補足的にトヨタホームを紹介します。

ミサワホーム

1.売上高・営業利益推移

ミサワホームの2025年3月期売上高は4831億円で前期比約12.3%の増収、営業利益は176億円で前期比約16.6%の増益でした。

2024年度の売上高では、特に海外事業が好調で、米国ユタ州のビジョナリーホーム社を子会社化したことで、海外売上高は初めて1,000億円を突破しました。

国内では新築事業での棟数は減少したものの、単価上昇が奏功し受注金額は前年比8%増。ストック事業(リフォーム・不動産・賃貸)も堅調で、営業利益は55億円に達しました。

2.事業別売上高構成比

ミサワホームの事業別売上高構成比をグラフとしたものが下表となります。

新築事業売上高は2550億円で、前項通り建築棟数は減少しましたが、平均単価上昇により増収となりました。

ストック事業は1057億円で、リフォームと賃貸、不動産管理を含む売上です。

街づくり事業はアセット売却で減益となりました。海外事業展開は米国、豪州で好調となり、初の1000億円を超えました。

ウェルネス事業は高齢者の暮らしを支えるための総合的なサービス群で、介護施設の運営からリフォーム提案、人材育成まで幅広く展開されていますが、売上高は59億円で横ばい傾向にあります。

3.主要商品の特長

ミサワホームの戸建住宅は、デザイン性をアピールしており、グッドデザイン賞を34年連続受賞していることも有名です。「シンプル・イズ・ベスト」の美学を貫き、機能性・心理的快適さ・環境配慮まで含めた総合評価が高いデザインを誇ります。

建物の構造は、地震に強い、木質パネル接着工法によるモノコック構造を採用しています。地震エネルギーを最大50%削減する制震装置「MGEO」を独自開発しており、創業以来、地震による倒壊ゼロの実績を継続しています。

その堅牢性から、マイナス60℃超、風速80m/秒の風雪に耐える南極建物に採用されていることでも知られています。

また蔵造を参考に、高さ1.4m以下の収納空間を家の中間階や1階に設けることで、生活空間を圧迫せずに、通常住宅の3倍の収納率を誇ります。

高断熱・省エネ性能については、独自の「スマートテック断熱」工法で高水準の断熱性能を実現し、ZEH基準にも対応しています。

4.経営計画など営業展望

ミサワホームは2025年9月22日、「ミサワホーム統合報告書2025」を公表しました。

価値創造をキーワードに、その源泉である人的資本や知的資本、社会関係資本、製造資本などの錬成を行い、事業を通じた価値創造を展開し、社会に提供する価値を高めて、「HOMEに満ちあふれた世界をデザインする」という存在意義を地球していくものです。

事業展開は下図5事業で事業間連携を進めていく計画です。

新築事業では、「原点を大切にしながら変化を先取りし、新しい住文化をつくる」ことを事業ビジョンとしており、断熱性、高効率設備導入で環境負荷を低減する高性能住宅や、高品質・高性能な木質パネルを活用した中層建築、木質賃貸マンションの建築に舵を切っていきます。

まちづくり事業なども通して、住宅の枠を越えてさまざまな用途の建物を多く手掛け、そこからライフステージの変化に最適なソリューションを提案して、「リノベーション+流通」シフトで循環型社会に貢献していくなど、価値創造を目指した展開を展望としています。

5.人材育成&社内環境整備

ミサワホームでは「社員は財産」という想いから「人財」という表記をしています。

教育担当者は、社員の採用から教育、定着化までを一気通貫で取り組み、若手社員が「いつでも相談できる人がいる」「安心して働ける環境がある」と実感できれば、「自分でもできる」という自己肯定感も高まり、さらなる成長につながるという方針です。

ミサワホームでは、入社後8年経過した30歳までに若手を「仕事のプロ」にしようというミッションを掲げ、若手層に手厚い研修を行っています。

その研修は内定段階から開始し、「内定者教育」として、宅建士、二級建築士の資格を取得してもらうため、通学費用等を会社が補助します。2つ目は、内定者自身が興味ある建築物や美術館等に行き、レポートを提出するという課題です。

新入社員の導入研修を2ヵ月間行います。ここには、グループの新入社員約200名が一同に会す、5日間泊まり込みの研修も含まれます。

その後は4カ月の本社実習を経て、本配属後も2年目、3年目、5年目、7年目と、定期的に同期が集まって集合研修(1〜2日間)を実施します。

パナソニックホームズ

1.売上高・営業利益推移

パナソニックホームズはグループ再編を経て、決算報告は複雑な建付けになりますので、本記事では東洋経済新報社の会社四季報に掲載されている売上高・営業利益数値から下表を作成しました。

パナソニックホームズの2025年3月期売上高は、3720億円で前期比約3%の増収、営業利益は127億円で前期比約18.5%の増益でした。

増収増益の主な要因は、新築戸建の堅調な契約増です。またストック事業が成長して1,009億円となったことや、住宅流通事業(買取再販+仲介)が前年比74%増の110億円になったことなども寄与しています。

これに伴い地方拠点の収益改善により、赤字だった11拠点のうち、9拠点が黒字化しました。

2.事業別売上高構成比

パナソニックホームズの2025年3月期、事業分野別の売上高、営業利益は公開情報がありませんので、事業別売上高構成比は割愛します。

新築戸建事業、ストック事業(リフォーム・流通・賃貸管理など)、住宅流通事業(買取再販+仲介)の動きは前項記入の通りです。

3.主要商品の特長

パナソニックホームズは創業時より軽量鉄骨プレハブ住宅を主力商品としています。

耐震性では、耐震等級3(最高等級)に対応しており、地震に強い設計がされています。またパナソニック系列の強みを活かして、最新のスマートホーム技術を標準装備しており、電気・空調の一括管理が可能です。

省エネ性能に関しては、ZEH基準に対応し、全館空調システム 「エアロハス」による快適な空気環境を提供します。

外壁タイルは耐用年数60年で、メンテナンスフリーな「キラテック」を採用しています。

4.経営計画など営業展望

2025年8月、パナソニックホームズ代表、藤井社長は事業戦略として、地方拠点の改革推進を重点ポイントとすることを発表しました。2023年度に赤字であった地方拠点を2024年度黒字化したことを受けて、2024年度から土地購入の決定やキャリア人材採用などこれまで本社にあった権限を、地方の営業拠点に一部移譲して、拠点ごとにそのエリア状況にあった戦略を考え、実行する体制づくりに努めてきたことを、今期もさらに発展させていく施策です。

昨年度発売した新商品『フォルティナ セレクトプレミアム』を中心に、エリア商品開発「日本の家プロジェクト」も今年度から本格始動させます。

各地の地域特性に合わせた商品を開発して、各エリア内で訴求・営業展開していくプロジェクトで、東北エリアでは、四季を感じられる大開口リビングや、北海道のZEH基準もクリアできる断熱性能、大型収納などを盛り込んだ「東北の家」を開発しました。10月に岡山県でモデルハウス第1号の「新瀬戸内の家」をオープンする予定で、今年度中に順次全国14カ所に展開する計画です。

賃貸住宅事業でも地域性に配慮した事業を展開しており、例えば東京・多摩地域では、犬・猫などのペットを飼う高所得者をターゲットとした「プレミアムペット賃貸」を売り出す計画です。

5.人材育成&社内環境整備

パナソニックホームズの人材育成方針では、「事業の根幹は人であり、企業の財産も人である」としており、新入社員に先輩社員がついて業務やマナーをOJTで指導していく「チューター制度」や、1年目・3年目には、今後のキャリアビジョンやロジカルシンキングなど社会人に必要な能力の習得を目的に開催する「フォローアップ・能力開発研修」を用意しています。

また「職能別研修」は入社1~3年目社員向けの研修として、「戸建営業実務」「特建営業実務」「建築基礎実務」など職務に応じた多彩な技能研修メニューを用意し、基礎編・応用編・発展篇とキャリアアップに合わせて研修の内容も発展させていきます。

「キャリア支援&コミュニケーション」としては、年2回、上司と部下が1対1で仕事や自己啓発、将来のキャリア計画など公私にわたる内容について本音で話し合う「1・1・2面接」や、毎月1回、上司と部下が1対1でプライベートな話題も交えコミュニケーションをはかる「1on1ミーティング」などを通して、会社で経験できるキャリアプランや、将来的なキャリアパスを具体的に提示し、必要があればジョブ・ローテーションを実施します。

トヨタホーム

プライムライフテクノロジーズ傘下のトヨタホームは、トヨタ自動車の住宅事業部を源流とするハウスメーカーで、軽量鉄骨プレハブ住宅をメインに販売をしてきました。

自動車製造で培ったノウハウを活用した工業化住宅を、トヨタグループ各社の従業員に提供することが始まりということです。

下表は東洋経済新報社の会社四季報に掲載されている売上高・営業利益数値から作成したものです。

トヨタホームは2005年当時に経営不振となったミサワホームを、トヨタ自動車が支援開始したことから、ミサワホームと技術提携などを進め、2016年に連結子会社化しました。

2020年に親会社のトヨタ自動車とパナソニックの合弁会社であるプライム ライフ テクノロジーズ株式会社が発足し、連結子会社化したミサワホームとともに、同社の連結子会社に異動しました。

 

本記事は、「後編」として、大手ハウスメーカー上位6位から10位の各社を紹介しました。

「前編」では、上位1位から5位となる、大和ハウス工業、積水ハウス、住友林業、飯田グループホールディングス、オープンハウスグループを紹介していますので、ぜひ続けてご覧ください。

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)