東北建設4社を束ねる地域連合型ゼネコン「UNICONホールディングス」が東証に上場【建設NEWS】
東北地方の建設会社4社を束ねる持ち株会社「UNICONホールディングス(仙台市)」が、2025年9月26日、東証スタンダード市場に上場しました。
同社は「地域連合型ゼネコン」を標榜し、グループで人材を融通することで、人手不足を解消し、地域ごとに繁閑差の標準化を図り、機会損失の最小化を図ることなどを強みとしています。
今回の上場により、知名度や資金調達力を高めて、さらに人材流動性の向上や受注エリアの拡大を狙うものです。
以下、本記事では、UNICONホールディングスを「ユニコンHD」と表記し、事業内容や今後の展望など同社について解説します。
ユニコンHDは、東北地方の「地域連合型ゼネコン」
ユニコンHDは純粋持ち株会社で、2022年7月に投資ファンドを運営するエンデバー・ユナイテッド(東京都千代田区)が主導する形で誕生しました。
エンデバー・ユナイテッドは、2020年以降、現在傘下となる、山和建設株式会社(山形県)、株式会社小野中村(福島県相馬市)、株式会社南会西部建設コーポレーション(福島県会津若松市)の全株式をそれぞれ取得して子会社としており、ユニコンHD発足後に、南会西部建設コーポレーションが、南総建株式会社(福島県南会津郡)の全株式を買い取ることで、2023年1月、ユニコンHDは地場建設会社4社を束ねる「地域連合型ゼネコン」となりました。
「企業集団制度」活用がユニコンHDの最大の特徴
ユニコンHDの事業展開における最大の特徴は、「企業集団制度」を活用することです。
建設工事の適正な施工の確保のため、主任技術者、監理技術者及び監理技術者補佐については、それぞれが所属する建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係を有することが必要とされていますが、「企業集団制度」は特例として親会社及びその連結子会社間の在籍出向社員を、グループ内で即時配置可能とする制度です。
下図は、国土交通省により「企業集団制度の概要」を示したものです。
企業集団制度を使うことで、ユニコンHDとグループ内の建設会社間で技術者の出向配置が可能になり、監理技術者を効率よくグループ内で活用できます。
2025年6月現在で、ユニコンHDグループ全体では360人の従業員が在籍しており、建設技術者のうち、1級土木施工管理技士が103人、1級建築施工管理技士が34人という状況です。
グループ各社の社員在籍状況は下図通りですが、東証上場により知名度や信用度が高まることにより、今後は社員、技術者のグループ採用を進めていく予定です。
ユニコンHDの事業領域・事業分野など
ユニコンHD傘下の建設会社4社は、公共工事を中心に元請工事を多く手掛け、各社が異なる強みを持ちます。また4社の他にも、大和生コン株式会社白川工場(山形)を連結子会社としており、みどり生コン株式会社、株式会社KS産業(共に山形)を関連会社としています。
山和建設は東日本高速道路(NEXCO東日本)発注の高速道路工事や、河川、橋梁、砂防ダムなど公共インフラ工事を主体としており、小野中村は福島県相馬市の災害復旧工事など海岸・港湾工事、河川工事の実績が豊富です。南会西部建設コーポレーションは、土木・建築両方に強く、特に土砂浚渫(しゅんせつ)工事を得意とします。南総建は、福島県や栃木県など4県にまたがる尾瀬国立公園の建物や歩道を建設した実績があります。
ユニコンHDは、建設関連事業とその他事業の2つの事業セグメントを展開しており、建設関連事業は、大きく「インフラメンテナンス」と「非インフラメンテナンス」と2つの事業領域分かれ、「インフラメンテナンス」は「インフラ整備」、「災害対応」、「環境保護」の3分野に、「非インフラメンテナンス」は「民間工事」、「兼業事業」に2分野に分かれます。これら扱う事業領域、事業分野などをまとめたものが下表となります。
ユニコンHD今後の展望
ユニコンHDでは決算期を年度6月としており、今回の東証上場に先駆け、2026年6月期(2025年7月1日~2026年6月30日)のグループ連結業績予想を公表しました。下表はその内容から抜粋して作表したものです。
2025年6月期の連結売上収益は、176億2千万円で、前期比12.9%増、同営業利益は17億1千万円で前期比49.1%増でした。
2026年6月期は連結売上収益を194億8千5百円、前期比10.6%増、営業利益は16億8千5百万円、前期比1.5%減と予想しています。
2025年9月に東証上場を果たしたユニコンHDは、資金調達手段を多様化して、今後も人材確保と育成を進め、「企業集団制度」の活用により、県をまたいでグループで技術者を融通しながら、各社の人材・技術・資材を横断的に活用して、地域ゼネコン単独では請負えない大規模・高難易度の案件も受注し、業績拡大を図っていきます。今後も他建設業のM&Aについては積極的に検討をしていく方向性としています。
まとめ
深刻な人手不足が契機となり、近年は、建設業界再編の機運が高まっています。
2025年に入り、大成建設が東洋建設に、インフロニア・ホールディングスが三井住友建設にそれぞれM&Aを仕掛けるなど、大手・準大手ゼネコンの買収攻勢が注目を集めていますが、地場建設会社では、2025年6月に、東北6県の建設会社7社がみずほ銀行と共同出資で「東北アライアンス建設(福島県郡山市)」を設立し、注目を集めました。
今後も全国で地域建設業の協業や、今回、紹介したユニコンHDのような「地域連合型ゼネコン」が新設されていく可能性は高いと思われます。
参考:東北アライアンス建設」設立!東北6県の地場建設会社が連携し、みずほ銀行が共同出資【建設NEWS】
出典:東京証券取引所スタンダード市場への上場に伴う当社決算情報等のお知らせ(ユニコンHD)
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)




