2025年度上半期 海外建設受注は62.6%増の1兆6178億円と過去最高【海外建設協会】
2025年度4月-9月の海外建設受注額は過去最高
海外建設協会(海建協)は、2025年12月3日、会員企業52社の2025年度上半期(4月-9月)の海外建設受注実績(速報値)を公表しました。受注総額は1兆6178億円で、前年同期比62.6%増と、上半期の受注額としては2002年度以降で過去最高額となりました。
調査対象は会員企業52社が受注した1件1000万以上の工事案件で、受注総額の内訳では、本邦法人が90.7%増の4076億円、現地法人が54.9%増の1兆2102億円となっています。
上半期経過時の海外建設受注額は、コロナ禍以降、1兆円前後で推移してきましたが、今期は大型案件や公共工事の増加が受注額を大幅に押し上げたものです。
アジアと北米が牽引した上半期受注実績
2025年度上半期の受注実績を地域別にみると、最大シェアを占めるアジアは、85.2%増の1兆809億円となり、上期時点で1兆円の大台を超えています。
1000億円を超える大型案件を複数受注したシンガポールの伸びが目立ち、タイ、台湾の受注も好調でした。
アジアに次ぐ受注額となる北米は、62.7%増の4166億円で、500億円超の大型案件受注が複数あったものです。
アジアと北米を合わせた受注額が全体の9割を超えたのは、今期が初めてとなります。
このほか、受注額を伸ばした地域は、大洋州※が26.3%増の550億円、アフリカが364.3%増の54億円、欧州が49.4%増の51億円です。
受注額を減らした地域は、中東・北アフリカ(97.5%減)、中南米(87.2%減)、東欧(29.7%減)でした。
※大洋州=オーストラリア、ニュージーランドおよび周辺の島嶼国
2025年度上半期の国別受注額実績は?
2025年度上半期、海外建設受注額の国別の上位は、シンガポールが受注金額6384億円でトップとなり、2位は3987億円の米国、3位は1040億円のタイ、4位は801億円の台湾、5位は525億円のマレーシアでした。
香港は6位476億円で、土木の大型案件を複数受注したことによるものです。
下図は、海外建設業協会発表の国別受注金額トップ10を表としたものです。
2025年度上半期の分野別受注額実績は?
プロジェクト分野別の受注額では、病院や学校、スポーツ施設など公共施設が3797億円(構成費23.5%)、空港が2160億円(同13.4%)、鉄道が1961億円(同12.1%)、商業ビルが1604億円(同9.9%)、住宅が1567億円(同9.7%)、道路が1512億円(9.3%)、工場が1378億円(8.5%)でした。
まとめ
2025年度通期の海外建設受注額は、下期(10月-3月)の実績次第ですが、2兆円を超えることは確実とみられます。
近年はアジア、特にシンガポールの大型案件を継続獲得できていますが、近年は競合先である中国や欧州の企業による受注も増えており、競争が激化しています。
海建協によると、2025年度上半期実績も受注環境が良かったわけではなく、海外でリスクを取りながら、現地法人や協力会社などと連携を図って受注に結びつけた結果であるとされます。
海外建設市場の過去最高となる受注実績は、日本の建設業がグローバル化の波を本格的に捉え始めたことを示しています。この動きは、国内の収益環境の厳しさに対する戦略的な対応であり、特に日系法人や協力会社との連携強化によって支えられています。
上半期も日本の高い技術力を背景として、難度の高い鉄道工事などの受注で実績を牽引しており、2025年通期でも、2期連続で過去最高を更新した2024年度受注額2兆5808億円に迫る実績が期待されます。
出典:海外建設受注実績レポート(一般社団法人 海外建設協会)
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(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)


