ゼネコン100社決算業績(完工高順)からわかること【2025年版】

本記事主旨

建設業界の中でも、ゼネコンの決算状況に関しては、四半期・半期(中間)・通期等、年間を通じて複数回報道されています。但し、その大半は大手ゼネコン5社や主要ゼネコン26社程度 ※1に絞った報道となっています。

総合資格ナビでは、本年度、出来る限り詳細な決算情報をお報せするべく、過去記事で連続掲載してまいりました。※2

報道される決算数値は連結※3と単体があり、数字が混在すると単純比較しにくい面があります。今回、掲載する「2024年度(単体)ゼネコン100社決算業績」は、完成工事高順のランキング形式です。100社ランキングでは、地場ゼネコン大手企業までが一覧に入ってきますので、就活生の業界・企業研究にぜひ役立てていただきたいと思います。

※1:主要ゼネコン26社とは「大手5社+準大手10社+中堅11社」を意味します。総合資格ナビではさらに範囲を広げて、主要27社、中堅13社として掲載しました。

※2:関連記事(タイトルに掲載頁がリンクされています)

【2025年3月決算】主要ゼネコン27社売上高ランキングを掲載しました

2025年度版!! 大手ゼネコン5社、決算概況と展望 徹底解説【業界研究】

2025年度版!! 準大手ゼネコン10社 決算概況と展望 徹底解説(前編)【業界研究】

2025年度版!! 準大手ゼネコン10社 決算概況と展望 徹底解説(後編)【業界研究】

2025年度版!!中堅ゼネコン13社売上高ランキングと徹底解説【業界研究】

※3:連結=複数企業からなるグループ全体の経営成績や財政状態を一つにまとめた決算で連結決算と言われます。

ゼネコン100社決算業績からわかること

1.出典について

決算業績は、日刊建設通信新聞社が「建設人ハンドブック2026年度版(2025.9.24発刊)」に掲載したものを基にして、総合資格ナビで作表を行いました。決算業績表を完成工事高順のランキングとして、見やすさを優先して上位から10社ずつ分割して掲載します。

2.決算用語解説

・完成工事高とは

「完成した工事に対して得られる売上高」を意味します。建設業独自の用語ですが、建設業は完成して売上を得る請負業ですので、一般企業における「売上高」と同義となります。

・売上高とは

建設業決算では期間内に得た総収入です。完成工事高に近い数値になりますが、決算期から入金がずれた場合は数値に差が生じます。

・受注工事高とは

期間中の建設工事請負契約額を指します。工事が発注された時点で全額計上されるので、直近の建設需要や次年度以降の繰り越し売上を示す指標となります。

・粗利とは

売上総利益のことで、完成工事高から工事原価を引いた差額を差します。工事原価は材料費・労務費・外注費・経費等があります。

本記事で掲載するランキングでは、完成工事高に対する粗利率(%)で表示しています。

・経常利益とは

経常利益=「営業利益+営業外収益-営業外費用」となります。

営業外収益とは、保有するビルや土地からの家賃収入や保有している株式からの配当金などです。営業外費用は支払い利息を指します。

・当期利益とは

会計期間の終了時点で得た純利益を指します。具体的には、売上高から工事原価(材料費、労務費、外注費など)および販売費、一般管理費、法人税、営業外損益などを差し引いた後の最終利益額です。

3.ランキング表からわかること

ゼネコンを中心とした建設企業100社の2024年度(2024年4月~2025年3月期)業績の単体ベース完工高ランキングでは、前期と比較可能な99社のうち、63社の完成工事高が増加しています。

これは旺盛な建設需要を背景に、順調に工事が進捗していることを表しています。

100社の完工高合計は19兆3074億3300万円で前年比4.7%増となりました。

採算指標となる粗利率は平均11.3%で、前期から1.2ポイント増加しました。

建設業では、前期から資機材高騰に対応して、工事額への価格転嫁が進んでおり、働き方改革により労務費や工期を考慮した工事が浸透したために、採算性回復が進んでいます。

2024年度ゼネコン100社決算業績(単体・完工高順ランキング)

■1位~10位

■11位~20位

■21位~30位

■31位~40位

■41位~50位

■51位~60位

■61位~70位

■71位~80位

■81位~90位

■91位~100位

2024年12月2日に、前年度(2023年度)のゼネコン100社決算業績ランキングを掲載していますので、前年比較したい方は下記リンクからご確認ください。

ゼネコン100社決算業績(完工高順)からわかること【建設NEWS】2024年12月4日

参考:「上場ゼネコン53社の業績動向」について

2025年8月5日、東京商工リサーチは、2025年3月期決算に基づく「上場ゼネコン53社 業績動向」調査の結果を発表しました。

発表によると主要上場ゼネコン53社の2025年3月期(単体)売上高は14兆3425億円で、前期比6,611億円増加(前期比4.8%増)となり、2009年以降、最高だった2024年を超えて過去最高を更新しました。

粗利益率は10.7%で前期8.9%から1.8ポイント改善し、2022年以来、3年ぶりに10%台となりました。

営業利益率は5.0%(前年同期3.1%)、経常利益率は5.4%(同3.8%)、当期純利益率は4.8%(同3.2%)と、いずれも前期を上回りました。

2025年3月期受注高は15兆5,558億円(前期比6.8%増)で、4期連続で前期を上回り、2009年の集計開始以来、初の15兆円台となりました。

工種別では、建築工事が10兆999億円(前期比8.8%増)、土木工事は4兆9,619億円(同3.9%増)で、いずれも前期を上回り、過去最高を更新しました。

期末繰越高は21兆8,621億円(前期比8.3%増)と過去最高を更新しましたが、未完了工事が積み上がっていることを示し、2025年度以降収益への影響が注目されます。

出典:東京商工リサーチ(2025年8月5日)

 

(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)