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わが国では2021年10月に閣議決定されたエネルギー基本計画等において、2030年度以降に新築される住宅・建築物について、ZEH・ZEB水準の省エネ確保を目指すこととされています。
このため省エネ基準は段階的に引上げることとなっており、2024年4月に大規模非住宅建築物(延床面積2,000㎡以上)の省エネ基準が引き上げられました。
2025年2月に第7次エネルギー基本計画が閣議決定され、2026年4月から中規模非住宅建築物(延床面積300㎡以上2,000㎡未満)の省エネ基準が引き上げられます。
本記事では、2026年4月施行の概要や建物用途ごとのBEI適合状況などについて解説します。
省エネ基準改正の施行日は2026年4月1日で、省エネ適合判定(適判)を申請する中規模非住宅建築物が対象となります。省エネ適合判定は2025年4月より、新築・増改築に省エネ基準への適合が義務付けられています。
基準の見直しに伴う手続きの変更はなく、これまでと同様に所管行政庁、または登録省エネ適判機関による省エネ基準への省エネ適判を受け、建築確認において適合性判定通知書を提出する必要があります。
中規模非住宅建築物の現行のBEIは用途を問わず1.0ですが、施行後は用途ごとに基準値の水準が異なり、工場が0.75、事務所や学校が0.80、病院や飲食店が0.85となります。
新基準のBEIは中規模非住宅建築物について、各建物用途の省エネ基準への適合状況を踏まえて、用途に応じて基準値の水準を15~25%強化するものです。
国土交通省は建築物の省エネ性能を2030年までにZEB水準にするとし、段階的にBEIを引き上げる計画ですが、そのロードマップを示したものが下図となります。
2026年4月の改正は、上図中央の2026年度水準案に基づくものですが、2030年度までにはさらにBEI基準は上がり、工場等・事務所等・学校等で0.60、病院等・集会所等・ホテル等・百貨店等・飲食店等で0.70、2026年度改正では対象となっていない小規模建築物(300㎡未満)も0.80を目指していくことが予定されています。
中規模非住宅建築物の用途別BEI累積度数分布より、BEIの適合状況は、次表のとおりです。
・工場等は、2026年度基準「BEI≦0.75」への適合率が約7割(69.4%)
・事務所等、学校等、ホテル等、百貨店等の2026年度基準「BEI ≦0.8」への適合率は6~8割程度となります。
・病院等、集会所等、飲食店等の2026年度基準「BEI ≦0.85」への適合率は5~6割程度となります。
そこで、省エネ基準適合率を上げていくには、用途別に従来以上に精緻な省エネ設計を進めていかなければなりません。
国土交通省では、中規模非住宅建築物の省エネ基準引き上げに向けて、「中規模非住宅建築物の省エネ設計かんたんガイド」(下図)を発行して、BEIに占める空調や給湯など項目別のエネルギー消費量割合や設備の平均的な能力・効率などを現行基準と比較して記載しました。
省エネ設計は、外皮(窓・壁)の断熱性能向上と高効率な空調・照明設備導入を基本としています。コスト増を抑えて新基準値を達成するためには、従来以上に精緻な設計が求められます。
中規模非住宅建築物のBEI値を基準以下にするには、次に掲げるポイントが有効となります。
窓に複層ガラスを採用する。断熱材を強化し、ブラインド等で日射遮蔽を行い、冷暖房負荷を低減する。
空調、換気、給湯、照明はカタログ値の一次エネルギー換算が高い機器を選定する。
特にエネルギー消費量が大きい設備をメインターゲットとして省エネ化を図ることで、効果的に省エネルギー性能を向上させることができ、すべての建物用途でエネルギー消費量が大きいのは空調機器となります。
省エネルギー性能は、各地域の気候特性と密接な関係があります。主に空調(外皮の断熱含む)、給湯が中心となりますが、各地域の気候特性を考慮して省エネルギー性能を向上させることが効果的です。
建築物全体の省エネルギー性能を向上させるためには、それぞれの設備のエネルギー計算の考え方を踏まえて、適切な対策を講じながら設計を進めることが効果的です。
事務所、店舗など用途に応じたエネルギー計算(モデル建物法など)で基準クリアを確認することが重要になるのです。
「中規模非住宅建築物の省エネ設計かんたんガイド」に記載されている「効果的な対策の例」は下表のとおりです。
エネルギー基本計画では、2030年度以降新築される住宅・建築物について、ZEH/ZEB水準の省エネ性能の確保を目指すとされています。
そこで適合状況を踏まえつつ段階的な基準見直しを行う予定とされており、将来的には小規模非住宅建築物や住宅の省エネ基準もBEI 0.80に見直されます。その期限は現段階では、「遅くとも2030年度」となります。
出典:中規模非住宅建築物適合義務の省エネ基準が引き上げられます!(国土交通省)
(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)