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政府がペロブスカイト太陽電池の投資ロードマップ案を公表しました 【建設NEWS】

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2026年3月10日、政府は高市総理を議長とする「第3回日本成長戦略会議」を首相官邸で開催しました。

この会議では、戦略17分野における優先的な支援対象として61の製品・技術を選定し、そのうちAIやロボット、半導体など27項目について「官民投資ロードマップ」の素案が公表されました。

本記事では、戦略分野の一つとして建築業界に関わりが深い、「次世代型太陽電池(ペロブスカイト太陽電池)」に関するロードマップと重点施策について紹介します。

また本記事末尾には2026年3月17日に内閣官房から公表された概要を出典元としてリンクします。

ペロブスカイト太陽電池の投資ロードマップ案について

政府は次世代の「国産再生可能エネルギー源」として、ペロブスカイト太陽電池を重視しており、特に従来型のシリコン太陽電池は特定国(中国)が世界シェアの8割を占めることから、ペロブスカイト太陽電池へ投資を進めることが、わが国の経済安全保障・エネルギー安全保障の観点から重要であるとの認識に立っています。

その重点推進方針では、2030年度までに発電コストを14円/kWh以下に抑えるほか、2040年までに国内導入を約20GWまで引き上げる考えです。

会議で示された「ペロブスカイト太陽電池の投資ロードマップ案」では、具体策として、研究開発支援や設備投資支援により量産体制を確保することに加えて、耐荷重性調査などを含めた、建物への導入計画作成に対する補助の拡大や、公共施設・インフラ空間(空港、道路など)への率先導入を進めて需要喚起につなげることを掲げています。

またアジアなど海外の工業団地等での実証に対する支援を行い、同志国との連携を通して国際標準の策定を進めていく方針です。

ペロブスカイト太陽電池量産化への動き

ペロブスカイト太陽電池を戦略分野とした背景には、エネルギー安全保障への課題があります。

現在まで主流となってきた「シリコン太陽電池」は、中国が低価格化などで世界シェアの約8割を押さえていますが、ペロブスカイト太陽電池の主原料となるヨウ素は日本が約30%のシェアを有しています。したがって、同太陽電池の国内生産能力の獲得は国産エネルギーの確保に直結することになります。

さらに「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」は、軽量かつ柔軟性に富み、建物の屋根や壁面等、新たな設置場所への展開が可能です。また、高効率性を活かして面積あたりの発電量増加が見込める「タンデム型ペロブスカイト太陽電池」の開発も進んでおり、この2種類の製造プロセス等のノウハウにより、わが国は強い国際競争力を持ち得るのです。

■導入ポテンシャルが高い フィルム型ペロブスカイト太陽電池

わが国は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池に係る技術では、発電層を外気から保護する封止技術や、耐久性向上・大型化に向けた製造技術で優位に立っています。

従来のメガソーラーとは異なり、住宅やビルなどの屋根や壁面等へ導入が可能であるため、約25GWの国内需要が見込まれ、海外には約500GWの導入ポテンシャルが存在します。

課題は施工費込みの発電コストをどれだけ低減させられるかにあり、需要創出への支援を通じた量産コストの低減などに加え、設置・施工方法の確立を推進していくことがロードマップに盛り込まれています。

■リプレース市場など巨大な市場規模が見込まれるタンデム型

タンデム型ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン電池に比べ短寿命であることが課題であり、希少金属の削減やリサイクル技術の確立も今後の普及に向けた大きな鍵となっています。

タンデム型では、受光・発電のボトムセルとなるシリコンの表面加工技術や成膜技術にわが国の強みがあり、耐久性(湿気・酸素・熱に弱い)や製造コストの高さ、そして大面積化における均質性の確保を進めることにより、老朽化を迎えたシリコン太陽電池のリプレース市場(置換需要)を含めた国際的な巨大市場が見込まれています。

当面は耐久性・高効率が求められる住宅用を初期市場とし、発電コスト目標をシリコン以下となる12円/kWh以下に設定することで、量産体制の整備を加速させる方針です。

■民間投資による需要創出も重要施策

太陽電池の普及に向けて、国民負担の抑制と自家消費を促す施策も重要です。

発電コストが電気料金水準未満となるよう、FIT/FIP制度の新区分による支援を検討します。

これにより今後、住宅壁面や軽量屋根への設置を前提とした設計・施工が本格化していくことが予想されています。

まとめ

政府は、次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」の生産体制を2030年までに確立し、2040年に20GW導入する目標を掲げて、各省庁からさまざまな支援を展開しています。

■技術開発・量産化支援(経済産業省)

・GI基金による支援

グリーンイノベーション基金(GI基金)は5年間で約246億円を投じ、積水化学工業、パナソニックHD、リコー、エネコートテクノロジーズなどへ量産化技術開発や実証試験を支援しています。

積水化学工業へは、生産設備の構築にかかる費用の約半額を補助して、2025年からの実用化を後押ししています。

・用途開発

建材一体型(ガラス型)など多様な設置環境に対応する技術支援を進めています。

■導入・実証支援(環境省・経済産業省・自治体)

・初期コスト低減

2025年から実証・導入支援を開始し、価格低減を目指しています。

・公共施設・インフラへの導入

道路の防護壁、鉄道駅、空港、駐車場など公共施設へ率先して設置する支援を進めています。

・自治体による支援

東京都では、ペロブスカイト太陽電池設置を100%助成する「Airソーラー社会実装推進事業」を展開しており、最大3億円の助成が決定しています。

上記のような試みにより建設業界に多数の工事需要が生まれるとともに、ペロブスカイト太陽電池の軽量・フレキシブルな特徴を活かして、新たな国内・国際市場が創出され、わが国の経済安全保障、エネルギー安全保障の強化に結びついていくことが期待されます。

 

出典:「資源・エネルギー安全保障・GX」分野における成長戦略の検討(内閣官房)2026.3.17

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(本記事は、総合資格naviライター kouju64が構成しました。)